この記事はここがポイント
- IHIは2026年3月期、営業増益と当期利益プラス42.8%、ROE28.4%のV字回復。
- 回復は防衛・航空エンジンが牽引し、2027年3月期は大幅増収増益の計画。
- 株価は3,215円から4,303円へ急騰後調整局面、1Q決算が焦点。
一度は大きな赤字に沈んだ会社が、防衛と航空エンジンを追い風に息を吹き返している。IHI(7013)の前通期の本決算は営業増益で着地し、当期利益は4割を超えて伸びた。株価は2026年に入って急騰と調整をこなしてきた。2027年3月期1Q決算の発表を前に、前通期からの回復の中身をたどっていこう。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
2026年2月末の急騰と、その後の調整
IHIの株価は、2025年10月末の3,215円からいったん下押ししたのち、2026年2月末には4,303円と高い水準まで駆け上がった。防衛関連への関心の高まりなどが意識された可能性はあるが、短期間の急騰だけに背景を一つに絞るのは難しい。
その後は水準を切り下げ、2026年6月末には2,712円と、同じ期間で最も低い月末水準まで下げた。7月末は2,828円と小幅に戻している。急騰の反動をこなしながら、高値と安値の間で振れている局面だ。
通期は営業増益、当期利益は4割超増
2026年3月期通期は、売上収益が1兆6,434億円、営業利益が1,655億円と前期比プラス15.3%、当期利益(IFRS)が1,610億円と同プラス42.8%となった。売上の伸びは小幅だが、利益の伸びが大きい。
利益はなぜ伸びたのか。会社によると、3Q累計時点で受注高が前年同期比プラス12.4%の1兆3,648億円に達し、防衛事業の拡大や、民間向け航空エンジンのアフターマーケット(整備や部品などの販売)の堅調がけん引した。一方で、中核事業の一部譲渡に伴う減収や、民間向け航空エンジンの整備費用の増加もあり、伸びる分野と鈍い分野が混在する決算だった。前期の2025年3月期も、前々期の損失計上の反動を背景に、受注高がプラス27.2%の1兆7,511億円、売上収益がプラス23.0%の1兆6,268億円へ伸びていた。回復は単年の跳ねではなく、受注を伴って続いている。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
