家族による代理引き出しはなぜ危険?金融機関が口座を凍結する仕組み
「親のためのお金なのだから」と、家族が本人に代わってキャッシュカードで現金を引き出すケースは少なくありません。
しかし、この行為には大きなリスクが潜んでいます。なぜ、連日のように現金を引き出す行為は問題なのでしょうか。
金融機関の監視システムが「異常取引」と判断するケース
短期間にわたる連続した引き出しや、限度額上限での出金が続くと、金融機関のシステムはそれを「異常な取引」として検知することがあります。
近年、高齢者を標的とした「特殊詐欺(オレオレ詐欺など)」や「マネーロンダリング」が社会問題化しているため、金融機関はAIなどを活用して厳格なモニタリングを実施しています。
事例のような行動は、まさに詐欺グループが被害者の口座から現金を引き出す手口と似ていたため、システムによって自動的にロックがかけられてしまったと考えられます。
一時的な利用停止から本格的な「口座凍結」へ移行する流れ
防犯目的の一時的なロックを解除するには、原則として「口座名義人本人」が来店し、意思確認を行う必要があります。
しかし、すでに認知症が進行している親を窓口に連れて行くことは困難です。仮に同行できたとしても、対応した職員が「ご本人に意思能力(判断能力)がない」と判断した場合、事態はさらに悪化しかねません。
その場合、一時的な利用停止ではなく、本人保護を目的とした法的な「口座凍結」へと移行してしまう可能性があるからです。
大前提としてキャッシュカードの貸与は契約違反
根本的な問題として、たとえ家族であっても名義人以外の人物がキャッシュカードを使用し、暗証番号を入力して現金を引き出す行為は、多くの金融機関で利用規定違反(契約違反)とされています。
「介護費用に充てるのだから問題ないはずだ」という主張は心情的には理解できます。しかし、金融機関側からすれば「そのお金が本当に本人のために使われるのか、他の親族との間でトラブルは起きないか、一部の家族による使い込みではないか」といった点を確認する術がありません。
そのため、本人以外の利用を厳格に禁止するルールが設けられているのです。
早大卒。証券外務員二種・相続診断士。15年の書籍校閲で培ったファクトチェック力を武器に、一次資料に基づく「お金と暮らし」の分析記事を担当する編集記者。認知症介護経験をいかし、読者目線に立った情報発信も。
