「10年債」なら個人投資家はどちらを選ぶべき?「安心ルール」と「中途換金リスク」の比較
どちらを選ぶべきかは、その資金を「途中で使う可能性があるか」でシンプルに判断できます。
「いつでも現金化できる安心」なら:個人向け国債
個人向け国債の変動10年債には「基準金利に0.66を掛ける」という公式ルールがあります。
これは国が「いつでも元本割れなしで中途換金できる安心特典」をセットにしているため、その分が差し引かれて利率が決まる仕組みです。
発行後1年が経過すれば、いつでも国が買い取ってくれます。
その際、直近2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額が「中途換金調整額」として差し引かれます。
そのため、国から払い戻される現金そのものは購入した元本満額ではなく、調整額が引かれた金額となります(それまでに受け取った利子を含めた総額で見れば、元本割れはしません)。
「満期までじっくり運用し、効率よく増やす」なら:地方債
地方債は国債とは逆に、基準金利に利率が「プラス(上乗せ)」されるため高い利回りが得られます。
ただし、最大の注意点は「中途換金による元本割れリスク」です。
途中で現金化したい場合は、国ではなく「市場(証券会社などを相手にした相対取引)」でその時の時価で売却することになります。
金利が上昇している局面で売ると、購入価格を下回って損をするリスクがあります。
まとめにかえて
「10年間は絶対に引き出さない」と決めている余裕資金であれば、3%近い確定利回りを享受できる地方債が魅力的に映るかもしれません。
ただし、地方債は個人向けの販売枠が非常に少なく、ネット証券などでは一瞬で完売する「早い者勝ち」状態のため、事前の情報収集が重要です。
少しでも途中で使う可能性を残したいなら、金利上昇に自動で追随する個人向け国債の「変動10年」を選んでおくのが最も安全でスマートな選択といえるでしょう。
この目まぐるしい変化の波に無理に乗ろうとせず、それぞれの特徴を賢く活かして、ご自身のライフプランに最適な「お金の置き場所」をじっくり見つけてみてください。
参考資料
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願いいたします。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
PROFILE
立教大学卒業後、海外専門の旅行会社に就職し、その後旅行業界専門誌の記者に転身。企業決算の記事などを手掛けるうちに金融マーケットに興味を持つようになり、株式や債券の発行市場をカバーする金融専門誌の記者に転職。債券市場の動向や市況について、10年以上にわたって数多くの記事を機関投資家に向けて日経QUICKやブルームバーグ等へ執筆した。その後、株式会社フィスコでアナリストが執筆する企業調査レポートの編集を手掛けるとともに、決算などIR情報の発信業務に携わる。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』のLIMO編集部に所属し、LIMOでも記事を執筆している。