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貯蓄ゼロが約2割の一方で運用益の恩恵も。データで読み解く40歳代・50歳代の「リアルな貯蓄事情」

「M字カーブの谷」を抜けた矢先に直面した親の介護。想定外の働き方の変化による収入減の体験を交え、これからの生活防衛のヒントを探ります

執筆者熊谷 良子編集者
05:00

【当事者エピソード】「M字カーブの谷」を抜けた矢先のダブルケア。本当の恐怖は想定外の収入減

「想定外の働き方の変化(収入減)」は、決して他人事ではありません。

ここからは少し、筆者自身の経験をお話しします。

女性の就業率が出産・育児期に落ち込む現象を「M字カーブ」と呼びますが、今の40歳代・50歳代はまさに、育児のために働き方をセーブしてきた人が多い世代です。

筆者自身も例外ではなく、子育てが少し落ち着き、「さあ、ここからフルタイムで働いて自分たちの老後資金を巻き返そう」と考えていた矢先……老親に本格的な介護が必要となりました。

育児と介護が重なる「ダブルケア」に直面して痛感したのは、日々の介護サポートや病院への付き添いなどに追われ、想像以上に「時間」が奪われてしまうという現実でした。その結果、フルタイムで働き続けることが難しくなり、職場の介護時短制度を利用せざるを得なくなりました。

時短勤務によって働き方が制限されたことで、自分自身の収入も減少しました。

共働き世帯の長期的な資産形成は、夫婦の収入という「ダブルエンジン」が続くことを前提に計画されているケースが多いでしょう。

40歳代・50歳代はただでさえ子どもの教育費がピークを迎える時期。

一つのエンジンが失速したことで日々の生活費や教育費の負担がより重くのしかかり、本来なら老後資金の「最大の貯めどき」であるはずの時期に、思い描いていたような資産形成ができなくなることもあるわけです。

自分たちの老後に向けた資産形成にフルコミットできる期間は、親の介護などの不確実なリスクによって思いのほか短いのだと、身をもって経験する出来事でした。

※厚生労働省の最新データによると、女性の厚生年金平均受給額は約11万円と男性の約17万円を大きく下回ります。近年、女性の就業率が向上し「M字カーブはほぼ解消された」と言われていますが、今の40歳代・50歳代が過去に経験した就業調整や、現在の介護によるキャリアの中断・時短勤務などが、依然として将来の年金格差に影を落としていると考えられます。

まとめ:これからの資産形成と取り崩しで意識したいこと

総務省の最新の「家計調査報告 家計収支編 2025年」によると、65歳以上の無職夫婦世帯では、年金などの収入(約25万4000円)に対して支出(約29万6000円)が上回り、毎月約4万2000円の赤字が発生しています。

老後も貯蓄の取り崩しが続くのが現実です。

40歳代・50歳代は、キャリアの成熟期であると同時に、自身の老後に向けた「後半戦」の入り口でもあります。

筆者のように、ダブルケアといった不確実なリスクによって働き方が制限される可能性もゼロではありません。

だからこそ、他の家庭と比べすぎることはせず「自分たちのペース」で家計を把握することが大切です。

給与からの「先取り貯金」を習慣化したり、NISAやiDeCoといった税制優遇制度を無理のない範囲で活用したりしながら、現役時代から計画的に資産を育てていく視点が今まで以上に求められているでしょう。

参考資料

熊谷 良子編集者

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