この記事はここがポイント
- 50代からの新NISA開始は、女性の寿命中位数90.04歳を鑑みても遅くない現実。
- 新NISAで毎月5万円積立の場合、55歳から10年で約176万円増に留まる試算。
- 新NISAは元本割れリスクや非課税枠上限に注意し、余裕資金での取り組みが失敗回避の鉄則。
「新NISAで積み立てを始めたいけれど、今からではもう遅いのではないか……」
ニュースなどでNISAの話題を見聞きするたび、そんな風に迷っていませんか?特に、50代からスタートすべきかどうか悩んでいる人は非常に多いと感じます。
結論から言うと、決して遅くありません。しかし、「とりあえず始める」前に知っておくべき残酷な現実と、絶対にやってはいけない選び方があります。
本記事では、50代が直視すべき「寿命の現実」と、毎月5万円を積み立てた場合の年齢別シミュレーションを確認したうえで、元銀行員の視点から「50代がNISAで失敗しないための鉄則」を解説します。
50代からではもう遅い?「リアルな寿命」から逆算する厳しい現実
「50代から投資を始めるなんて、もう遅いのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、これからの時代、50代からの資産形成は決して遅いわけではなく、むしろ「マスト(必須)」と言えます。
その最大の理由は、私たちが想像している以上に「リアルな寿命」が長いからです。
よくニュースなどで「平均寿命(男性約81歳・女性約87歳)」という言葉を耳にしますが、老後資金を考える上でもう一つ重要視すべきなのが「寿命中位数」というデータです。
これは「ちょうど半数の人がその年齢まで生存する」という実態に近い指標なのですが、厚生労働省の最新データ(令和6年)によると、寿命中位数は男性が83.89歳、女性はなんと90.04歳に達しています。
令和6年簡易生命表の概況
つまり、女性の半数は90歳を迎え、現在50代の方であっても、この先の人生はまだ30年〜40年近く続くということです。
「65歳の退職までに急いで増やさなきゃ」と焦る必要はありません。退職後も運用を続けながら少しずつ取り崩していくことを考えれば、50代からのスタートでも投資期間は十分に確保できます。
さらに現在は物価が高騰し、持っているお金の価値が目減りしていく時代です。30年〜40年という長い老後の「資産寿命」を延ばすために、お金にも働いてもらう必要があるのです。
35歳・45歳・55歳から毎月5万円の積立投資でシミュレーション。10年の投資で将来の資産はどれだけ変わるのか
では、10年間の投資で資産はどのくらいに育つのでしょうか。ここでは金融庁の「つみたてシミュレーター」と同じ考え方で、年利3%と年利5%で運用できた場合を試算します。始める年齢は、30歳代を35歳、40歳代を45歳、50歳代を55歳と置き、それぞれ65歳までの年数で計算しました。
35歳から30年間積み立てた場合
- 元本:1800万円
- 年利3%:約2914万円
- 年利5%:約4161万円
30年という長い期間があるため、複利の効果がもっとも大きく働きます。年利5%で運用できた場合、元本1800万円に対して2000万円以上がふえる試算です。元本がちょうど生涯非課税枠の1800万円にあたる点も、30歳代ならではの特徴です。
45歳から20年間積み立てた場合
- 元本:1200万円
- 年利3%:約1642万円
- 年利5%:約2055万円
20年間でも、年利5%なら元本1200万円が2000万円台に届く試算です。30歳代と比べると期間が10年短くなるぶん、増える金額の伸びはゆるやかになります。それでも、20年という時間は複利を働かせるのに十分な長さだといえるでしょう。
55歳から10年間積み立てた場合
- 元本:600万円
- 年利3%:約699万円
- 年利5%:約776万円
10年間の場合、増える金額は年利5%でも約176万円と、これまでの年代に比べて小さくなります。運用できる期間が短いほど、複利の効果は控えめになるためです。とはいえ、預貯金だけの場合と比べれば、非課税で運用できるメリットは残ります。50歳代から始める場合は、増やすことに加えて、使う時期を見据えた無理のない積立額を考えることが大切です。
3つの年代を並べると、同じ毎月5万円でも、始める年齢が早いほど将来の資産額に差がつくことがわかります。これは、運用期間が長いほど複利が大きく働くためです。一方で、ここでの年利はあくまで一定で運用できた場合の前提であり、実際の成績は市場によって上下します。金融庁などのシミュレーターでも、ご自身の条件で実際の数値を確かめてみるとよいでしょう。
みずほ銀行出身。FP2級保有。確定拠出年金の講師として全国でセミナーに登壇。フィンテック企業広報を経て、現在はLIMOで官公庁データを基に、年金や資産運用、新NISA、iDeCo等の記事を執筆。
