執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
17:00

前期通期も過去最高。株価だけが逆を向く

好調は1Qに限らない。前期の2026年2月期通期も、営業収益が10兆7,153億円、営業利益が2,705億円と過去最高を更新した。純利益は727億円と前期比プラス167.5%に伸びたが、会社はこれを、ツルハの連結子会社化により生じた段階取得に係る差益が構造改革のコストを吸収したためとしている。

過去5期の営業利益をたどると、2022年2月期の1,743億円から、2,098億円、2,508億円と積み上がり、いったん2,377億円へ緩んだのち、直近は2,705億円へと水準を切り上げてきた。にもかかわらず株価は逆を向いており、決算が示す事実と株価の動きが噛み合わないのが、いまの局面だ。

低い自己資本比率が映す「複合企業」の姿

もう一つ押さえておきたいのが財務の形だ。イオンの自己資本比率は7.9%と、事業会社としては極端に低い。これは総合金融事業を抱え、総資産が15兆円規模に膨らんでいるためで、単純な健全性の低さとは意味が異なる。自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益の効率)は6.4%と、小売業の中央値である7%台をやや下回る水準にある。

株主還元では年間配当を15円とし、会社は連続増配を続けている。そのうえで今期の通期については、営業収益12兆円とプラス12.0%、営業利益3,400億円とプラス25.7%のさらなる増収増益を見込む。過去最高益の更新が続く計画だ。利益の増加トレンドと株価の弱さというギャップは、通期を通じても解消されるかどうかが注目を集める。

筆者コメント

過去最高益を更新し続ける会社の株価が、なぜ1年足らずで半値近くまで下げたのか。この問いに一つの答えを出すのは難しいが、事業の中身と市場の評価の間に温度差があることは確かだろう。

会社が挙げた利益ドライバーは、ディベロッパーやアセアン、ドラッグ統合といった、小売の主戦場やメインテーマとはやや離れた領域だ。本業のスーパーが薄利であることは変わらず、複合的に稼ぐ構造が利益を押し上げている。市場がこの構造をどう評価するかは、まだ定まっていないのかもしれない。

見ておきたいのは、過去最高益と低いROEが並列している点だ。利益の絶対額は伸びても、巨大な資産に対する効率はまだ高くない。株価の重さは、この効率の低さを映している面があるとみている。金融を含む複合の資産をどれだけ効率よく回せるかが、市場の評価が変わる分かれ目になりそうだ。

参考資料

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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