この記事はここがポイント
- 2026年に65歳になる方の国民年金、40年間の支払総額577万円、元が取れる年齢は71歳10カ月。
- 国民年金保険料は20歳時月額4500円から40年間で1万6540円まで段階的に上昇した推移。
- 厚生労働省調査によると、国民年金平均月額は5万9310円、最多層は6万~7万円台の受給額。
「国民年金って、ずっと払い続けてきたけど、長生きしないと元が取れないよね?」──銀行員時代、年金の話になると、こんなお声を聞くことは少なくありませんでした。
今年度の国民年金保険料は全員一律で月額1万7920円です。
毎年度見直しが行われており、負担額は年々上昇しています。
加入義務期間の40年間、合計いくら納めたのか少し気になってしまいませんか。
この記事では、2026年に65歳を迎える方が40年間で支払った保険料の総額、そして「いつ元が取れるか」という損益分岐点を具体的な数字でお伝えします。
40年間の支払総額は約577万円。元が取れるのは71歳10カ月
2026年に65歳を迎える方(1961年・昭和36年生まれ)が、20歳から60歳までの40年間、保険料を欠かさず納め続けた場合の総負担額は、577万1280円です。
そして、この保険料の元が取れるタイミングは
- 2026年度の老齢基礎年金(満額):月額7万608円(年額84万7296円)
- 元が取れるまでの年数:577万1280円 ÷ 84万7296円 ≒ 6.8年
- つまり:65歳から受給開始した場合、71歳10カ月で元が取れる計算
71歳10カ月を超えてからは、受け取るお金がすべて「プラス分」になります。
日本人の平均寿命(男性81歳・女性87歳)を考えると、多くの方にとって元が取れるケースが多いといえるでしょう。
なお、この試算は2026年度の満額をもとにした概算です。受給額は毎年見直しが行われるため、実際の金額は変わる可能性があります。
年々上昇…40年間でいくら払ってきた?保険料の変遷を振り返る
「約577万円」という数字がどのように積み上がってきたのか、年代別に保険料の推移を見ていきましょう。20歳のときの保険料は月額4500円。それが40年かけて少しずつ引き上げられてきました。
20歳から40歳までの保険料
20代は月4500円〜9000円台の時代です。「この金額なら年金より貯金した方が……」と感じた方も多かったのではないでしょうか。
国民年金保険料の変遷
- 20歳(1981年4月〜1982年3月):月額4500円(年額5万4000円)
- 21歳(1982年4月〜1983年3月):月額5220円(年額6万2640円)
- 22歳(1983年4月〜1984年3月):月額5830円(年額6万9960円)
- 23歳(1984年4月〜1985年3月):月額6220円(年額7万4640円)
- 24歳(1985年4月〜1986年3月):月額6740円(年額8万880円)
- 25歳(1986年4月〜1987年3月):月額7100円(年額8万5200円)
- 26歳(1987年4月〜1988年3月):月額7400円(年額8万8800円)
- 27歳(1988年4月〜1989年3月):月額7700円(年額9万2400円)
- 28歳(1989年4月〜1990年3月):月額8000円(年額9万6000円)
- 29歳(1990年4月〜1991年3月):月額8400円(年額10万800円)
- 30歳(1991年4月〜1992年3月):月額9000円(年額10万8000円)
- 31歳(1992年4月〜1993年3月):月額9700円(年額11万6400円)
- 32歳(1993年4月〜1994年3月):月額1万500円(年額12万6000円)
- 33歳(1994年4月〜1995年3月):月額1万1100円(年額13万3200円)
- 34歳(1995年4月〜1996年3月):月額1万1700円(年額14万400円)
- 35歳(1996年4月〜1997年3月):月額1万2300円(年額14万7600円)
- 36歳(1997年4月〜1998年3月):月額1万2800円(年額15万3600円)
- 37歳(1998年4月〜1999年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
- 38歳(1999年4月〜2000年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
- 39歳(2000年4月〜2001年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
- 40歳(2001年4月〜2002年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
41歳から59歳までの保険料
40代以降は保険料の改定が続き、最終年には月額1万6540円まで上昇しています。
国民年金保険料の変遷
- 41歳(2002年4月〜2003年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
- 42歳(2003年4月〜2004年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
- 43歳(2004年4月〜2005年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
- 44歳(2005年4月〜2006年3月):月額1万3580円(年額16万2960円)
- 45歳(2006年4月〜2007年3月):月額1万3860円(年額16万6320円)
- 46歳(2007年4月〜2008年3月):月額1万4100円(年額16万9200円)
- 47歳(2008年4月〜2009年3月):月額1万4410円(年額17万2920円)
- 48歳(2009年4月〜2010年3月):月額1万4660円(年額17万5920円)
- 49歳(2010年4月〜2011年3月):月額1万5100円(年額18万1200円)
- 50歳(2011年4月〜2012年3月):月額1万5020円(年額18万240円)
- 51歳(2012年4月〜2013年3月):月額1万4980円(年額17万9760円)
- 52歳(2013年4月〜2014年3月):月額1万5040円(年額18万480円)
- 53歳(2014年4月〜2015年3月):月額1万5250円(年額18万3000円)
- 54歳(2015年4月〜2016年3月):月額1万5590円(年額18万7080円)
- 55歳(2016年4月〜2017年3月):月額1万6260円(年額19万5120円)
- 56歳(2017年4月〜2018年3月):月額1万6490円(年額19万7880円)
- 57歳(2018年4月〜2019年3月):月額1万6340円(年額19万6080円)
- 58歳(2019年4月〜2020年3月):月額1万6410円(年額19万6920円)
- 59歳(2020年4月〜2021年3月):月額1万6540円(年額19万8480円)
現在の受給者は実際いくら受け取っている?
「満額もらえる人ばかりじゃないのでは?」という疑問もあると思います。実際の受給状況を確認しておきましょう。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均年金月額は以下のとおりです。
- 全体平均:月5万9310円
- 男性平均:月6万1595円
- 女性平均:月5万7582円
満額を受け取っている方は全体の一部であることがわかります。未納期間や免除期間があれば、その分だけ受給額は少なくなります。
国民年金:年金月額階級ごとの受給権者数グラフ
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上〜2万円未満:21万3583人
- 2万円以上〜3万円未満:68万4559人
- 3万円以上〜4万円未満:206万1539人
- 4万円以上〜5万円未満:388万83人
- 5万円以上〜6万円未満:641万228人
- 6万円以上〜7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上:299万7738人
最も多いのは「月6万〜7万円台」の層です。長期間にわたって保険料を納め続けることが、受給額を満額に近づける最も確実な方法といえます。
まとめ
「払い損では?」と感じることもある国民年金ですが、71歳10カ月を超えてからは、生きている限り受け取り続けられる「長生きのお守り」です。
平均寿命を考えると、多くの方にとって受け取り超過になる仕組みといえます。
- 40年間の支払総額:約577万円
- 元が取れる年齢:71歳10カ月(65歳受給開始の場合)
- 月400円の付加保険料で、受給開始2年後から純粋なプラスに
現役世代の皆さんは、ご自身の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で現在の納付状況を確認し、未納期間がある方は追納の検討をしてみてください。
付加保険料については、最寄りの年金事務所で申し込むことができます。
小さな一歩が、老後の安心につながります。
国民年金保険料の変遷
参考資料
三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
