日経平均株価も7万円を挟んでの展開となるなど、マクロ環境においてインフレが進むことを織り込んで株価上昇が続いています。
過去の株価水準と比較すると短期的に急に上昇したため、一部では「日本株はバブルではないのか」という声もあります。
では、日本の株価の現在地点を見るためには、どうすればよいのでしょうか。今回は、日本企業の業績といったファンダメンタルズとPERやPBRといったバリュエーションの観点から、あらためて日本株の現在地点を振り返ってみましょう。
株価の上昇ペースを正当化するほど増益なのか
日本取引所グループの「統計月報」の「上場会社連結決算短信集計」を見てみましょう。
決算期が3月の上場企業1982社の売上高、営業利益、(親会社株主に帰属する)当期純利益の対前年同月比の変化率を見てみましょう。ただし、前年同月の上場企業数は2048社なのでApple to Appleの比較ではないということはお伝えしておきます。もっとも、株価は上場企業数の変化も踏まえて反映されていると思うので、ここでは単純に変化率だけを見て行きます。
- 売上高:+3.02%増
- 営業利益:+0.34%増
- 当期純利益:+5.14%増
こう見るとどうでしょうか。
売上高と当期純利益は伸びてはいるものの、力強い伸びとは言えません。
では、各月の決算期の上場企業の対前年同月比の変化率を見て行きましょう。
売上高
- 2025年3月:+4.00%
- 2025年4月:+8.00%
- 2025年5月:+4.64%
- 2025年6月:+9.01%
- 2025年7月:+14.06%
- 2025年8月:+9.84%
- 2025年9月:+7.46%
- 2025年10月:+8.47%
- 2025年11月:+8.01%
- 2025年12月:+3.58%
- 2026年1月:+5.09%
- 2026年2月:+0.76%
- 2026年3月:+3.02%
営業利益
- 2025年3月:+7.08%
- 2025年4月:+14.64%
- 2025年5月:+5.19%
- 2025年6月:+23.38%
- 2025年7月:+15.25%
- 2025年8月:+17.60%
- 2025年9月:+21.48%
- 2025年10月:+9.06%
- 2025年11月:+18.18%
- 2025年12月:+8.73%
- 2026年1月:+3.04%
- 2026年2月:+3.76%
- 2026年3月:+0.34%
当期純利益
- 2025年3月:+5.81%
- 2025年4月:+13.43%
- 2025年5月:-34.25%
- 2025年6月:+19.59%
- 2025年7月:+15.89%
- 2025年8月:+21.42%
- 2025年9月:+20.66%
- 2025年10月:-9.95%
- 2025年11月:+38.60%
- 2025年12月:+0.21%
- 2026年1月:-12.42%
- 2026年2月:+14.52%
- 2026年3月:+5.14%
特に株主にとって最も重要な利益である当期純利益については、でこぼこはあるが、昨年までは二桁台の成長率を実現する傾向もあったが、2025年12月以降はその変化率も雲行きが怪しくなっています。
また、企業の事業の傾向を表す営業利益を見てみましょう。こちらも昨年の12月からは一桁台の成長率に落ち着いています。
こうしてみると、ファンダメンタルズ的には業績改善のピークが過ぎた印象を受けます。では、バリュエーション的にはどうなのでしょうか。
PERとPBRの現在の水準
こちらも同様に、日本取引所グループの「統計月報」の「平均PER・PBR」の資料を見て行きましょう。
ここではプライムの企業についての加重平均ベースでのPERとPBRを見ていきます。
加重平均PER(倍)
- 2024年5月:19.9
- 2024年6月:17.4
- 2024年7月:17.3
- 2024年8月:16.8
- 2024年9月:16.4
- 2024年10月:16.7
- 2024年11月:16.5
- 2024年12月:17.2
- 2025年1月:17.2
- 2025年2月:16.6
- 2025年3月:16.4
- 2025年4月:16.5
- 2025年5月:17.3
- 2025年6月:16.0
- 2025年7月:16.5
- 2025年8月:17.2
- 2025年9月:17.5
- 2025年10月:18.6
- 2025年11月:18.8
- 2025年12月:18.9
- 2026年1月:19.8
- 2026年2月:21.8
- 2026年3月:19.2
- 2026年4月:20.4
- 2026年5月:21.8
26年5月時点では実績のPERは20倍を超えており、将来の業績拡大期待はあるものの、決して割安のバリュエーションには見えないでしょう。先ほども触れたとおり、利益成長率がほぼフラットに近づいている環境では、このバリュエーションをどこまで許容するのかが焦点になってきましょう。
加重平均PBR(倍)
- 2024年5月:1.6
- 2024年6月:1.4
- 2024年7月:1.4
- 2024年8月:1.4
- 2024年9月:1.3
- 2024年10月:1.4
- 2024年11月:1.3
- 2024年12月:1.4
- 2025年1月:1.4
- 2025年2月:1.3
- 2025年3月:1.3
- 2025年4月:1.3
- 2025年5月:1.4
- 2025年6月:1.4
- 2025年7月:1.4
- 2025年8月:1.5
- 2025年9月:1.5
- 2025年10月:1.6
- 2025年11月:1.6
- 2025年12月:1.6
- 2026年1月:1.7
- 2026年2月:1.9
- 2026年3月:1.7
- 2026年4月:1.8
- 2026年5月:1.9
PBRはROEともに見るべきですが、PBRで1.9倍となっているのを見ると日本株はすでにバリュー株という性質ではなく、立派な成長株として評価されていることがわかります。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。
日本人として大いに期待したい日本株。今後もさらに上値を狙っていってほしいところですが、ファンダメンタルズとバリュエーションを見ると更なる業績改善が欲しいところです。
AIやロボット等の活用によって企業の業績改善が進めば更なる株価上昇も期待できそうですが、ここからが正念場といったところです。
参考資料
- 日本取引所グループ「上場会社連結決算短信集計」
- 日本取引所グループ「平均PER・PBR」
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。元機関投資家。フィデリティ投信や日本生命で日本株式や米国株式の証券アナリストやファンドマネージャーとして勤務。東京科学大学大学院非常勤講師。
