この記事はここがポイント
- 年間1200億円の休眠預金発生と、10年以上未利用口座の登録情報更新の徹底。
- 2026年3月末、家計金融資産2385兆6622億円のうち47.2%を占める「現金・預金」の多さ。
- 物価変動や低金利環境下での、自身の財産と「置き場所」を把握する資産管理の必要性。
筆者はファイナンシャルプランナー(FP)としてお客様の家計相談をお受けしているなかで、時折「そういえば、ずっと使っていない昔の口座があるのですが…」と、いわゆる「休眠預金」についてご質問をいただくことは意外と少なくありません。
日々の忙しさに追われていると、過去に作った口座のことまではなかなか気が回らないものです。しかし、家計全体のバランスや資産の「置き場所」を意識することは、健全なマネープランへの第一歩です。今回は、意外と身近にある休眠預金の基本と、日本銀行が発表した最新データから見える私たちの資産の現状について、一緒に考えてみましょう。
【休眠預金】10年以上出し入れしていない預金「年間1200億円」発生
「休眠預金」とは、一般的に長い間(およそ10年以上)お金の出し入れなどの取引が行われていない銀行口座の預金を指します。
進学や就職、引っ越しなどのライフイベントの際に新しく口座を開設したものの、その後使わなくなってしまい、存在自体を忘れてしまった……というケースが典型的です。通帳やキャッシュカードを紛失してしまったり、口座を開設した金融機関が合併して名前が変わってしまったりして、そのまま放置されていることも少なくありません。
この「10年以上取引がない預金」は、過去の実績をみると、毎年1200億円程度発生しています。これほど巨額の資金が、毎年だれにも気づかれずに眠ってしまっているのは驚きです。
「もしや自分にも眠っている口座があるかも」と思われた方は、一度古い通帳やカードが手元に残っていないか整理してみることをおすすめします。
休眠預金になりそうな場合、通知は来る?
ここで多くの方が疑問に思われるのが、「休眠預金になりそうな場合、銀行から何かお知らせや通知は来るの?」ということです。
政府広報オンラインによると、原則として休眠預金になる前には、金融機関から登録されている住所宛てに郵送で通知(電子メールでの通知を導入している金融機関もあります)が届く仕組みになっています。この通知を受け取ることで、休眠預金になるのを防ぐことができます。
休眠預金になるまでの流れ
しかし、ここで最も注意しなければならないのが、引っ越しをしたのに住所変更の手続きをしていなかったり、電子メールアドレスを変更したままにしていたりするケースです。
登録情報が古いままになっていると、金融機関からの大切な通知が届かず、本人が知らない間に休眠預金になってしまう可能性があります。
ですが、もし休眠預金になってしまったとしても、あきらめる必要はありません。
休眠預金となった後でも、取引のある金融機関で手続きをすれば、いつでも「元本+利息」を引き出すことができます。払い戻しに必要な書類などの詳しい手続きについては、取引のある各金融機関へ直接お問い合わせください。
【家計の資産構成】半分近くが「現金・預金」日本全体の金融資産残高は2385兆円以上
では、日本の家計全体ではどれくらいのお金が蓄えられているのでしょうか。
家計の金融資産
日本銀行が2026年6月25日に発表した「2026年第1四半期の資金循環(速報)」のデータを見てみましょう。これによると、2026年3月末時点における日本の家計の金融資産残高は、2385兆6622億円(約2386兆円)という巨額な規模に達しています。
その具体的な内訳(構成比)は以下のようになっています。
- 現金・預金:1126兆4252億円(構成比:47.2%)
- 保険・年金・定型保証:584兆171億円(構成比:24.5%)
- 株式等:398兆4827億円(構成比:16.7%)
- 投資信託:165兆3505億円(構成比:6.9%)
- 債務証券:36兆2380億円(構成比:1.5%)
- その他:75兆円(構成比:3.2%)
このデータから一目でわかるように、家計金融資産の半分近く(47.2%)にあたる1126兆円超が「現金・預金」として保有されています。他国と比較しても、日本の家計は非常に現預金を重視する安全志向が強い傾向にあります。
この膨大な現預金の中には、もしかすると誰にも気づかれずに眠り続けている「休眠預金」も、一部含まれているのかもしれません。
まとめにかえて
これほど多くの現預金が家計に存在している一方で、昨今は物価の変動や低金利の継続など、お金を取り巻く環境も少しずつ変化しています。
すべての預金を無理に投資に回す必要はありませんが、しかし、「ご自身の財産が、今どこに、どのような状態で置かれているか」をしっかり把握しておくことはとても大切です。
まずは、身の回りにある通帳を整理し、長年使っていない口座がないか、登録住所が古いままになっていないか確認してみてはいかがでしょうか。眠っていたお金を整理することで、家計の「今」がクリアに見え、これからのライフプランや資産形成のヒントが自然と見つかるかもしれません。一歩一歩、ご自身のペースで、心地よいお金との付き合い方を探っていけるといいですね。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
