NTTのキャッシュフロー内訳とFCF動向
NTTの直近2026年3月期のキャッシュフロー内訳
NTTの2026年3月期の3種類のキャッシュフローとフリーキャッシュフローは以下の通りです。
- 営業キャッシュフロー:1兆4,851億円
- 投資キャッシュフロー:-1兆234億円
- 財務キャッシュフロー:4,413億円
- 設備投資(CAPEX):2兆3,260億円
- フリーキャッシュフロー(営業CF−CAPEX):-8,408億円
NTTの5年フリーキャッシュフロー推移
- 2022年3月期:1兆3,226億円
- 2023年3月期:3,986億円
- 2024年3月期:3,110億円
- 2025年3月期:2,766億円
- 2026年3月期:-8,408億円
通信インフラ・データセンター等への大規模設備投資を継続する事業構造上、営業キャッシュフローに対しCAPEXが同水準または上回るペースで拡大しており、直近2026年3月期は営業CFの縮小とCAPEXの拡大が重なりFCFがマイナス転換しています。
NTTのキャッシュポジション
- 現預金:1兆9,218億円
- 主要有利子負債(短期IBD+リース債務):5兆6,035億円(内訳:短期IBD 4兆3,956億円/リース債務 1兆2,079億円)
- 営業CFマージン(対売上):10.3%
NTTは通信インフラを支える巨大なバランスシートを持ち、有利子負債残高は連結ベースで大規模となっています。
NTTの5年営業キャッシュフロー推移
- 2022年3月期:3兆102億円
- 2023年3月期:2兆2,610億円
- 2024年3月期:2兆3,741億円
- 2025年3月期:2兆3,640億円
- 2026年3月期:1兆4,851億円
NTTの3か月間の株価まとめ
3か月間のNTTは、152円から152円へと1円(0.3%)上昇しました。
期間平均値は149円で、最高値157円(平均値との乖離率+5.0%)・最低値143円(同-4.2%)のレンジで推移しました。
直近の2026年3月期通期決算では、売上高14兆4,091億円・営業利益1兆7,062億円・純利益1兆370億円で着地しています。
株式投資において、日々更新される情報をリアルタイムに追うことは重要ですが、今回ご紹介したように時間軸を決めて過去を振り返ることも投資のヒントにつながります。
ぜひ参考にしてみてください。
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オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
PROFILE
2022年より株式会社モニクルリサーチに所属。企業財務や金融ニュースの深掘り記事を精力的に発信し、読者の客観的な事実判断をサポートしている。
以前は第四銀行(現・第四北越銀行)やオリックスで中小企業融資に携わった後、DZHフィナンシャルリサーチやフィスコにて日本株アナリストとして活躍。上場企業の決算・M&A分析、IPO企業の初値予想レポートなどを多数執筆した。
さらに財務アドバイザーとして資金調達やIRコンサルティングも主導。経済情報番組「日経CNBC」への出演やリフィニティブへのレポート寄稿など、メディアを通じた相場解説の実績も豊富に持つ。
くらしとお金の経済メディア「LIMO」でも記事を執筆している。

まず事業について。通信サービスは景気変動に対して比較的ディフェンシブな需要特性を持つ事業領域と位置付けられます。個人の通信料金や企業のネットワーク利用は、景気の減速局面でも急激に縮小しにくい傾向があり、この特性が売上高・営業利益の緩やかな増加基調につながっているものと受け止められます。3か月間の株価が起点と終点でほぼ横ばい、期間内の乖離率も比較的狭いレンジで推移していた背景には、こうしたディフェンシブ性が意識されやすい銘柄としての性格が反映されている可能性があり、この銘柄を見る際は単月・単四半期の業績インパクトだけでなく、契約基盤の厚みや顧客継続性といった事業の底堅さに着眼して観察していくことが大切です。
次にキャッシュフロー動向についてです。営業キャッシュフローの水準に対して設備投資が同等以上のペースで拡大し、直近期はフリーキャッシュフローがマイナスに転じています。ここで留意したいのは、FCFのマイナスがそのままキャッシュ創出力の毀損を意味するわけではなく、通信インフラ・データセンター等への先行投資フェーズの色彩が強いと解釈するのが自然だという点です。こうした投資は「今のFCFを差し出して将来のFCFを取りに行く」意思決定であり、投じた資本が将来どれだけキャッシュを生み出すか、いわゆる投下資本の生産性が長期的な企業価値の鍵を握りますので、FCFの符号だけを取り出して評価するのではなく、その背景にある投資フェーズと収益力の中身をセットで見分けるように注意しましょう。
次に財務構造についてです。同社は通信インフラを支える巨大なバランスシートを持ち、有利子負債残高は連結ベースで大規模となっています。安定した営業キャッシュフローを持つインフラ型事業は、負債を活用する余地が相対的に大きいと考えられ、レバレッジを効かせた資本構成そのものは事業特性に整合した設計と評価できます。もっとも、金利水準や為替、エネルギー価格、地政学リスクなどマクロ環境の変化は財務コストや投資リターンに影響しやすい構造でもあるため、有利子負債の絶対量だけで「借金が多い会社」と単純にラベリングするのではなく、事業構造やキャッシュフローの安定性と資本コストの関係で捉える視点を持つよう注意しましょう。
最後に株価の見方についてです。3か月間の株価は値幅こそ小さかったものの、期間内の高値・安値には一定の変動が含まれています。短期の値動きは需給や市場心理の影響を強く受けやすい一方、企業の中長期的な価値は事業構造や投下資本の生産性に規定される側面が大きく、両者の時間軸は本来異なるものですので、この銘柄を見る際は短期の株価レンジと中長期の企業価値ドライバーを区別し、「今日の値動きの理由」と「この会社の稼ぐ力の源泉」を別々の物差しで整理する姿勢を持って着眼することが大切です。