この記事はここがポイント
- 障害年金は老後のみならず現役世代の病気やケガを支える社会保障制度
- 障害基礎年金は1級105万9125円・2級84万7300円、障害厚生年金は報酬比例の年金額に配偶者加算など
- 令和6年度統計では精神・知的障がいが約7割、再認定の約73%が3年・5年更新の傾向
- 2026年も折り返し地点を過ぎ、夏の暑さが本格化してきました。日々の疲れから、心身の不調を感じているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として家計やお金のご相談をお受けしていると、心の病は誰にも気づかれにくく、生活するのに困難を抱えているかたもなかにはいらっしゃると感じます。そんな万が一の時に生活の支えとなるのが「障害年金」です。老後のイメージが強い年金ですが、実は現役世代のケガや病気も対象となります。
今回は、日本年金機構が公表した令和6年度の障害年金業務統計をもとに、受給金額の目安や対象となる疾患、更新期間の仕組みについて解説します。
障害年金の年間支給額の目安、「1〜3級」の等級ごとに確認
障害年金をはじめとした日本の公的年金は、老後の備えとしてだけではなく、病気やけがなど現役世代の「もしも」を支える重要な社会保障制度です。
支給される障害年金の額は、加入していた年金の種類や障がいの程度、家族構成(配偶者や子)などによって異なります。また、これらの支給額は物価や賃金の変動に応じて毎年見直されます。
障害年金の年間支給額(令和8年度)
障害基礎年金
定額で支給されます。対象となる子(※原則18歳到達年度の末日までの子)がいる場合は、加算額が上乗せされます。
- 1級:105万9125円
- 2級:84万7300円
- 子の加算(1人目・2人目):1人につき24万3800円
- 子の加算(3人目以降):1人につき8万1300円
※金額は令和8年度の67歳以下新規裁定者の場合)
障害厚生年金
厚生年金加入期間中の報酬額と加入期間に基づいて算出されます(報酬比例の年金額)。1級・2級に該当する場合は、上記の「障害基礎年金」もあわせて支給されます。
- 1級:報酬比例の年金額の1.25倍 + 配偶者加算
- 2級:報酬比例の年金額 + 配偶者加算
- 3級:報酬比例の年金額(※厚生年金加入者のみ対象)
- 障害手当金:一時金として支給(※厚生年金加入者のみ対象)
- 配偶者加算:24万3800円(65歳未満の配偶者がいる場合・令和8年度)
働き方や家族構成によって受け取れる内容に違いはありますが、いざという時に自分や家族の生活を根底から支える大切な「命綱」となる制度です。日頃からその存在を正しく理解しておくことが重要と言えるでしょう。
再認定の約7割が3年・5年で更新「一生もらえるとは限らない」更新期間別支給件数をみる
障害年金は症状が永久固定となっている場合を除き、1〜5年ごとの定期的な更新が必要となりますが、その期間がどのように設定されているか確認してみましょう。
新規裁定
新規で受給が決定した際の更新期間ごとの件数(計130441件)は以下の通りです。
- 1年:4191件
- 2年:38124件
- 3年:37888件
- 4年:308件
- 5年:38895件
- 永久固定:11035件
再認定
令和6年度《再認定》更新期間別支給件数
再認定時の更新期間ごとの件数(計306248件)は以下の通りです。
- 1年:2983件
- 2年:18824件
- 3年:110973件
- 4年:5183件
- 5年:114034件
- 永久固定:54251件
新規裁定時には2年、3年、5年の期間がそれぞれ3割前後と同程度になっていますが、再認定時には3年と5年に集中して更新される傾向が見られます。
新規裁定の約67%が精神・知的障がい!「どんな障がいで支給されている?」診断書種類別支給件数をみる
障害年金の対象となる主な病気やけが
障害年金は、身体の障がいだけでなく、がんや精神疾患などで仕事や生活に制限が生じた際に、障害者手帳の有無にかかわらず支給されることもあり私たちの生活を助けてくれます。
実際に、障害年金がどのような障がいで受給されているのか、令和6年度の決定分(正誤表反映済)のデータをもとに診断書の分類別で見てみましょう。
新規裁定
新たに障害年金の受給が決定した件数(障害基礎・厚生合計:129313件)の内訳は以下の通りです。
- 精神・知的障がい:87112件(約67.4%)
- 外部障がい(眼、聴覚、肢体など):26787件(約20.7%)
- 内部障がい(呼吸器、循環器、腎疾患など):15414件(約11.9%)
再認定
更新によって引き続き受給が決定した件数(障害基礎・厚生合計:304658件)の内訳は以下の通りです。
- 精神・知的障がい:240478件(約78.9%)
- 外部障がい(眼、聴覚、肢体など):37224件(約12.2%)
- 内部障がい(呼吸器、循環器、腎疾患など):26956件(約8.8%)
新規裁定・再認定のいずれにおいても、「精神障がい・知的障がい」が全体の過半数を占めており、最も支給件数が多いことが分かります。
まとめにかえて
今回は、日本年金機構の「障害年金業務統計」をもとに、障害年金の金額や対象疾患について解説しました。多くのかたにとって、年金といえば老後に受け取るものという印象が強いかもしれません。
しかし、実際にはうつ病やがんなど、身近な病気で働けなくなった際にも私たちを助けてくれる大切な社会保障制度です。統計からもわかるように、精神疾患で受給しているかたは多く、誰にとっても決してひとごとではありません。
働き方や家族構成によって支給の条件や内容は異なりますが、事前に社会保障の存在を知っておくことが、いざという時の安心感に繋がります。もしご自身やご家族が心身の不調で苦しい状況に直面したときは、一人で抱え込まずに専門機関や年金事務所へ相談してみてください。
障害年金というセーフティネットがあることを知っていれば、将来への不安を和らげ、治療や休養に専念するための大きな心の支えとなるはずです。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
