この記事はここがポイント
- 9月発行の地方債10年債、表面利率3.204%・対国債スプレッド+20.0bpに決定
- 5年債表面利率2.441%・対国債スプレッド+14.0bp、8月債から1bp縮小
- 地方債の対国債スプレッドは、同じ年限・同一のプライシング方式であれば発行体が異なってもほぼ横並び
2日、全国型市場公募地方債(個別債)のうち、「令和8年9月債」の10年債・5年債について、複数の自治体が条件を決定しました。
条件決定済みの10年債・5年債について、表面利率と対国債スプレッド(国債の利回りに対する上乗せ幅)をまとめて見ていきます。
10年債の条件(2日条件決定分)
- 愛知県:表面利率3.204%/発行額500億円/発行日9月24日/対国債スプレッド+20.0bp
- 福岡県:表面利率3.204%/発行額200億円/発行日9月24日/対国債スプレッド+20.0bp
- 広島県:表面利率3.195%/発行額100億円/発行日9月25日/対国債スプレッド+20.0bp
発行価格はいずれも100円00銭、応募者利回りは表面利率と同水準、国債スプレッドはカーブ対比。
ベースとなる長期金利が3%台と30年ぶりの高水準で推移するなかでの起債となり、10年債の表面利率は3.2%台にまで上昇する銘柄が出てきています。
5年債の条件(2日条件決定分)
- 島根県:表面利率2.441%/発行額200億円/発行日9月24日/対国債スプレッド+14.0bp
- 福岡県:表面利率2.441%/発行額200億円/発行日9月24日/対国債スプレッド+14.0bp
- 鹿児島県:表面利率2.441%/発行額100億円/発行日9月24日/対国債スプレッド+14.0bp
- 川崎市:表面利率2.441%/発行額100億円/発行日9月24日/対国債スプレッド+14.0bp
発行価格はいずれも100円00銭、応募者利回りは表面利率と同水準、国債スプレッドはカーブ対比。
国債カーブ対比でのスプレッドは+14bpと、8月債から1bp引き下げられました(タイトニング)。
供給に対して需要が強かったことが読み取れます。
10年債同様に5年債でもベース金利が上昇していることから、1bp縮小しても表面利率は2.441%と、8月債の2.1~2.2%台だったところから高くなっています。
そもそも「対国債スプレッド」とは?
地方債の多くはスプレッド(国債の利回りに一定の上乗せ幅を加えて利率を決める方式)で条件が決まります。いわば「国債金利+横並びの上乗せ幅」で価格が決まる仕組みです。
今回の10年債では愛知県・福岡県・広島県の3団体がそろって+20.0bp、5年債では島根県・福岡県・鹿児島県・川崎市の4団体がそろって+14.0bpとなっており、同じ年限であれば発行体が違っても上乗せ幅は横並びになることがわかります。
表面利率そのものに差が出ているのは、各団体の信用力の違いではなく、条件決定のベースとなる国債金利がわずかに変動した結果です。スプレッドが同じであれば、実質的には同一条件の発行と捉えて差し支えありません。
まだ条件が決まっていない団体も
9月の発行分ではこのほか、10年債で福井県・長崎県・名古屋市・東京都(条件決定日はそれぞれ9月4日・4日・9日・11日を予定)、5年債で北海道・千葉県(サステナビリティボンド)・仙台市(グリーンボンド)・名古屋市・北九州市・福岡市・秋田県(グリーンボンド)・兵庫県(条件決定日は9月4日・4日を予定のものを含む)が発行を予定しており、今後順次条件が決定される見通しです。
記者コメント
地方債は年限や発行額に応じて表面利率が異なりますが、対国債スプレッドという観点で見ると、同じ条件決定方式を採る自治体同士ではほぼ横並びになるという特徴があります。
個別の利率の大小だけで「お得な自治体」を探すのではなく、条件決定後に公表される対国債スプレッドを確認し、そのうえで自身が利用する証券会社で個人向けに販売されているラインナップを確認してください。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
