2028年4月施行予定の「遺族厚生年金」改正。一定の現役世代は【最長5年の有期給付へ】4つの主要ポイントとは?
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2028年4月施行予定の「遺族厚生年金」改正。一定の現役世代は【最長5年の有期給付へ】4つの主要ポイントとは?

公的保障の変化に備え、今から検討しておきたい「3つの家計防衛策」を元証券会社の富裕層担当が解説

執筆者安達 さやかLIMO&ファイナンス編集部記者
22:00
2028年4月施行予定の「遺族厚生年金」改正。一定の現役世代は【最長5年の有期給付へ】4つの主要ポイントとは?
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「万が一のときも、国の公的保障があるから安心」そんな前提で、将来のライフプランや家計の設計を立てていませんか。

実は、2028年4月に「遺族厚生年金」の制度改正が予定されています。

これまで「子どもが独立した後も65歳まで受給できる」とされていた保障が、一定の現役世代においては【最長5年間の有期給付】へと変更される見込みです。

この改正により、これまでの前提で立てていた将来の資金計画を見直す必要性が生じる可能性があります。

私は証券会社の元富裕層担当社員として、数多くのお客様のライフプランニングや資産運用をサポートしてまいりました。

さまざまな資産背景を持つ方々の人生設計に携わってきた経験からお伝えできるのは、「公的保障の変化を正しく把握し、それぞれの状況に合わせて一歩ずつ対策を立てること」が、将来の不確実性に備え、より堅実なライフプランを築くための大切な一歩になるということです。

そこで本記事では、ファイナンシャルアドバイザーとしての知見から、大切なご家族の未来を守るために知っておきたい「年金改正のポイントと具体的な対策」を分かりやすく解説します。

【この記事を読むとわかること】

  • 2028年4月施行予定の「遺族厚生年金」改正における具体的な変更点と対象者
  • 法改正によって、ライフプランにどのような影響が生じるか
  • 公的保障の変化に備え、今から検討しておきたい「3つの家計防衛策」

制度の仕組みを客観的に理解し、大切なご家族の将来に向けた、それぞれのご家庭に合ったマネープランを一緒に考えていきましょう。

2028年4月から施行される遺族厚生年金の改正概要

現在の遺族厚生年金は、遺族の生活を支えるために大きく2段階の仕組みで設計されています。

まず、子どもが18歳の年度末になるまでは、遺族基礎年金とあわせて手厚い給付が行われます。

その後、子どもが独立してからも、中高齢寡婦加算などを含め、原則として65歳まで支給が継続されるのが特徴です。

しかし、2028年4月からはこの制度が大きく見直されます。

新しい制度は「子育て期間と老後の生活は支援するが、子どもが独立した後の現役期間の保障は原則5年間で終了する」という考え方に基づいています。

これは、子育てを終えた後の期間は、就労による自立を促すという国の方針が反映されたものといえます。

共働き世帯が一般的になった現代社会の実情に合わせて、制度が転換されると理解しておくとよいでしょう。

【モデルケース】夫30歳・妻30歳・子2歳の家庭で遺族年金はどう変わるか

ここでは、会社員である30歳の夫が亡くなった場合を想定し、妻が受け取る遺族年金がどのように変わるかを時系列で見ていきます。

シミュレーションの条件として、夫は平均月収35万円で、厚生年金保険に8年間加入していたと仮定します。

遺族年金の年金額例

遺族年金の年金額例
遺族年金の年金額例

子育て期間(妻30歳~46歳)の受給額

  • 現行制度:月額 約12万3000円
  • 改正後の制度:月額 約12万7000円(月額 約3900円の増額)

子どもがいる間の加算額が増えるため、改正後の方が支給額は多くなります。

これにより、子育て世帯への支援を厚くするという方針は維持されることになります。

子ども独立後の現役期間(妻47歳~64歳)が最大の変更点

  • 現行制度:65歳まで月額 約8万7000円(遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の合計)の支給が続く
  • 改正後の制度:最初の5年間は月額 約4万7000円、妻が52歳になってからは原則として支給停止

この点が、今回の制度改正で最も注意すべきポイントです。

現行制度では子どもが独立した後も65歳まで月々約8万7000円が支給されていましたが、改正後はこの保障が5年間で終了してしまいます。

つまり、妻が52歳から65歳までの13年間は、これまで見込めた遺族年金の収入がなくなることを意味します。

老後期間(妻65歳以降)の受給額

  • 現行制度:自身の老齢基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給される(ただし、自身の老齢厚生年金の方が多い場合は、差額分のみとなり実質的に支給されないケースもある)
  • 改正後の制度:自身の年金に加えて、夫の年金記録を分割する「死亡時分割」として月額 約7600円が加算される

老後の保障に関しては、共働き世帯にとってメリットのある「死亡時分割制度」が新たに設けられます。

これは、亡くなった夫の年金加入記録の一部を、妻自身の老齢年金に上乗せできる制度です。

※本シミュレーションは、制度改正のイメージを掴むためのモデルケースであり、概算値を用いています。
実際の支給額は、個人の厚生年金加入期間や収入に応じて変動します。
また、今回の改正は現在の受給者や40歳代以上の方への影響を考慮し、
2028年4月から20年間かけて段階的に移行する計画です。

遺族厚生年金改正で変わる4つの主要ポイント

今回の制度改正によって、現行の仕組みから大きく変更される点は、主に以下の4つです。

遺族厚生年金の見直し

遺族厚生年金の見直し
遺族厚生年金の見直し

ポイント1:60歳未満は原則「5年間の有期給付」となり男女差も解消

現行制度では「30歳未満で子のない妻」のみが5年間の有期給付の対象でした。

改正後は、この対象が「60歳未満で子のいない現役世代」へと拡大され、男女差がなくなります。

ただし、低収入の方や障害を持つ方には、継続して給付を受けられる救済措置も用意されています。

男性は2028年4月から一斉に新制度の対象となり、これまで対象外だった20歳代から50歳代の男性も5年間の給付を受けられるようになります。

一方、女性の対象年齢引き上げについては、現在の受給者への影響を考慮し、2028年4月から20年かけて段階的に行われる予定です。

ポイント2:年収850万円未満の所得制限が撤廃される

これまでは、年収が850万円以上あると遺族年金を受け取ることができませんでした。

しかし、改正後はこの所得制限が撤廃され、収入にかかわらず受給資格が得られるようになります。

これは高収入の世帯にとっては、制度が拡充される変更点といえます。

ポイント3:子どもがいる場合の加算対象が広がり金額も増額

子どもがいる場合に支給される加算額が増額されます。

具体的には、子ども1人あたり年額約23万5000円から、年額約28万2000円に引き上げられます。※2024年度の年金額を基にした試算です。

また、加算の対象となる年金の種類も拡大され、新たに老齢基礎年金や遺族厚生年金なども含まれるようになります。

この加算額の増額は、すでに遺族年金を受給している方も対象となります。

ポイント4:新設の「死亡時分割制度」で老後の年金が合算可能に

共働き世帯においては、「自身の老齢厚生年金」と「遺族厚生年金」を比較し、金額が高い方しか受け取れないという点が課題でした。

今回の改正で、亡くなったパートナーの年金加入記録を分割し、自身の年金に上乗せできる「死亡時分割制度」が導入されます。

ただし、遺族基礎年金にある「みなし25年加入」といった救済措置は、この死亡時分割制度には適用されない点に注意が必要です。

先ほどのシミュレーション(平均月収35万円・加入期間8年)の場合、婚姻期間中の記録を分割した額が上乗せされ、月額で約7600円が加算される計算です。

若くして配偶者を亡くすと婚姻期間が短くなるため、その分上乗せされる金額も少なくなることを理解しておく必要があります。

改正による影響を受ける人・受けない人の違い

今回の制度見直しで、具体的にどのような人が影響を受けるのかを整理してみましょう。

給付が縮小方向で見直しとなる人

  • 2028年度の時点で40歳未満の女性

子どもが18歳になった後、65歳まで支給されていた遺族年金が、これまでの終身給付から5年間の有期給付へと短縮されます。

有期給付となる5年間の支給額は現行制度より約1.3倍に増額されますが、期間終了後は原則として支給が停止します。

ただし、収入などの状況によっては継続して給付を受けられる場合もあるため、ご自身の条件を確認することが重要です。

新しく給付対象となる人

  • 子のいない20歳代から50歳代の男性

現行制度では55歳未満の夫は受給対象外でしたが、改正後は5年間の有期給付を受けられるようになります。

これは保障が縮小されるわけではなく、むしろこれまでの男女間の不平等を解消する制度拡充といえます。

今回の改正で影響がない人

  • 2028年度の時点で40歳以上の女性(20年間の段階的な移行措置があるため対象外)
  • すでに遺族年金の受給を開始している方
  • 配偶者が亡くなった時点で60歳以上だった方

また、年齢にかかわらず「子どもが18歳未満である期間」については、子どもへの加算額が増えるため、子育て中の世帯はどの世代であっても改正後の方が手厚い保障を受けられます。

公的保障の変化に備え、今から検討しておきたい「3つの家計防衛策」

制度改正によって「万が一の際の公的保障」の形が変わるからこそ、私たちはこれまでのライフプランを一度見直し、より多角的なリスク管理を行う必要があります。

証券会社の元富裕層担当社員として、私は数多くのお客様の資産防衛に携わってまいりました。

その経験から確信しているのは、「国の保障制度がどう変化しても、自身の家計の軸がブレない仕組みを事前に作っておくこと」が重要であるということです。

公的保障の変更点(生活再建期の5年間を重点的に支援し、その後は自助努力や自身の就労でカバーする方針)を踏まえ、現役世代が今から検討しておきたい堅実な3つの家計防衛策を解説します。

防衛策1:公的保障の「支給期間」を補う、民間保険の適切な見直し

遺族厚生年金が「原則5年間の有期給付」へと移行する(60歳未満かつ子のいない場合)ことで、最も懸念されるのは「生活再建を終えた5年目以降の、中長期的な生活費の不足」です。

これまで「公的年金があるから民間の保障は最低限で良い」と考えていた方は、保険の設計を見直す時期に来ています。

「収入保障保険」の活用を検討する

一括で大きな保険金を受け取る「定期保険」だけでなく、毎月一定額を年金のように受け取れる「収入保障保険(掛け捨て型)」を組み合わせることで、公的年金が途切れる5年目以降の不足分を、保険料を抑えながら補うことが検討できます。

「生活再建期の5年間」と「その後の期間」を分けて計算する

今回の改正では、5年間の給付期間中は「有期給付加算」によって給付水準が約1.3倍に手厚くなる見込みです。

そのため、「最初の5年間は公的年金+貯蓄でカバーし、それ以降の不足額を民間保険で手当てする」といった、より緻密な必要保障額のシミュレーションが有効になります。

防衛策2:新NISAやiDeCoを活用した「自助努力による資産形成」

国の保障に頼る割合を少しずつ下げ、自分の手で「第2の年金」を築いていくことは、どのような世帯にとっても再現性の高いリスクヘッジになります。

改正によって公的保障の長期的な給付が縮小する分を、税制優遇制度を活用した資産形成で補填します。

長期・積立・分散投資の基本に立ち返る

新NISA(つみたて投資枠)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、中長期的な資産形成をサポートするための国の税制優遇制度です。

投資には元本割れや価格変動などのリスクが伴いますが、「長期にわたり、毎月コツコツと積み立てていく」ことで、価格変動リスクを抑えながら資産を育てる効果が期待できます。

「死亡時分割制度」との相乗効果を意識する

今回の改正では、配偶者が死亡した際に、その厚生年金記録を自身の年金に分割して反映できる「死亡時分割制度」が新たに導入される予定です。

自身の老後の厚生年金額が底上げされる可能性があるため、現役時代は新NISA等で「現役世代の間の万が一の備え」や「手元の流動資金」を蓄え、老後は国の年金分割と組み合わせていくという、長期的なマネープランが描きやすくなります。

防衛策3:パートナー双方の「自立」と「生涯の就業能力(キャリア)」の維持

資産形成や保険といった「お金の対策」以上に強力な家計防衛策は、「ご夫婦双方が、自立して長く働き続けられるスキルやキャリアを維持すること」です。

今回の年金改正の本質は、「国の保障による保護」から「就労を通じた自立支援」へのシフトにあります。

共働き世帯のメリットを最大限に活かす

これまでは、遺族側の年収が850万円以上あると遺族年金が全額停止されていましたが、改正後はこの制限が撤廃されます。

これにより、「キャリアを制限して年収を抑える」必要がなくなり、安心して双方がキャリアアップに努めることができるようになります。

「就業能力」をライフプランの前提に置く

遺族厚生年金が5年で有期給付となる以上、5年経過後は、自分自身の収入で生活を支えることが前提となります。

日頃からパートナー同士で家事や育児の役割分担を行い、双方が「いつでも社会に復帰できる、働き続けられる」環境とスキルを維持しておくことこそが、ブレない家計のセーフティネットとなるでしょう。

参考資料

Google で優先するソースとして追加
安達 さやかLIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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