この記事はここがポイント
- シニア層の年金受給月額は、厚生年金全体で平均15万289円、国民年金全体で平均5万9310円。
- 2025年J-FLEC調査のおひとりさま貯蓄額は、30代平均501万円・中央値100万円、60代平均1364万円・中央値300万円。
- おひとりさまには、緊急予備費の確保、働けなくなった時の備え、エンディングノート作成の3点。
厚生労働省が公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は87.13年となっています。
おひとりさまとして暮らす人にとって、家計を管理し、老後に備えるのは、基本的に自分ひとりの役割です。
「同世代のひとり暮らしは、どれくらい貯めているのだろう」「老後はどれくらい年金を受給できるのか」とお金事情が気になる方もいるのではないでしょうか。
年代によって収入や暮らし方はさまざまですが、平均と中央値を参考にするのもよいでしょう。
今回は、今のシニア世代が受給している「厚生年金と国民年金」の平均月額はいくらなのか全体、男女別で解説します。
合わせて、30〜60歳代のおひとりさま(単身世帯)の平均貯蓄額と中央値を年代別に確認し、年代ごとに「いま何をすべきか」を整理していきます。
今のシニア「厚生年金と国民年金」全体、男女別の平均月額は?
厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、今のシニア層が実際に受給している年金月額を見てみましょう。
はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
厚生年金+国民年金「シニアの平均受給月額」はいくら?
厚生年金の平均額(全年齢)
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
厚生年金+国民年金を受給しているシニアの場合、全体の平均年金月額は15万289円という結果でした。
男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
国民年金「シニアの平均受給月額」はいくら?
国民年金の平均額(全年齢)
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
〈男性〉平均年金月額:6万1595円
〈女性〉平均年金月額:5万7582円
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。
男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
公的年金は、毎年届く「ねんきん定期便」で自分の見込み額を確認できます。受給開始は60〜75歳の間で選べ、65歳より遅らせるほど月々の年金額が増える「繰下げ受給」という仕組みもあり、早めに知っておくと老後資金の計画が立てやすくなります。
【30〜60歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値はいくらか?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は、年代ごとに次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
30歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま30歳代の貯蓄額
- 30歳代単身世帯:平均501万円/中央値100万円
平均501万円、中央値100万円。社会に出て10年ほどのこの年代は、まだ蓄えが少ない人が多く、金融資産がない人も32.3%います。ただ、始めた人とそうでない人の差はこれから開いていきます。
40歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま40歳代の貯蓄額
- 40歳代単身世帯:平均859万円/中央値100万円
平均859万円、中央値は100万円のまま横ばいです。平均だけが伸びるのは、一部に蓄えの多い人がいるため。金融資産がない人も32.1%と、この年代でも3人に1人ほどいます。
50歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま50歳代の貯蓄額
- 50歳代単身世帯:平均999万円/中央値120万円
平均999万円、中央値120万円。老後が視野に入る年代ですが、金融資産がない人が35.2%と最も高くなる一方、2000万円以上を持つ人も15.9%。蓄えの差がもっとも開く年代です。
60歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
おひとりさま60歳代の貯蓄額
- 60歳代単身世帯:平均1364万円/中央値300万円
平均1364万円、中央値300万円。年金を受け取り始める年代で、2000万円以上の人が21.1%まで増える一方、金融資産がない人も30.4%。退職金の有無なども重なり、蓄えの幅が大きく広がります。
どの年代も、平均が中央値を上回り、蓄えのある人とない人に分かれています。中央値でみると100万〜300万円台。平均に届かなくても落ち込みすぎず、まずは自分の年代の中央値と見比べて、現在地を確かめておきたいところです。
実際の数字で示されて初めて、自分がどのくらい老後資金を準備できているのか実感できた、という声をよくいただきます。漠然とした不安のままにせず、目安と照らし合わせてみることが、家計を見直す最初の一歩になります。
年代別に整理する、おひとりさまの「お金への向き合い方」とは?
おひとりさまの家計は、年代によって「やるべきこと」が移り変わります。金額はあくまで目安として、年代ごとのポイントを整理してみます。
30歳代は、貯める「仕組み」をつくる時期。収入が入ったら先に一定額を別口座へ回す習慣を、少額からでも始めておくと、その後の伸びが変わります。
40歳代は、「増やす」と「守る」を両立させる時期。収入が伸びる一方で、病気やケガで働けなくなったときにひとりで家計を支えるリスクもあります。増やす工夫とあわせて、備えも整えたいところです。
50歳代は、老後の必要額を「逆算」する時期。年金の見込み額と、これからかかる生活費をざっくり見積もり、不足しそうなら今のうちに手を打ちます。
60歳代は、貯蓄を「使う」段階への入り口。年金と貯蓄でどう暮らすか、取り崩しのペースを考え始めましょう。ひとりだからこそ、いざというときに動かせる預貯金の余裕を残しておくと安心です。
老後に必要な金額を試算したうえで、勤務先の制度で使える上限を確認し、iDeCoとNISAへの配分を一緒に整理していくご相談が多いです。無理のない範囲でまず配分を決め、状況に応じて後から見直していく進め方をおすすめしています。
証券会社の元富裕層担当の視点「おひとりさま生活の3つの備え」とは?
30〜60歳代おひとりさまの貯蓄は、平均で30歳代501万円・40歳代859万円・50歳代999万円・60歳代1364万円、中央値は100万〜300万円台でした。
年代が上がるごとに、貯蓄の平均は増加傾向にあります。
しかし、どの年代も蓄えのある人とない人に分かれており、平均の数字だけでは実感がつかみにくいことがわかります。
証券会社で家計や資産の相談を受けてきた立場から、「おひとりさま生活の3つの備え」についてご紹介します。
年代を問わず、今日から始められることなので参考にご覧ください。
1つ目は、「緊急予備費」をすぐ動かせる預貯金で確保しておくことです。
ひとり暮らしの場合、収入が途切れたときに頼れるのは基本的に自分の蓄えだけとなります。
そのため、生活費の半年~1年分を投資や定期預金とは別に、いつでも引き出せる形で持っておくと、いざというときに助かるでしょう。
2つ目は「働けなくなったときの備え」を確認しておくことです。
会社員であれば病気やケガなどで休んだときに傷病手当金などの公的な保障がありますが、自営業では手薄になりがちです。
加入中の保険の内容や、使える公的給付を確かめておきましょう。
なお、制度の改正など「公的給付の内容」が変わるケースもあるため、定期的にチェックしておくことをおすすめします。
3つ目は、「エンディングノート」に資産の一覧と緊急連絡先を書き留めておくことです。
たとえば、どの銀行にいくらあるのか、加入している保険は何かなどご自身の状況を整理しておくと、お金の管理がしやすくなり、万一のときに周囲の方に負担がかかることを防止できます。
年代や今の貯蓄額にかかわらず、ひとり暮らしの備えは今日から整えられます。
まずはご紹介した「3つの備え」うち、いちばん気になるものから少しずつ準備をはじめていくとよいでしょう。
参考資料
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びFP2級保有。保険代理店出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は「LIMO」編集部で金融ライターとして記事の企画・執筆・監修をしている。

ファイナンシャルアドバイザーの中島です。
日々の相談では、おひとりさまとして暮らす方から、老後の生活費や介護にかかる費用がこのままの貯蓄で足りるのか、収入が途絶えたときに頼れるのが自分の蓄えだけで心もとない、という不安の声をよくいただきます。
ご相談の多くは、定期預金や普通預金にまとめて置いているお金を、このままにしていいのか見直したいという内容です。老後の生活費や介護にかかる費用の目安をまずシミュレーションでお示ししたうえで、非課税制度の活用や、万一のときに備える保障の持ち方を一緒に整理していく方が多いです。最初から大きく動かすのではなく、無理のない範囲の金額から一歩を踏み出してみるという反応をされる方が少なくありません。
おひとりさまの家計は、頼れるのが自分の蓄えだけという点が既婚世帯と大きく違います。同世代の貯蓄額の実態や、年代ごとに今何をすべきかを知っておくことは、ご自身の家計を見直す一つのきっかけになります。ここからは、年金の平均受給額と年代別の貯蓄額の実態を見ていきましょう。