日本航空<9201>、2027年3月期1Qは燃油高で当期利益▲80%。それでも黒字を守る "事業構造" を読み解く
yu_photo/Shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
17:20
日本航空<9201>、2027年3月期1Qは燃油高で当期利益▲80%。それでも黒字を守る "事業構造" を読み解く
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この記事はここがポイント

  • JALの27年3月期1Qは燃油高騰で当期利益▲80.2%減、航空本体は赤字転落。
  • マイル・金融事業は120億円の増益で、航空事業赤字を補填し全体黒字維持。
  • 業績回復も株価は2,400〜3,200円のレンジ、燃油高が重し。

インバウンドの追い風で、航空会社はさぞ好調だろう。そんなイメージを持つ人は多いのではないだろうか。

ところが日本航空<9201>の直近の決算を開けてみると、利益は大きく落ち込んでいる。旅客が戻っても、利益がそのまま伸びるとは限らない。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

燃油高が直撃した1Qの大幅減益

日本航空の2027年3月期第1四半期は、売上収益(IFRS)が5,237億円と前年同期比+11.2%の増収だった。にもかかわらず、親会社の所有者に帰属する四半期利益は53億円と、前年同期から▲80.2%の急減となった。増収と大幅減益が同居する決算である。

なぜ増収でも利益がここまで縮んだのか。会社の説明によれば、最大の要因は燃油費の急騰にある。航空燃油費は940億円から1,488億円へと+58.4%膨らみ、増収分を打ち消して余りある負担となった。背景には中東情勢の緊迫化に伴う燃油価格の高騰と、円安の進行があるという。

一方で、収入の中身は堅調だった。国際線では、好調なインバウンド需要に加え、燃油サーチャージの引き上げなどで単価が大きく上昇した。国際貨物収入も前年同期比+52.4%と伸びている。稼ぐ力そのものが落ちたわけではなく、外部要因のコスト増が利益を削った四半期だったと読み取れる。

航空本体を支えたマイル・金融事業

利益の中身をセグメント別に見ると、この四半期の構造がはっきりする。主力のフルサービスキャリア事業は、燃油高の直撃を受けてセグメント損益が8億円の赤字に転落した。前年同期は307億円の黒字だっただけに、落差は大きい。LCC事業も小幅な赤字となった。

その中で全体の黒字を支えたのが、マイル/金融・コマース事業である。この事業のセグメント利益は120億円と前年同期比+17.6%で増益を確保した。JALカードの取扱高の伸びや、海外金融事業者との提携拡大が寄与したと会社は説明している。

航空という本業が外部環境に振られる中で、非航空の事業が利益の土台を作る。コロナ禍を経てJALが進めてきた事業ポートフォリオの変革が、こうした局面で効いていると考えられる。旅客の回復だけでは語れない収益構造がある。

コロナ回復の到達点と、レンジ圏の株価

出所:各種資料をもとに筆者作成

少し長い目で見ると、JALの立ち位置が見えてくる。営業利益は、2022年3月期にコロナ禍で2,300億円超の赤字に沈んだあと、2026年3月期には2,000億円を超える水準まで回復した。自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益率)も直近通期で12.2%と、赤字だった数年前とは様変わりである。

財務の厚みも意外に映るかもしれない。自己資本比率は4割前後にあり、空運業の業種中央値である3割弱を上回る。機材投資で負債が重くなりやすい装置産業でありながら、コロナ後に資本を積み増して財務を立て直してきた姿がうかがえる。

こうした業績とは対照的に、株価は方向感に乏しい。2025年9月末以降でみると、2026年2月末に3,200円台まで上げる場面があった一方、春先には2,400円台まで下押しした。2026年8月時点では2,900円台と、おおむね2,400〜3,200円のレンジの中を行き来している。好業績からの一服と、燃油高への警戒が、株価をこのレンジに押しとどめているように見える。

筆者コメント

JALの決算を眺めていて意識したいのは、利益の「振られやすさ」だ。今回の大幅減益は、需要が細ったからではなく、燃油という外部変数がコストを押し上げたことが主因だった。航空事業は、自力ではコントロールしにくい燃油と為替に、利益を左右されやすい宿命を抱えている。

だからこそ、マイル・金融という非航空の柱が持つ意味は大きい。航空本体が赤字に沈んでも全体の黒字を守れたのは、この安定収益があったからだ。会社が進める事業構造の変革は、単なる多角化ではなく、利益の振れをならすための備えと受け止められる。

決算を追うときは、燃油や為替に揺れる航空本体の数字だけでなく、非航空事業がどれだけ土台を厚くしているかにも目を向けたい。単年度の増減率の裏で、収益の柱がどう組み替わっているかを見る視点が、この銘柄では有効だと考える。

参考資料

  • 日本航空株式会社 2026年3月期 決算短信

免責事項

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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