この記事はここがポイント
- 日銀の2026年6月政策金利1.0%引き上げは、住宅ローン金利の大きな転換点。
- 住宅ローン金利タイプ選択は変動型が75.0%と多数を占めるも7.0%減少し、固定型は増加傾向。
- 変動から固定への借り換えは金利上昇リスク回避の利点がある一方、返済額増加と諸費用の発生に注意。
本格的な夏の到来を感じる2026年7月中旬、金融市場では日本銀行が6月に決定した政策金利1.0%への引き上げが大きな話題となっています。これにより、10年以上続いた異次元の金融緩和策は本格的な調整局面に入り、私たちの生活に身近な住宅ローン金利も大きな転換点を迎えています。
筆者はファイナンシャルプランナー(FP)として、これまで多くのお客様から住宅ローンに関するご相談を受けてきました。中には「これだけ長く低金利が続いたのだから、今後も大きくは変わらないのでは」と楽観視される方もいらっしゃいましたが、状況は変わりつつあります。本記事では、最新のデータをもとに金利タイプの選択傾向や、固定金利へ借り換える際のメリット・デメリットを解説します。
日銀の政策金利1.0%への引き上げ「どこまで上がる?」
変動金利が連動する「政策金利」の推移
住宅ローンの計画において重要な動きとして、2026年6月に日本銀行が政策金利を1.0%へ引き上げることを決定しました。この利上げは、長期間維持されてきた超低金利の状況が、はっきりとした転換期に入ったことを示しています。
そもそも金融政策とは?基本的な仕組みを解説
日銀の金融政策
- 景気が後退している局面:日銀が民間の金融機関から国債などを買い入れ、市場に資金を供給します。これにより金利の低下を促し、経済活動の活発化を目指します。
- 物価や賃金が上昇している局面(現在のような状況):市場の過熱感を抑制するため、国債を売却して市場から資金を吸収します。そして、経済の基準となる「政策金利」を引き上げることで、全体のバランスを調整します。
今回、日本銀行が利上げの方針を明確にしたことで、私たちの住宅ローン金利、とりわけ変動金利の今後の動きに対して、より一層の注意が必要になってきたといえるでしょう。
住宅ローンの金利タイプ、変動型は75.0%でも減少傾向か?固定型が増加中
金利が上昇していく状況では、「変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか」と悩む方が増えてきます。これまでは金利の低さを重視して変動型を選ぶのが一般的でしたが、今後の利上げの可能性をふまえると、より慎重なプランニングが求められます。
住宅金融支援機構が2026年1月に公表した調査結果によれば、2025年4月から9月の期間に住宅ローンを利用した人が選択した金利タイプの割合と、前回調査からの変動は以下のようになっています。
利用した金利タイプについて
- 変動型:75.0%(前回調査から7.0%減少)
- 固定期間選択型:14.9%(増加傾向)
- 全期間固定型:10.1%(増加傾向)
依然として変動型が大多数を占めている状況は変わりませんが、その割合は少しずつ減少しています。その一方で固定金利タイプを選ぶ人が増えており、これまで「変動一択」とされてきた市場の雰囲気に変化の兆しがうかがえます。
実際に、同じ調査では回答者の約半数にあたる49.7%が、2024年以降の日本銀行による利上げ方針をうけて「ローンの選び方に影響があった」と回答しています。毎月の返済額に直結する問題であるため、金利動向に敏感に反応する利用者が増えるのは自然なことといえます。
今後の金利見通しは?7割以上が「上昇する」と予測
この調査では、今後1年間の住宅ローン金利がどうなると考えているかについても質問しています。
- 現状よりも上昇する: 73.7%
- ほとんど変わらない: 17.1%
- 現状よりも低下する: 2.3%
- 見当がつかない: 7.0%
実に7割を超える人々が今後の金利上昇を予測していることがわかります。このため、現在変動金利で返済中の人の間では、返済負担が増えることへの懸念から、固定金利への借り換えを具体的に検討する動きが広がっています。
FPが解説する住宅ローン「変動から固定へ」借り換えの利点と注意点
変動金利と固定金利
2026年3月時点の市場金利を見ると、変動金利型は年0.6%〜1.2%程度、固定金利型は年2.0%〜3.8%程度が目安です。これらの金利状況をふまえ、変動型から固定型へ借り換える場合のメリットとデメリットを整理していきます。
借り換えのメリット:将来の金利上昇リスクを回避し、返済計画を安定させる
固定金利へ借り換えることの最大のメリットは、「将来、市場金利がどれだけ上昇しても毎月の返済額は変わらない」という安心感を得られる点です。変動金利は半年に一度金利が見直されるため常に変動リスクがありますが、固定金利なら完済まで(または選択した期間中)金利が固定されます。
このおかげで毎月の支出額が確定し、教育費や老後資金といった長期的な視点での家計プランが非常に立てやすくなるという利点があります。
固定金利型への借り換えがおすすめな人の特徴
- 将来の金利変動リスクを避け、安心感を第一に考えたい人
- 手元資金にあまり余裕がなく、繰上げ返済を柔軟に行うのが難しい人
- 年収に占める年間のローン返済額の割合が、比較的高めの人
借り換えのデメリット:月々の返済額増加と諸費用の発生に注意
その一方で、借り換え前に理解しておくべきなのは、短期的な返済負担が増加する可能性があるという点です。一般的に固定金利は変動金利よりも当初の金利が高めに設定されているため、借り換え直後から毎月の支払額や総返済額が増えるケースは少なくありません。事前にシミュレーションで試算し、増える金額が家計で対応できる範囲かを確認することが重要です。
さらに、借り換え時には事務手数料や保証料、抵当権の設定費用といった諸費用が合計で数十万円ほど現金で必要になることも考慮しなくてはなりません。住宅ローンの残高が少なかったり、返済期間が残りわずかだったりする場合には、諸費用を支払ってまで借り換えるメリットが見込めないこともあるため注意しましょう。
まとめ:ご自身のライフプランに合った住宅ローン選択を
日本銀行によるさらなる利上げの可能性も指摘されるなか、住宅ローンを利用している方にとって金利の動きは、これまで以上に重要な関心事となっています。将来のリスクを避けるために固定金利へ借り換えるのは有効な選択肢の一つですが、月々の返済額の増加や諸費用といったコストも発生します。
変動金利と固定金利、それぞれの特徴や「向いている人」の条件をご自身の状況とよく照らし合わせ、ご自身のライフプランに合った最適な選択をすることが大切です。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
