銀行員時代、投資信託を保有しているお客さまへ運用状況をご連絡するのは好きな仕事の1つでした。
とくに運用が好調のときは、お客様の喜ぶ声が聞けて嬉しかったのを覚えています。
下落基調のときは、お客様に一喜一憂しないことを丁寧にお伝えするよう努めたものです。
このとき、必ず運用会社の月次レポートをもとに、
- いま世界経済がどういう状況にあるのかを振り返り
- お客様が保有するファンドの投資対象国や組入銘柄、その比率などを確認し
- 対象ファンドにおいてはどういう影響があるのか
などをお伝えしました。
投資信託は投資のプロが運用しているので「お任せ」のスタンスでいられるのがメリットではありますが、株高・株安や円高・円安で相場が大きく動くと自分が投資しているファンドは大丈夫かと不安になるものです。
とくに米国株は世界の動向と連動しやすいため、ニュースを見るたびに気になってしまう方も多いのではないでしょうか。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、その名の通り米国株式市場の代表的な指数であるS&P500に連動するファンドです。「米国経済の成長をまるごと取り込める」という期待から、NISAでの積立先として選ぶ方が増えています。
ただ、S&P500は投資対象が米国のみ。値動きの仕組みを知らないまま保有していると、相場が荒れたときに慌てて売ってしまいやすくなります。
今回は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)について、2026年6月30日基準の最新月次レポートをもとに、平均利回り・投資先・コスト・変動要因を整理します。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の平均利回りは何パーセント?
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は2018年7月3日に設定されたファンドです。2026年6月30日時点の基準価額は4万4399円、純資産総額は12兆2755億円となっています。
月次レポートの騰落率をもとに算出した年平均利回りは以下の通りです。
- 過去1年:騰落率36.5% → 年平均利回り36.5%
- 過去3年:騰落率95.9% → 年平均利回り約25.1%
- 設定来(約8年):騰落率344.0% → 年平均利回り約20.5%
設定来の騰落率344.0%は、同じeMAXISシリーズのオルカン(280.2%)を大きく上回る数字です。この差には、米国株市場が他国を圧倒するペースで成長してきた事実が表れています。
この高パフォーマンスを支えた主な要因は2つです。
- NVIDIA・APPLE・MICROSOFTなど米国ハイテク株の独走:AI関連銘柄を中心に米国株が世界をけん引してきました
- 円安による評価額の押し上げ:外貨建て資産を円換算するため、円安が進むほど円ベースの評価額が上がります
ただし、「平均利回り」はあくまでも過去の実績をならした数字です。2026年3月には基準価額が1ヵ月で2000円以上下落する局面もありました。「常に右肩上がり」という前提は禁物です。
三菱UFJ銀行・三井住友信託銀行で15年以上のキャリアを築き、自身も20年以上の投資経験を持つ。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『LIMO』でお金に関する記事を企画・執筆・監修中。
