年金制度の将来は大丈夫?最新の財政検証からわかる2つの事実
少子高齢化や物価の上昇が続くと、「将来、本当に年金はもらえるのだろうか」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
国は、年金制度が持続可能かどうかをチェックするため、少なくとも5年に一度「財政検証」という「定期健康診断」を実施しています。これは、約100年先までの給付と負担のバランスを検証するものです。ここでは、最新の財政検証の結果をもとに、年金に関するよくある疑問にお答えします。
公的年金財政の長期的な均衡イメージ
疑問1:年金制度は将来破綻する?
結論:制度が破綻しない仕組みが組み込まれています。
マクロ経済スライドと所得代替率の関係
国は、約100年という長期的なスパンで制度を維持できるか厳しく検証しています。社会の変化、例えば現役世代の人口減少などに対応するため、「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されました。
これは、現役世代の数や平均余命の変化に応じて、年金の給付水準を自動的に調整するものです。この機能があるため、年金制度自体がなくなることはなく、持続可能性が確保されています。
疑問2:将来受け取る年金額は減るの?
結論:若い世代ほど「実質的な価値」で見た年金額は増える見込みです。
老齢年金の年金月額分布の変化(生年度別)ー現行制度、男性ー
厚生労働省の「いっしょに検証!公的年金・令和6(2024)年財政検証結果」では、世代ごとの将来の年金額分布が初めて推計されました。その結果、若い世代ほど将来受け取る平均年金額は、物価変動を考慮した「実質的な価値」でみると増加する見通しであることがわかりました。
主な理由は以下の2つです。
- 就労期間の長期化:長く働くスタイルが一般的になり、年金の保険料を納める期間が延びるため。
- 賃金の上昇:実質的な賃金が上がることで、将来の年金受給額も増えるため。
特に、社会で活躍する女性が増えることで、女性の平均年金額は大きく増加すると予測されています。
ここがポイント!
ここでいう「実質的な価値」とは、将来の物価上昇にも対応できる「購買力」を指します。つまり、単に額面の数字が増えるだけでなく、将来の生活水準を維持できるだけの価値が確保される見込みであり、心強いデータといえるでしょう。
将来の年金のために今からできる3つのこと
今回は2026年度の年金改定と、制度の将来性について解説しました。年金制度が破綻する心配はありませんが、豊かな老後を送るためには、公的年金だけに頼らない準備も大切です。
ファイナンシャルアドバイザーとして、将来のために今からできる3つのことをアドバイスします。
- 自分の年金見込額を正確に把握する まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、ご自身が将来いくら受け取れるのかを確認しましょう。現状を把握することが、具体的な計画の第一歩です。
- 働き方を工夫して年金額を増やす 厚生年金は収入や加入期間に応じて金額が決まります。少しでも長く、また収入を上げて働くことで、将来の年金額を増やすことができます。繰下げ受給の検討も有効な選択肢です。
- iDeCoやNISAで「じぶん年金」を作る 公的年金を補うために、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった制度を活用し、ご自身で資産形成を進めることをおすすめします。税金の優遇を受けながら、効率的に老後資金を準備できます。
まずはご自身の状況を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
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ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びTLC資格保有。ジブラルタ生命出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

年金制度がなくなる心配は少ないものの、近年の物価上昇を踏まえると、やはり公的年金だけでゆとりある老後生活をカバーするのは少し難しいかもしれません。
だからこそ、「自分が将来いくらもらえるか」を早めに把握し、長く働くことやNISA・iDeCoなどでの資産形成をうまく組み合わせていくことが、これからの時代はより大切になりそうです。
将来を過度に不安がるのではなく、まずはねんきん定期便などでご自身の状況を知り、無理のない範囲で少しずつ「自分年金」の準備を始めてみてはいかがでしょうか。