【高齢者の働き方】シニア世代の就業率は上昇が続く
内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、高齢者の就業率は年々高まる傾向にあります。
年齢階級別就業者数及び就業率の推移
75歳以上では大きな変動は見られませんが、65~69歳は53.6%(前年比1.6ポイント増)、70~74歳は35.1%(前年比1.1ポイント増)となりました。
何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(択一回答)
また、「何歳頃まで収入を得ながら働きたいか」という質問では、「65歳くらいまで(23.7%)」や「働ける間はいつまでも(22.4%)」に回答が集中しました。
現在も仕事をしている人に限ると「働けるうちはいつまでも」が33.5%に達しており、シニア世代の就業意欲の高さがうかがえます。
【将来の想定外に備える】生涯の介護費のリアルと、シニア就業の新たな価値観
「LIFULL 介護」の調査(2026年6月)によると、生涯で介護に必要な金額はおよそ「2300万円」と試算されています。
さらに、「ケアスル 介護」の調査(2026年5月)では、現在介護施設に親族が入居している方のうち、26.4%が「月額費用が入居時より高くなった」と回答。
長期化する物価高騰は介護現場にも及んでおり、想定外の負担増からより費用の安い施設へ転居せざるを得ないケースも発生しているのが実情です。
こうした不安から、「やはり定年後も身を粉にして働き続けなければならないのか」と重いプレッシャーを感じる方もいるかもしれません。しかし、現在のシニア世代の就業に対する価値観は、単なる「生活苦を補うための労働」だけではなくなってきています。
マイナビが発表した「シニアのアルバイトに関するライフエンゲージメント調査(2026年6月)」では、「働かなくてもいい状況であっても働きたいか」との問いに、70歳代男性で50.7%、60歳代女性で44.4%が「働きたい」と回答。経済的な余裕に関わらず就労意欲を持つ層が多数派を占めました。
アルバイトをする目的としては男女ともに「健康維持のため」が最多で、「孤独感の解消」や「社会とのつながり」を求める声も多く挙がっています。 実際に、アルバイトをしているシニアの約6割(58.7%)が、「働くことで生活の質が向上している」と実感していることも分かりました。
「長く働くこと」は、経済的なリスクに対する強力な備えになるのはもちろんのこと。同時に、健康を維持し、社会との温かい接点を持ち続けるための「ポジティブな選択肢」として、今のシニア世代に定着しつつあるようです。
早大卒。証券外務員二種・相続診断士。15年の書籍校閲で培ったファクトチェック力を武器に、一次資料に基づく「お金と暮らし」の分析記事を担当する編集記者。認知症介護経験をいかし、読者目線に立った情報発信も。
