年金制度でよくある3つの誤解
年金制度については、誤解されやすい点も少なくありません。
ここでは代表的な3つを見ていきましょう。
「年金制度はいずれ破綻する」は本当?
日本の公的年金には、「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。
これは、少子高齢化や平均寿命の伸びなどを考慮しながら、年金給付の水準を自動的に調整する制度です。
マクロ経済スライドを導入
あらかじめ財政のバランスを維持する仕組みが組み込まれているため、制度そのものが突然機能しなくなることを前提とした制度ではありません。
そのため、「破綻するかどうか」ではなく、どのような給付水準を維持していくかという点が重要になります。
「破綻はしない」からといって「安心」と一概には言えません。マクロ経済スライドにより、将来的に実質的な給付水準が緩やかに抑えられていく可能性はあります。公的年金を「老後の土台」として確保したうえで、足りない分をNISAやiDeCoなどで補っていく「組み合わせ」の意識が大切です。
年金保険料は今後も上がり続ける?
厚生年金の保険料率は、2017年に18.3%で固定されており、制度上際限なく引き上げられる仕組みにはなっていません。
働く人が増えている
また、女性や高齢者の就労が進んだことで保険料収入が増加し、積立金残高は想定より約70兆円多くなる見通しとなっています。
積立金残高は約70兆円を上回る
このため、「保険料だけが増え続ける」という単純な構図ではないことも理解しておきたいポイントです。
「年金は元が取れない」は正しい?
公的年金は、老後資金を積み立てるためだけの制度ではなく、以下を含めた社会保険制度です。
- 老齢年金(長生きリスクへの備え)
- 障害年金(病気やけがへの保障)
- 遺族年金(家族の生活保障)
世代と世代の支えあい
さらに、所得再分配機能によって、現役時代の収入差ほど受給額に大きな差が生じない仕組みとなっています。
公的年金の所得再分配機能
そのため、「支払った保険料より受給額が多いか少ないか」という視点だけでは、公的年金制度の役割を十分に評価することはできません。
損得で語られがちな年金ですが、基礎年金の半分には「国からの税金」が投入されています。さらに、現役時代に払った保険料は全額税金控除の対象になるため、節税メリットも含めて考えると、民間商品では実現できないほど手厚い制度と言えます。
できることから一歩ずつ始めよう
本記事では、2026年度の年金額や厚生年金の受給実態に加え、年金制度について誤解されやすいポイントを解説しました。
2026年度は年金額が引き上げられましたが、厚生年金の平均受給額は約15万円であり、月30万円以上を受給している人は全体の0.12%と、ごく限られていることがわかりました。
「年金制度はいずれ破綻する」「保険料は際限なく上がり続ける」「年金は元が取れない」といった見方もありますが、公的年金には財政の安定を図る仕組みや、老齢年金だけでなく障害年金・遺族年金を含めた社会保障としての役割があります。
制度の一部だけを切り取った情報ではなく、公的年金の全体像を理解したうえで、自身の見込み受給額や老後の資金計画について早めに確認・準備していくことが大切です。
