③ 安全性:お金の出入りを示す「3つのCF」と「自己資本比率」
投資の安全性を測るため、通期決算で特に注目したいのが3つのキャッシュ・フロー(CF)です。
- 営業CF(本業による現金を意味する): プラスを維持できているか(2025年8月期実績:約62.1億円のプラス)
- 投資CF(将来への投資): 持続的な成長に向けて適切にお金を使っているか(同:約7.2億円のマイナス)
- 財務CF(配当の支払いや借入金の返済): 健全な活動が行われているか(同:約48.9億円のマイナス)
本業で十分なキャッシュを稼ぎ出し、それをシステムや出店などの投資(投資CF)に適切に充て、さらに残った潤沢な資金で借入金の返済や配当(財務CF)を無理なく進めるという、理想的で健全なキャッシュの流れを作れていると言えます。
さらに、サマリーのキャッシュ・フロー状況に載っている「現金及び現金同等物の期末残高」が83億8300万円(前期末の80億200万円から3億8100万円増加)と、手元資金が非常に厚く積み上がっている点も大きな強みです。財務の健全性を示す自己資本比率も51.4%と高い水準にあり、長期投資の観点からも高い安定感がうかがえます。
④ 株主還元:配当金の安定性と「配当性向57.0%」&「EPS」の持つ意味
配当の推移を見ると、カーブスの2025年8月期の年間配当金は17円、そして翌期(2026年8月期予想)は30円(通常配当20円+20周年記念配当10円)となっています。
ここで、企業の「稼ぐ力」の基本であり、配当の源泉となるEPS(1株当たり当期純利益)の推移を確認してみましょう。
- 2025年8月期実績EPS:46.75円
- 2026年8月期予想EPS:52.67円
⑤ 予想:これからの見通し(通期予想)をチェック
決算短信には、翌期の業績予想も記載されています。 2026年8月期の通期連結業績見通しは、売上高423億円(前期比12.6%増)、営業利益77億円(同21.4%増)と、さらなる増収増益による過去最高業績の更新(予想)を公表しています。
年間配当も20周年の10円記念配当を含めて30円の維持(予想)が計画されており、当面は力強い成長と安定した還元方針が継続される見通しとなっています。
通期で全体像を押さえたら、最新の四半期決算を重ね合わせて見ると、より現在のリアルな状況が見えてきます。
最新の「第3四半期(3Q)決算」はどう動いている?
直近で公表された2026年8月期第3四半期(2025年9月〜2026年5月)決算を確認すると、売上高は前年同期比13.8%増の315億7000万円、営業利益は同22.0%増の61億5000万円と、引き続き極めて堅調に推移し、同期間における過去最高を更新しています。会員満足度を重視した結果、退会率も低水準を維持し、会員数は89.0万人に達して第3四半期末としての過去最高を更新しました。
さらに、自己資本比率は57.5%と通期実績(51.4%)からさらに上昇し、財務の安全性はますます高まっています。
加えて、2026年7月13日の取締役会では、資本効率の向上と株主還元のさらなる強化を目的に、上限35億円(300万株)の自己株式取得(自社株買い)を行うことも決議しています。
このように「本業は好調に推移しており、さらに自社株買いや記念優待などのプラス還元を上乗せしてくれているのだな」という現在の良好な立ち位置が、四半期決算や開示情報からしっかりと確認できます。
まとめにかえて
株主優待は投資の楽しみの一つですが、その制度が将来にわたって維持されるかは、企業自身の「健康状態(業績)」にかかっています。
カーブスは「健康寿命の延伸」を事業の軸に据え、単なるフィットネス施設にとどまらず、地域に密着した健康インフラとしての役割を目指しています。実際に、コミュニティとしての側面が顧客の継続利用を促し、低い月次退会率といった安定した業績基盤(数字)に繋がっていることが決算資料などからも読み取れます。
企業の事業内容や社会的な役割が、どのように実際の利益や財務の安定に結びついているのかを確認することは、中長期的な投資を考える上で有益な視点です。
「優待が魅力的だから」という入り口からもう一歩踏み込み、業績や財務といった客観的なデータも併せて確認する。そうした視点を持つことで、ご自身にとってより納得のいく投資判断への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考資料
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

EPSと配当性向の仕組みと意味
EPS(1株当たり当期純利益)
計算方法は「当期純利益 ÷ 発行済株式数(期中平均)」です。
決算短信のサマリーには「1株当たり当期純利益」としてそのまま記載されています。企業が「1株あたりどれだけの利益を稼ぎ出したか」を表す極めて重要な指標であり、このEPSが46.75円から52.67円へと着実に成長しているからこそ、翌期の30円への大幅増配(13円増配)が可能になります。
配当性向
2026年8月期予想の配当性向は57.0%(通常配当で49.0%に記念配当が上乗せ)となる計画です。
これは、稼いだ利益(EPS)のうち57.0%を惜しみなく株主に還元してくれるという意味です。カーブスは連結配当性向50%を目標として掲げており、盤石な財務基盤(自己資本比率50%超)に裏打ちされた無理のない、持続可能な株主還元の方針であると言えます。