投資家が注目すべきポイント:テーマによる「選別」
これまで見てきたように、重工3社は「AI・電力」「フィジカルAI」「国防」「脱炭素」という全く異なる投資テーマにまたがって事業を展開しています。
各社の財務的な実態(会社計画)を見ると、その「顔」の違いがより鮮明になります。
例えばIHIの場合、FY2026(2026年度)の会社計画では、航空・宇宙・防衛セグメントの営業利益が1,300億円と見込まれており、全社の利益を牽引する圧倒的な柱となっています。IHIは戦闘機のエンジンを国内で唯一作れる企業であり、販売後のメンテナンス(アフターマーケット)で長期的に稼ぐストックビジネスの強みを持っています。
IHI セグメント別営業利益の構成(FY2026会社計画)
一方で川崎重工は、売上の規模で言えばバイクなどを扱う「パワースポーツ&エンジン」部門が大きいものの、FY2026の計画で利益を稼ぎ出すのは「航空宇宙システム」(720億円)や「エネルギーソリューション&マリン」(690億円)です。
このように、同じ「重工」という括りであっても、利益の源泉や関与するテーマはバラバラです。泉田氏は、投資家がこれら企業に向き合う際のスタンスを次のように結論づけています。
「それぞれテーマが違うんで、1塊で重工買います、重工3社を買いますっていうのは言えないので、1個1個どのテーマでこの会社を買うのか売るのかっていうのは決めていかないといけない」
まとめ
重工3社に投資マネーが集まる本当の理由は、彼らが単なる防衛企業ではなく、現代社会が抱える電力不足、労働力不足(ロボット)、環境問題(脱炭素)といった巨大な課題を解決する技術を持っているからです。
株式投資を考える際は、「防衛関連だから買う」といった表面的な見方ではなく、「データセンターの電力需要を狙って三菱重工のガスタービンに注目する」「NVIDIAとの連携に期待して川崎重工のロボット事業を評価する」といったように、テーマと企業の強みを結びつけて選別することが重要です。
長期的な視点では、各社が現在しっかりと利益を出せている事業を見極め、そこに新たな投資テーマの波がどう乗ってくるのかを掛け合わせて判断することが、重工3社への投資を成功させる鍵となるでしょう。
なお、本記事は動画内容の解説を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。
参考資料
- 三菱重工業株式会社「2026年3月期 決算短信」(2026年5月)
- 三菱重工業株式会社「2026年3月期 決算説明資料」(2026年5月)
- 川崎重工業株式会社「2026年3月期 決算短信」(2026年5月)
- 川崎重工業株式会社「2026年3月期 決算説明資料」(2026年5月)
- 株式会社IHI「2026年3月期 決算短信」(2026年5月)
- 株式会社IHI「2026年3月期 決算説明資料」(2026年5月)
- YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
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株式会社モニクルリサーチ代表取締役。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。元機関投資家。フィデリティ投信や日本生命で日本株式や米国株式の証券アナリストやファンドマネージャーとして勤務。東京科学大学大学院非常勤講師。
