【遺族厚生年金】2028年4月からの見直しで影響を「受ける人」と「受けない人」とは?具体例で現行制度と比較
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【遺族厚生年金】2028年4月からの見直しで影響を「受ける人」と「受けない人」とは?具体例で現行制度と比較

《新たに対象になる人・5年間の有期給付の人・ずっともらえる人》

執筆者和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ
20:22
【遺族厚生年金】2028年4月からの見直しで影響を「受ける人」と「受けない人」とは?具体例で現行制度と比較
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「遺族年金なんて、まだ現役世代の自分たちには関係のない話」と思っていませんか?

筆者は銀行員時代、20歳代〜50歳代の現役世代の死亡手続きを受けることが度々ありました。

若くしてパートナーを亡くすリスクは、誰にでも起こり得る現実です。

だからこそ知っておきたいのが、2028年4月に控える遺族厚生年金の大改正。これまで「一生もらえる」はずだった保障が5年間の有期給付になるなど、これまでと大きく変わってしまいます。

「万が一のときには、国がずっと守ってくれる」という思い込みのままだと、将来の家計を維持できなくなる可能性もあるかもしれません。

本記事では、遺族厚生年金の見直しについて、現行制度と比較しながら、シミュレーションを交えて解説します。

【2028年4月施行】遺族厚生年金の見直しとは?

現行の遺族厚生年金制度は、

  • 子どもが18歳年度末になるまでは手厚く守り
  • 子どもが育った後も、65歳まで中高齢寡婦加算などでサポートする

という仕組みになっています。

しかし、2028年4月より「現役世代のうちは子どもが育ったら5年で打ち切る(子なしの現役世代も5年の有期給付)代わりに、老後は納めた分だけ自分の年金に上乗せする」という、自立と共働きを前提とした仕組みへと変わります。

実際にどのように変わるのか、具体的なモデルケースで受取額を比較してみましょう。

【具体例】夫30歳(会社員)・妻30歳・子2歳の場合のシミュレーション

  • 夫の厚生年金加入期間:8年間(平均月収35万円)
  • 妻の老後の年金:基礎年金満額を年額90万円、自身の厚生年金を月額7万円(年額84万円)と仮定

※ご注意事項:このシミュレーションは、制度改正による変化を具体的にイメージしていただくためのモデルケースであり、任意の数字を用いた概算です。実際の受給額は加入期間や収入によって個々人で異なります。 また、今回の見直しは生活への影響の大きさに配慮し、現在の受給者や40代以上の方を守りつつ、20年以上という長い時間をかけて段階的に進められる設計となっています。

遺族厚生年金の改正でどう変わる?《シミュレーション》

遺族厚生年金の改正でどう変わる?《シミュレーション》
出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」を参考に試算し編集部にて作成
遺族厚生年金の改正でどう変わる?《シミュレーション》

現行制度

妻30歳〜46歳(子2歳〜18歳年度末)

年額:約148万円(月額:約12.3万円)

  • 遺族基礎:約105万円
  • 遺族厚生:約43.2万円

妻47歳〜64歳

約104.4万円(月額:約8.7万円)

  • 遺族基礎:なし
  • 遺族厚生:約43.2万円
  • 中高齢加算:約61.2万円

妻65歳以降(老後)

年額:約174万円

  • 基礎年金:約90万円
  • 厚生年金:約84万円

※妻自身の年金(基礎+厚生)のみ(夫の遺族厚生年金は消滅)

見直し後

2028年4月以降 適用後のイメージ ※女性は20年かけて段階的に実施予定です。

妻30歳〜46歳(子2歳〜18歳年度末)

年額:約151.7万円(月額:約12.6万円)

  • 遺族基礎:約108万円(※子の加算が年額約23.5万円→約28.2万円に増額)
  • 遺族厚生:約43.2万円

現行制度より子の加算額がアップし、さらに手厚くなります。

妻47歳〜51歳

  • 年額:約56.2万円(月額:約4.7万円)

5年間の有期給付 ※有期給付加算により現行の約1.3倍に増額(43.2万円×1.3倍≒56.2万円)。加えて、中高齢寡婦加算は施行後25年かけて段階的に縮小されるため、移行期間中は縮小された額が上乗せで支給されます。

妻52歳〜64歳

  • 年額:原則0円(※収入が一定水準以下の場合は「継続給付」として支給が継続)

5年間の有期給付終了後は原則ストップ。ただし、単身で年収約122万円以下など低収入の場合や、障害状態にある場合は継続給付として引き続き受給できます。

妻65歳以降(老後)

年額:年額 約183.2万円

  • 基礎年金:約90万円
  • 厚生年金:約84万円
  • 死亡時分割:約9.2万円

死亡時分割で妻の年金に夫の分を上乗せ

死亡時分割は、現行の「離婚分割」の仕組みをベースにしています。

子どもが18歳までもらえる遺族厚生年金には「若くして亡くなったから、25年間加入していたとみなして計算してあげる」という救済措置(みなし25年)がありますが、老後の年金に上乗せされる「死亡時分割」には、このみなし措置は適用されず、原則として「実際の婚姻期間(=加入期間の8年)」の記録が2分割されます。

今回のケース(平均月収35万円・加入8年)で、実際の記録を計算して2分割すると以下のようになります。

  • 夫の実際の8年間の年金記録:年額 約18.4万円
  • 妻に分割(1/2)して上乗せされる額:年額 約9.2万円(月額 約7600円)

遺族厚生年金の改正により、どのような違いが生じるかイメージできましたか?

子どもが18歳になるまでは新旧どちらも同じですが、子どもが巣立った後が激変してしまいます。現行制度なら65歳まで月約8.9万円が支給され続けましたが、見直し後は5年間限定の支給となり、その後65歳までは「0円」になります。

一方で、老後は夫の分を自分の年金に「上乗せ(合算)」できるようになるため、共働きでキャリアを積んできた人ほど老後が手厚くなる仕組みです。

ただし、若くしてパートナーを亡くした場合、老後に上乗せ(死亡時分割)される額は、婚姻期間(加入期間)が短いために月額数千円程度にとどまる可能性が高くなります。

2028年4月施行「遺族厚生年金の見直し」で大きく変わる3つのポイント

今回の改正で現行制度から大きく変わるポイントは、主に以下の3点です。

遺族厚生年金の見直し

遺族厚生年金の見直し
遺族厚生年金の見直し

① 60歳未満の「有期給付(5年間)」化と男女差の解消

現行制度では「30歳未満の子なし妻」だけが5年限定でしたが、今回の見直しで「60歳未満で子のいない現役世代」が男女問わず原則5年間の有期給付となります。

※ただし、低収入や障害がある場合は継続給付の救済措置があります。

大きなポイントは、男性については施行される2028年4月から一斉に対象となる点です。

これまで遺族年金をもらえなかった20歳代〜50歳代の男性も、すぐに5年間の給付を受けられるようになります。

一方、女性の対象年齢の引き上げについては、現在の受給者に配慮し、2028年4月から20年かけて段階的に実施されます。

② 所得制限(年収850万円未満)の撤廃

これまで遺族年金をもらえなかった「年収850万円以上」の世帯でも、改正後は収入に関係なく受給できるようになり、公平性が高まります。

③「死亡時分割制度」の新設で老後は合算可能に

共働き世帯の場合、これまでは「自分の厚生年金」と「夫の遺族厚生年金」のどちらか高い方しか選べず、片方が実質消滅していました。

改正後は、夫の年金記録を分割して自分の年金に上乗せできるようになります。

遺族厚生年金の見直し、影響を「受ける人」と「受けない人」

今回の見直しによって、ライフプランの見直しが必要な人とそうでない人がはっきりと分かれます。特に「年齢」と「性別」によって、影響の中身がまったく異なる点がポイントです。

給付が縮小する影響を受ける人

  • 2028年度時点で40歳未満の女性(子なし)

若くしてパートナーを亡くした場合、子どもが18歳を過ぎた後、65歳になるまでの期間の遺族年金が終身給付から5年間の有期給付に短縮されます。

5年間は現行の約1.3倍に増額されますが、その後は収入状況に応じた継続給付の対象となるかどうかも踏まえ、生命保険や貯蓄で不足分を補っておく必要があります。

※2028年4月から20年かけて段階的に実施予定です。

新たに給付の対象になる人(拡充)

  • 子のない20〜50代の男性(夫)

現行制度では55歳未満の夫は遺族厚生年金を受け取れませんでしたが、改正後は新たに5年間の有期給付が受けられるようになります。これはネガティブな変化ではなく、これまでの男女差が是正されるプラスの拡充です。

影響を受けない人

  • 2028年度時点で40歳以上の女性
    ※20年かけて段階的に引き上げられるため、2028年時点で40歳以上の女性は新制度の対象にはならず、現行制度(終身給付)のまま守られます。
  • すでに遺族年金を受給している人
  • 配偶者が亡くなった時点で60歳以上の人

※どの世代であっても「子どもが18歳未満の期間」については、子の加算額が増額され、現行制度よりさらに手厚い保障が受けられます。

まとめ

2028年4月、遺族厚生年金の見直しが行われます。

年齢や家族構成により、影響の有無やその度合いが異なりますので、自分の場合はどうなるのか?を確認しておきましょう。

ご自身の、ご家族の「もしものとき」を想定し、国がどこまで守ってくれるのかを知っておくことは、ライフプランを立てる上で不可欠です。

公的な支援でカバーできない部分は、それぞれで備えておく必要があるからです。

家族の安心のために、生命保険の保障額や資産の状況などを把握し、適宜見直していきましょう。

参考資料

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和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ

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