この記事はここがポイント
- 国債は財務省、地方債は協会・証券会社、社債は証券会社サイトで情報収集
- 新発債情報は月の第1~2週に証券会社サイトで確認する効率的方法
- 決算期は社債発行が少ないため、時期を考慮した情報収集
債券投資に興味を持ったものの、「そもそもどこで新しい発行情報を手に入れればいいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
株式であれば日々の値動きや決算がニュースで大きく取り上げられますが、債券は投資家層が限定されているぶん、情報が自然に流れてくることは少なく、自分から積極的に調べにいく姿勢が欠かせません。
そこでこの記事では、個人向け国債・地方債・社債という3つの主要な債券について、それぞれの情報収集方法を解説していきます。
個人向け国債——財務省のサイトが一次情報源
個人向け国債は、発行体である国自身が情報を公開しているため、もっとも調べやすい債券といえるでしょう。
- 発行スケジュール(募集開始予定日など):財務省「発行スケジュール」
- 決定した利率や募集期間の案内:財務省「個人向け国債」トップページ
毎月発行されるため、まずはこの2つのページをブックマークしておくことが第一歩といえます。
個人向け国債の利率を決めるのに参考にされる、新発10年国債の入札が毎月上旬(第1〜第2火曜日あたり)に実施されます。
個人向け国債のスケジュールは、①10年国債入札の翌日に条件決定、②さらにその翌日から募集開始、という流れになっています。
地方債——地方債協会で発行計画、販売の有無は証券会社で確認
地方債は一般社団法人地方債協会のサイトから、各自治体の発行計画を確認できます。
ただし注意したいのは、地方債はもともと機関投資家向けに設計された商品が中心だという点です。
同じ銘柄でも個人向けに販売されるかどうかは自治体や証券会社の判断によるため、地方債協会のサイトで発行計画を把握したうえで、実際に個人向けの取り扱いがあるかどうかは、口座を持っている証券会社のサイトで別途確認する必要があります。
社債——「新発債券」ページのこまめなチェックがいちばんの近道
ソフトバンクグループの大型起債のような話題性の高い案件でない限り、企業の社債発行が大々的に報じられることは稀です。
そのため、口座を持っている証券会社のサイトにある「新発債券」のページをこまめにチェックするのが、実は一番の近道になります。
そもそも新発債の利率はどう決まっていくのか
新発債の利率は、その月の発行の中で信用力が最も高いクラスの銘柄から順番に決まっていく傾向があります。
具体的には、国債→地方債という順で条件が固まり、こうした最上位クラスの利率の居所が定まったあとに、社債の条件決定が続くケースが多く見られます(ただし、必ずしもこの順番が守られるとは限りません)。
チェックの手間を省きたい場合は、月の第1~2週を狙って証券会社のサイトを確認すると、新発債の情報を効率よくキャッチしやすくなるでしょう。
決算期は社債発行の「静かな時期」になりやすい
また、決算発表が集中する時期は、社債を発行する企業にとって「IR活動を控える沈黙期間」にあたるため、この時期の社債発行は限られる傾向があります。
四半期決算が集中する時期を避けてチェックの頻度を調整するのも、効率的な情報収集の一つの手といえるでしょう。
上級者向けの豆知識——EDINETで「発行登録追補書類」を追う
広く投資家を募る「公募債」の場合、企業は有価証券届出書などによる情報開示が必要です。
ただし、あらかじめ「発行登録制度」の手続きを済ませている会社であれば、発行のたびに作成負担の重い有価証券届出書を提出する必要はなく、より簡易な「発行登録追補書類」を提出すれば足ります。
手続き負担や準備期間を軽減できるため、多くの企業がこの制度を利用しています。
新規の社債発行を早めに察知したい場合は、金融庁が提供する開示システム「EDINET」上で、この「発行登録追補書類」の新たな提出がないかを確認する方法があります。
新たな提出があれば、その企業が新規に社債の発行準備を進めていることがわかる、というわけです。
注意したいのは、EDNETで書類を発見したとしても、ほとんどは「機関投資家向け」になります。
追補書類で個人向けの社債かどうかは、「各社債の金額」という項目が「10万円」や「100万円」といった小さい単位になっているかどうかで見分けます(電力債などを除く)。
この金額が「1億円」などに設定されている場合は機関投資家向けです。
とはいえ、ほとんどの企業はこの書類の提出とほぼ同時に、自社サイトのIRニュースとして発行情報を掲出します。
書類そのものを読み解くよりも、読みやすく整理されているIRニュースを確認するほうが、実務的にはおすすめです。
筆者コメント:根気強く続けることで「常連銘柄」が見えてくる
株式と違って、債券は投資家層が限定される分、情報収集はやや難しく感じられるかもしれません。
積極的に調べにいかないと情報が入ってこないケースがほとんどだからです。
ただし、個人向けに債券を発行する自治体や企業は数が限られています。
根気強く情報収集を続けていくうちに、よく登場する「常連銘柄」や、おおよその起債時期の傾向がつかめるようになってくるでしょう。
債券投資の第一歩として、まずは情報収集の習慣づくりから始めてみてはいかがでしょうか。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
