私はこれまで、保険や資産運用の現場で幅広い年代の方の相談を受けてきました。なかでも印象に残るのが、50代でこれから老後資金を本格的に準備したいという方々です。
「もう遅いのでは」と不安を口にされる方は少なくありません。ですが、話を整理していくと、残された時間でも打てる手は意外とあると気づかれるケースがほとんどです。
ポイントはシンプルです。毎月いくらを、どのくらいの期間、どの程度の利回りで積み立てるのか。この3つを数字で置き換えるだけで、進むべき方向がぐっと見えやすくなります。
新NISAは、その道具として使い勝手のよい制度です。ただし投資である以上、値動きのリスクは避けられません。増える可能性と減る可能性の両方を理解したうえで、自分のライフスタイルに合う無理のないペースを選ぶことが大切です。まずは制度の全体像から、テンポよく確認していきましょう。
2026年、新NISAが始まって3年目の夏を迎えました。
税制優遇を受けながら資産形成ができる制度として、すっかり身近な存在になっています。
一方で、「制度は知っているが、実際どれだけ増えるのかピンとこない」という声も多く聞きます。
大切なのは、雰囲気ではなく数字で捉えることです。
そこで本記事では、新NISAの基本をコンパクトに押さえたうえで、毎月の積立額や利回りで将来の資産がどう変わるのかをシミュレーションで整理します。
50歳から65歳までの15年間を軸に、「月5万円を積み立てた場合」「2000万円を準備する場合」「途中で取り崩した場合」の3つのケースを順に見ていきます。
数字を並べれば、自分に合った資産づくりの進め方が見えてきます。さっそく確認していきましょう。
新NISAを利用すると「利益や配当の税金」は非課税になる?
NISA(ニーサ)は、資産形成を支援する制度として2014年にスタートし、2024年からは内容が拡充された「新NISA」として運用されています。
この制度の大きな特徴は、投資によって得た利益や配当金に対して税金がかからない点です。
通常は約20%の税金が課されますが、新NISAを活用することで、その分を差し引かれることなく利益を受け取ることができます。
新NISA「非課税」のしくみ
ただし、NISAには投資可能額や対象商品に一定のルールが設けられているため、事前に制度内容を把握しておくことが重要です。
「新NISA」の特徴を押さえよう!主な6つのポイント
「新NISA」の主なポイントは次のとおりです。
【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴
- 非課税保有期間は無期限
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
- 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
- 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
- つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
- 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」
「投資」と聞くと大きな資金が必要に感じるかもしれませんが、現在は500円や1000円といった少額から始められる商品も増えています。
相談の現場でも、「少額からで大丈夫ですよ」とお伝えすると、多くの方が肩の力を抜かれます。無理のない金額でまず一歩を踏み出せるのが、新NISAの心強いところです。
新NISAを活用すれば、株式や投資信託への投資も少額から取り組むことが可能です。
次章では、毎月積立投資を続けた場合に、将来どの程度の資産形成が期待できるのかをシミュレーションしていきます。
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。
