この記事はここがポイント
- 令和8年調査、係長の時間外手当が7万661円でピーク、課長で約3分の1に減少。
- 課長昇進で給与増も、時間外手当減少で約半分相殺、増額の実感が薄れる要因。
- 係長の給与1割超だった時間外手当が、課長で3.6%に激減、職務性格の変化を反映。
管理職になると残業代が出なくなる、という話を聞くことがあります。
人事院の職種別民間給与実態調査には、きまって支給する給与と、そのうちいくらが時間外手当かが別々に出ています。役職ごとに並べると、どこで減るのかが見えます。
この記事では、令和8年の調査結果から役職別の時間外手当と、それを除いた額を確認していきます。
役職別の時間外手当は係長の7万661円がピーク
まず、時間外手当の額そのものを並べます。
係長から先は下がり続ける
人事院の令和8年職種別民間給与実態調査によると、事務関係の職種の時間外手当は、係員が5万3862円、主任が6万1998円、係長が7万661円です。
ここが頂点で、課長代理は5万8909円、課長は2万4350円、部次長は1万4791円、部長は1万414円と下がり続けます。支店長は4772円です。
給与全体は上がるが、時間外手当は減る
きまって支給する給与そのものは、係員41万4426円から部長79万9856円まで上がります。それでも時間外手当は係長を境に減っていきます。
給与が増える一方で、その中身に占める残業代は小さくなっていくということです。
時間外手当は係長が最も高く、そこから下がり続けます
課長になった年に思ったほど増えなかった、という声を聞くことがあります。この表を見ると、残業代が減った分が相殺していた可能性が読み取れます。
課長昇進で時間外手当は3分の1近くまで減る
減り方が最も大きい段を確認します。
課長代理から課長で3万4559円減る
課長代理の時間外手当は5万8909円、課長は2万4350円です。この一段で3万4559円減ります。
給与全体は課長代理60万659円から課長66万9778円へ6万9119円増えていますので、増えた分の半分ほどが残業代の減少で相殺されている計算になります。
時間外手当を除くと増え方が変わる
時間外手当を除いた額で並べ直すと、係員36万564円、主任41万1882円、係長44万5155円、課長代理54万1750円、課長64万5428円、部次長70万754円、部長78万9442円です。
この並びでは、課長代理から課長で10万3678円増えます。給与全体で見た6万9119円より大きくなります。
時間外手当を含む額と、除いた額を並べたものです
時間外手当の減り方は役職の性格の違いを示している
この差が何を意味するのかを見ていきます。
係長までは残業代が給与の1割超
係員13.0%、主任13.1%、係長13.7%と、係長までは給与の1割を超える部分が時間外手当です。
課長代理で9.8%に下がり、課長では3.6%になります。ここで性格が変わっていることが数字に表れています。
部長・支店長でもゼロではない
部長は1万414円、支店長は4772円で、額は小さいものの時間外手当は集計されています。
平均値なので、支給されている人とされていない人が混ざった結果です。役職名だけで一律に決まるものではないことがわかります。
役職別の時間外手当を見るときに気をつけたいこと
数字を読むうえでの注意点を挙げておきます。
賞与は含まれていない
ここで見ているのは令和8年4月分の「きまって支給する給与」で、賞与は含まれていません。年収で比べる場合は別の見方が必要です。
また、税金や社会保険料を引く前の額です。
4月分1か月の数字である
時間外手当は月によって変動します。この調査は4月分を集計したものですので、繁忙期の月とは水準が異なります。
時間外手当は係長を境に減り、課長で性格が変わる
事務関係の職種の時間外手当は、係長の7万661円が最も高く、給与に占める割合も13.7%で最大です。
課長代理で5万8909円・9.8%に下がり、課長では2万4350円・3.6%になります。課長代理から課長への一段で3万4559円減る形です。
昇進で給与が増えても、残業代が減る分だけ実感が薄れることがあります。時間外手当を除いた額で並べておくと、増え方をつかみやすくなるでしょう。
参考資料
野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。
