【平均年収610万円】で約40年間「厚生年金に加入した人」の老後の年金受給額はいくら?
Sayuri I/shutterstock.com
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【平均年収610万円】で約40年間「厚生年金に加入した人」の老後の年金受給額はいくら?

4年連続の年金増額でも生活が楽にならない理由とは。物価高と年金の知っておきたい関係性

執筆者神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
11:20
【平均年収610万円】で約40年間「厚生年金に加入した人」の老後の年金受給額はいくら?
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2026年度の公的年金は4年連続で増額となり、国民年金や厚生年金のモデル額が引き上げられました。

しかし、現在の物価高の勢いを考えると、手放しでは喜べないのが現状です。

私はかつて銀行の個人リテール部門にて、資産形成から資産運用まで、幅広い世代のお客様のライフプランニングに携わってまいりました。

現場で数多くの年金相談を受ける中で痛感したのは、お客様一人ひとりの「実際の受給額」には働き方や収入によって大きな開きがあり、不安を抱える方が多いという現実です。

そこで本記事では、厚生労働省が公表する公式の試算データを基に、「平均年収610万円で約40年間厚生年金に加入した人」のリアルな老後受給額を徹底解説します。

物価高に負けない生活設計に向けて、知っておくべき年金の仕組みを元銀行リテール行員の視点からわかりやすくお伝えします。

厚生年金に約40年加入した男性の年金受給額はいくらになるのか

厚生労働省は2026年度の年金額改定と同時に、「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」も公表しました。

これは、公的年金への加入状況を基に、65歳時点で受け取る年金額の水準や分布をシミュレーションしたものです。

「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」

「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」
「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」

公表されたデータを見ると、厚生年金への加入期間が長い人ほど受給額は高くなる傾向にあります。

一方で、国民年金のみの場合は月額6万円程度にとどまるケースが多く見受けられます。

また、同じ公的年金制度であっても、就業年数や働き方、性別の違いによって受給額には大きな差が生じます。

2026年度は年金額が引き上げられましたが、ライフコースによる格差は依然として大きいといえるでしょう。

平均年収約610万円で働いた男性の年金モデルケース

厚生年金に約40年間加入し、平均年収がおよそ610万円であった男性の場合、2026年度の年金受給額は月額17万6793円と試算されています。

この金額には老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が含まれています。

基礎年金の約7万円に加えて、現役時代の報酬に比例した厚生年金が上乗せされる形です。

これは長期間にわたり厚生年金に加入してきたケースであり、公的年金の受給水準としては比較的高い部類に入ると考えられます。

2026年度の公的年金、国民年金と厚生年金のモデルケースはいくら?

厚生労働省が公表した2026年度の年金額モデルでは、国民年金と厚生年金の受給額が次のように示されています。

2026年度(令和8年度)の年金額の例

2026年度(令和8年度)の年金額の例
2026年度(令和8年度)の年金額の例
  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)

※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。

このように年齢によって受給額が異なります。

※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

厚生年金のモデル年金額として提示されている月額23万7279円は、夫婦2人分の合計額です。

このモデルは、平均標準報酬月額45万5000円で40年間勤務した会社員の夫が受け取る厚生年金と国民年金に、第3号被保険者や自営業者などであった妻の基礎年金を加えたケースを想定しています。

ただし、現代では共働き世帯や単身世帯、自営業者など、働き方や家族の形が多様化しているため、実際の年金額は人それぞれ大きく異なります。

したがって、この金額はあくまで参考となるモデルケースの一つとして考える必要があります。

ちなみに、2025年度のモデル年金額は23万2784円であり、2026年度はこれを上回る水準となりました。

今回の改定で、公的年金は4年連続の増額です。

また、国民年金の満額も2025年度の月額6万9308円から引き上げられています。

夫婦2人分の「モデル年金額」推移をチェック

モデル年金額の近年の推移

  • 2026年度:23万7279円
  • 2025年度:23万2784円
  • 2024年度:23万483円
  • 2023年度:22万4482円
  • 2022年度:21万9593円
  • 2021年度:22万496円
  • 2020年度:22万724円

マクロ経済スライドや物価・賃金の変動率が反映されるため、2022年度までは年金額がわずかに減少したり、横ばいだったりする傾向が見られました。

しかし、2023年度以降は物価と賃金の上昇率がマクロ経済スライドによる調整分を上回ったため、プラス改定が続いており、年金額が上昇していることが確認できます。

受給者にとってはプラスの改定といえますが、年金額の増加が直接的に生活のゆとりにつながるとは限りません。

実質的には受給額の価値が目減りしている側面もあり、その点については次で詳しく見ていきましょう。

年金額は増額でも手放しで喜べない?その背景にある仕組みとは

2026年度(令和8年度)の公的年金は、国民年金(老齢基礎年金)が前年度比1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%引き上げられ、4年続けての増額改定となりました。

しかし、年金額が増えたからといって、必ずしも生活が楽になるとはいえないのが実情です。

その背景には、物価の上昇ペースが年金額の伸びを上回っているという事実があります。

年金額の改定には、「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。

これは、少子高齢化にともなう現役世代の負担増を抑制しつつ、将来にわたって年金制度を持続させるための調整措置です。

年金額は本来、物価や賃金の変動率に基づいて見直されますが、マクロ経済スライドによって、そこから一定の調整率が差し引かれることになります。

2026年度は物価変動率が3.2%であったのに対し、年金額の改定率は国民年金で1.9%、厚生年金で2.0%にとどまりました。

つまり、支給される額面自体は増えていても、物価の上昇には追いついておらず、実質的な購買力は下がっている状況です。

同じ年金額でも買える物やサービスが減ってしまうため、「年金は増えたのに生活が苦しい」と感じる方もいるかもしれません。

なお、実際の受給額は加入期間や収入によって異なるため、ご自身の年金額を把握しておくことが重要です。

年金受給者には改定の時期に「年金振込通知書」が届きますので、一度確認してみるのがおすすめです。

国民年金と厚生年金の平均受給額は?実際のデータで確認

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、60歳代から90歳以上までの受給権者を対象とした平均年金月額が公開されています。

国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額

国民年金の平均額(全年齢)

国民年金の平均額(全年齢)
国民年金の平均額(全年齢)
  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額

厚生年金の平均額(全年齢)

厚生年金の平均額(全年齢)
厚生年金の平均額(全年齢)
  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

国民年金の平均受給額は、男女ともに月5万円台です。

一方、厚生年金では全体平均が15万円台ですが、男性と女性の受給額には約6万円もの差が見られます。

このような違いが生まれる背景には、厚生年金の制度設計が関係しています。

厚生年金は現役時代の収入や加入期間に応じて支給額が決まるため、働き方や勤務年数の差が将来の年金額に直接反映されるのです。

特に現在の高齢世代では、出産や育児、家庭の事情などを理由に女性が仕事を辞めたり、勤務時間を短くしたりするケースが少なくありませんでした。

その結果、厚生年金の加入期間や賃金水準に差が生まれ、平均受給額における男女間の格差として表れていると考えられます。

モデル年金と平均額の違いを把握し、自身の老後設計に活かそう

この記事では、2026年度の年金額モデルケースや厚生年金加入者の受給見込み額、そして国民年金・厚生年金の平均受給額を確認しながら、現在の年金事情について解説しました。

2026年度の公的年金は4年連続での増額改定となりましたが、実際の受給額は現役時代の働き方や収入によって千差万別です。

私は銀行の個人リテール部門で数多くの老後資金相談に乗ってまいりましたが、モデルケースの数字を鵜呑みにせず、「自分自身のリアルな受給見込み額」を早期に把握することこそが、安心できる生活設計の第一歩だと確信しています。

物価高という先行きが不透明な時代だからこそ、まずは日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで現状を正しく知り、ご自身に合った資産形成を進めていくことが大切です。

参考資料

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神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級

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