1年の折り返し地点である7月を迎えました。税金や社会保険料の改定、相次ぐ物価高のニュースが続く中、「自分の年金や貯蓄は、同世代と比べてどうなのだろう」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
筆者はファイナンシャルプランナーですが、お客様の家計相談をお受けする中でも、この時期は8月のお盆休みに向けた予算管理や、今後の生活設計に関するご相談が増える傾向にあります。
そこで今回は、70歳代・二人以上世帯の平均的な貯蓄額や年金の受給額、そして日々の生活費のリアルな実態を解説します。本日の年金支給日をきっかけに、これからの暮らしと資産の守り方について、一緒に考えてみましょう。
【厚生年金】平均月額「男性16.9万円、女性11.1万円」男女で5万円以上の差
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の平均年金月額を確認しましょう。
厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されていますが、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下、記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
厚生年金の平均月額
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
男女間で5万円以上の差があるのが現状です。
受給月額の階級/主な分布状況
- 10万円未満:約314万人(全体の少数を占める)
- 10万円以上~15万円未満:約501万人(大きなボリュームゾーンの一つ)
- 15万円以上~20万円未満:約505万人(男性を中心としたボリュームゾーン)
- 20万円以上~25万円未満:約266万人
- 25万円以上~:約31万人
受給者数が最も多いのは「10万円以上~11万円未満」の層(111万2828人)です。全体としては、9万円から21万円の間に多くの受給者が分布しています。
【国民年金】受給額ゾーン「6万円以上~7万円未満」圧倒的多数の約1715万人
次に、自営業の方などが受け取る国民年金(老齢基礎年金)の月額です。
国民年金の平均受給月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給月額別の国民年金受給者数
国民年金では、「6万円以上~7万円未満」の層が1715万5059人と圧倒的多数を占めています。
【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額の平均「2416万円」、中央値「1178万円」
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」をグラフを交えて確認していきます。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)
- 平均値:2416万円(一部の富裕層が平均を押し上げている可能性あり)
- 中央値:1178万円(より実態に近い、真ん中の順位の数値)
貯蓄額の分布(二極化の実態)
貯蓄額は世帯ごとに大きな格差(二極化)が見られます。
- 貯蓄ゼロ(金融資産非保有):10.9%
- 300万円未満:13.3%
- 300万~1000万円未満:19.9%
- 1000万~2000万円未満:17.8%
- 2000万~3000万円未満:12.3%
- 3000万円以上:25.2%
「貯蓄なし」が約1割にのぼる一方で、「3000万円以上」の資産を持つ世帯も4分の1(25.2%)存在しており、現役時代の収入や退職金、健康状態などによる個人差が浮き彫りになっています。
【65歳以上の年金暮らしご夫婦】標準的な家計収支「ひと月の不足分マイナス4.2万円」
総務省の「家計調査報告(2025年平均)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の標準的な家計収支は毎月約4.2万円の赤字となっています。
65歳以上の生活費
毎月の収支バランス
- 実収入:25万4395円 (うち年金などの社会保障給付が22万8614円)
- 実支出:29万6829円
・消費支出(食費・光熱費など):26万3979円(うち食料費:7万8964円)
・非消費支出(税金・社会保険料):3万2850円 - ひと月の不足分:▲4万2434円
この不足分は、毎月貯蓄を取り崩して補う必要があり、年間では約51万円の取り崩しになります。
まとめにかえて
今回は、70歳代・二人以上世帯の平均的な貯蓄額や、年金の受給額、生活費について解説しました。シニア世帯の資産状況には二極化が見られるものの、毎月の不足分を補うためには早期からの計画的な備えが欠かせません。
まずは固定費の見直しをはじめとする身近な支出の削減から着手し、家計の「出ていくお金」を賢くスリム化することが確実な第一歩です。その上で、無理のない範囲での就労や資産運用など、ご自身のライフスタイルに合わせた柔軟なマネープランを前向きに描いていきましょう。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
