夫婦2人分の「モデル年金額」とは?その推移をチェック
日本年金機構や厚生労働省は、年金の給付水準を示す指標として、毎年「モデル年金」の額を公表しています。
このモデル年金がどのような定義に基づいているのかを見ていきましょう。
モデル年金は誰を対象としているのか
- 夫婦2人分の基礎年金に加えて、夫に支給される報酬比例部分を合計した金額です。
モデル年金の対象となる夫婦の条件
- 夫が平均的な収入(令和8年度の例では、賞与を含む平均標準報酬が月額換算で45万5000円)を得て40年間会社員として就業し、妻がその期間ずっと専業主婦だった世帯を想定しています。
- この場合に受け取れる老齢厚生年金と、夫婦2人分の満額の老齢基礎年金を合わせた給付水準を示したものです。
簡単にいうと、平均的な収入があった元会社員の夫と、専業主婦の妻という組み合わせの世帯が受け取る年金の合計額を想定しています。
会社員は厚生年金に加入しますが、専業主婦は国民年金(基礎年金)のみの加入となるため、国民年金2人分と厚生年金1人分という構成になります。
この前提を踏まえて、モデル年金額の過去からの推移を見てみましょう。
モデル年金額の近年の推移
- 令和8年度:23万7279円
- 令和7年度:23万2784円
- 令和6年度:23万483円
- 令和5年度:22万4482円
- 令和4年度:21万9593円
- 令和3年度:22万496円
- 令和2年度:22万724円
マクロ経済スライドや物価・賃金の変動率が反映されるため、令和4年度までは年金額がわずかに減少したり、横ばいだったりする傾向が見られました。
しかし、令和5年度以降は物価と賃金の上昇率がマクロ経済スライドによる調整分を上回ったため、プラス改定が続いており、年金額が上昇していることが確認できます。
昭和59年~平成11年のモデル年金額は現在とほぼ同水準?
参考として、さらに時代をさかのぼってモデル年金額の変遷をみてみましょう。
厚生労働省が公表している「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書資料編」を参照すると、昭和59年から平成11年にかけてのモデル年金は以下のように推移していました。
昭和59年から平成11年のモデル年金
32年前の平成6年(1994年)時点では月額23万983円、平成11年(1999年)には23万8125円となっていました。
直近の令和8年度のモデル年金額が23万7279円であるため、名目上の金額はほとんど変わらない水準にあるといえます。
ただし、これはあくまで金額の表面的な比較であり、物価の上昇を考慮した実質的な価値でみると目減りしている点には注意が必要です。
また、当時の年金制度の設計や標準報酬月額の基準など、算出の前提条件が現在とは異なっていることにも留意しなければなりません。
将来の年金額に不安を感じる場合、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
ここからは、年金を増やすための具体的な方法について解説します。
関連タグ
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は「LIMO」編集部で金融ライターとして記事の企画・執筆・監修をしている。
PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)保有。2005年にSMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)へ入社し、富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」編集部にて、これまでの実務経験を活かし、官公庁の公的データなどに基づいた信頼性の高い金融記事を執筆。新NISAやiDeCoを活用した資産形成、公的年金(厚生年金・国民年金)の仕組み、社会保障制度などをテーマに、読者のライフプランに寄り添う実践的なマネー情報の企画・執筆・監修を行う。
