【おひとりさまの平均貯蓄額一覧表】貯蓄がある人・ない人「3つの習慣」の違いとは?老後の備えは「貯蓄だけじゃない」増える働くシニア
出所:metamorworks/shutterstock.com
執筆者宮野 茉莉子LIMO&ファイナンス編集部 副編集長
14:09
【おひとりさまの平均貯蓄額一覧表】貯蓄がある人・ない人「3つの習慣」の違いとは?老後の備えは「貯蓄だけじゃない」増える働くシニア
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この記事はここがポイント

  • おひとりさま貯蓄額は平均と中央値に大差、約3割が無貯蓄で世代内二極化が顕著。
  • 貯蓄には家計把握、新NISA・iDeCo活用の先取り貯蓄、情報収集の3習慣が重要。
  • 老後備えは貯蓄に加え、65歳以上就業者数増加の通り、働く期間延長も重要な柱。

 2026年7月15日に公開された厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、生活を苦しいと感じる高齢者は前年の58.9%から55.4%に減少していたものの、半数は超えており依然として生活に苦しさを感じる高齢者も少ないことがわかります。

老後を迎えてから老後資金に不安を感じた場合、できる対策は、現役時代に比べれば限られています。時間は誰にも平等ですから、物価高の現代においては今の生活は苦しさを感じるものの、現役時代のうちから老後資金に対する具体的な対策は行いたいところでしょう。

老後に向けた資産づくりは、短期で結果が出るものではなく、長い時間をかけて取り組むものです。

証券会社で個人のお客さまのご相談を受けてきた経験からいうと、老後資金準備のはじめの一歩として役立つのは、「同世代がどのくらい貯めているのか」を知り、自分の位置を落ち着いて把握することです。

その上で、実際に老後資金に対してとるべき行動を、現役時代から考えていきましょう。筆者が証券会社に勤務していた時代には、「もっと早くから資産運用に興味をもてばよかった」「この年齢から資産運用をはじめるのではなくて、若いときからはじめて経験を積み重ねればよかった」というお客様も少なくありませんでした。

本記事では、おひとりさまの貯蓄額を、年代別に平均値と中央値の両方からみていきましょう。そして証券界会社で勤務経験のある筆者が、お金が貯まる人の特徴と老後に対して行いたい対策を解説します。

おひとりさまの平均貯蓄額一覧表「年代別」に中央値もみる。みんないくら貯めている?

まずは金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、単身世帯の金融資産保有額を年代別に確認します。全体像を一覧でみてみましょう。

平均貯蓄額

30歳代・おひとりさまの貯蓄額一覧表

  • 金融資産非保有:32.3%
  • 100万円未満:14.2%
  • 100〜200万円未満:14.2%
  • 200〜300万円未満:4.9%
  • 300〜400万円未満:4.3%
  • 400〜500万円未満:2.8%
  • 500〜700万円未満:5.5%
  • 700〜1000万円未満:3.1%
  • 1000〜1500万円未満:5.5%
  • 1500〜2000万円未満:4.3%
  • 2000〜3000万円未満:2.5%
  • 3000万円以上:3.4%
  • 無回答:3.1%
  • 平均:501万円/中央値:100万円

30歳代は平均501万円に対し、中央値は100万円です。平均が中央値を大きく上回るのは、一部の資産を多く持つ人が全体の平均を押し上げているためです。金融資産非保有が32.3%にのぼる一方、3000万円以上も3.4%います。同じ30代でも、蓄えの差はすでに広がりはじめているといえそうです。

40歳代・おひとりさまの貯蓄額一覧表

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100〜200万円未満:7.1%
  • 200〜300万円未満:5.9%
  • 300〜400万円未満:4.3%
  • 400〜500万円未満:2.2%
  • 500〜700万円未満:6.2%
  • 700〜1000万円未満:4.6%
  • 1000〜1500万円未満:6.2%
  • 1500〜2000万円未満:1.2%
  • 2000〜3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%
  • 平均:859万円/中央値:100万円

40歳代の中央値は30歳代と同じ100万円ですが、平均は859万円へと約350万円上がっています。3000万円以上が約1割(9.9%)に増える一方、非保有も32.1%と高いままです。中央値が動いていない点からは、「貯まる人はさらに貯まり、そうでない人は据え置き」という二極化の入り口がうかがえます。

50歳代・おひとりさまの貯蓄額一覧表

  • 金融資産非保有:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100〜200万円未満:7.4%
  • 200〜300万円未満:4.6%
  • 300〜400万円未満:2.7%
  • 400〜500万円未満:3.3%
  • 500〜700万円未満:4.9%
  • 700〜1000万円未満:4.6%
  • 1000〜1500万円未満:6.0%
  • 1500〜2000万円未満:3.3%
  • 2000〜3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%
  • 平均:999万円/中央値:120万円

50歳代は平均999万円と1000万円に迫り、中央値も120万円へとわずかに上がります。ただし、金融資産非保有が35.2%と全年代で最も高い点は見過ごせません。老後が視野に入る年代ではありますが貯蓄の差が最も開いている世代といえます。現代の50歳代は就職氷河期世代であることも関係しているかもしれないですね。

60歳代・おひとりさまの貯蓄額一覧表

  • 金融資産非保有:30.4%
  • 100万円未満:9.1%
  • 100〜200万円未満:4.3%
  • 200〜300万円未満:2.4%
  • 300〜400万円未満:4.5%
  • 400〜500万円未満:3.1%
  • 500〜700万円未満:6.0%
  • 700〜1000万円未満:4.8%
  • 1000〜1500万円未満:8.1%
  • 1500〜2000万円未満:4.1%
  • 2000〜3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:15.6%
  • 無回答:2.2%
  • 平均:1364万円/中央値:300万円

60歳代になると、平均は1364万円、中央値は300万円まで上がります。3000万円以上が15.6%と最も多くなる一方、非保有も30.4%残ります。退職金の受け取りなどで資産が積み上がる人がいる半面、そうでない人との差がそのまま老後に持ち越されていく様子がみてとれます。

おひとりさま「貯蓄を持っている人」と「持っていない人」、何が違う?元証券会社社員が感じた「3つの習慣の違い」

どの年代でも、非保有の世帯が3割前後で一定数残っていました。では、着実に貯めている人と、なかなか貯まらない人とでは、どこが違うのでしょうか。ご相談の現場で感じてきたのは、次の3つの習慣の差です。

お金の状況を「具体的に」把握しているか

貯まる人は、毎月の収支や今の貯蓄額を「なんとなく」ではなく、具体的な数字でつかんでいます。貯蓄額だけでなく、家計収支や、細かな出費に関しても関心をもち、把握している人は多い印象でした。まずは家計の見える化から始めると、使途不明のお金が減り、次の一手を考えやすくなります。「不安だからこそ、具体化」をしていきましょう。

自動で貯まる「先取り貯蓄」をしているか

老後資金は長期戦だからこそ、「仕組みを利用」することで意志に頼り過ぎないことが大切です。

残ったお金を貯めようとすると、なかなか続かないもの。給与から自動で一定額を別口座や積立に回し、残りで暮らす仕組みをつくると、無理なく貯蓄が積み上がります。新NISAやiDeCoといった制度を調べ、自分に合う方法を選ぶのも一案です。いずれも値動きやしくみを確かめたうえで、余裕資金で取り組むことが前提になります。

お金の情報を取り入れているか

制度や税金は、「知っているかどうか」で手取りや将来の受取額が変わります。たとえば「ねんきんネット」で自分の年金見込み額を確認しておくと、老後の不足額を逆算しやすくなります。正しい情報を少しずつ取り入れることが、いざというときのリスクへの備えになります。

こうした習慣は誰にとっても大切ですが、おひとりさまの場合はとりわけ意識しておきたいことがあります。まず備えておきたいのが、厚めの生活防衛資金です。おひとりさまは、病気やケガ、失業といった「もしも」のときに、家計を支えてくれる同居の家族がいないことが多いもの。だからこそ、すぐに動かせる現金を、生活費の半年から1年分ほど、投資とは切り分けた預貯金で確保しておくと安心につながります。

先ほどの「先取り」と「情報」も、一人暮らしではいっそう効いてきます。

自分の判断ひとつでお金を使える自由さがある分、自動で積み立てる仕組みをつくっておくと貯蓄が続きやすくなりますし、年金も保険も最終的に手続きをするのは自分自身ですから、加入している保険や資産を一度棚卸ししておくと、老後の全体像がつかめます。

判断も管理もすべて自分に委ねられるおひとりさまだからこそ、年に一度は情報を見直す習慣が、いざというときの支えになるのではないでしょうか。

「老後の備えは貯蓄だけじゃない」増える働くシニア

ここまで貯蓄をみてきましたが、老後の備えは「貯める」ことだけではありません。近年は、リタイア後も働き続ける人が増えています。内閣府「令和8年版 高齢社会白書」によると、65歳以上の就業者数は22年連続で前年を上回っています。

就業率をみると、令和7年時点で65〜69歳が54.5%と、この年代の半数以上がなんらかの形で働いています。さらに70〜74歳でも36.2%、75歳以上でも12.6%の方が就業しています。年齢が上がるほど割合は下がるものの、「働くシニア」は、もはや珍しい存在ではないことがわかります。

働くシニアの割合

働くシニアの割合
出所:内閣府「令和8年版 高齢社会白書」

男女別にみると、65〜69歳では男性63.4%、女性46.1%と差はありますが、女性の就業も着実に広がっています。働いて収入を得る期間を延ばせれば、その分だけ貯蓄の取り崩しを遅らせることができます。老後資金は「いくら貯めるか」だけでなく、「いつまで収入を得るか」もあわせて考えることで、選べる道が広がっていきます。

もちろん、健康や働き方の希望は人それぞれです。それでも、貯蓄と就労という二つの備えを両輪ととらえておくことは、これからの長い老後を安心して過ごすための、現実的な支えになるのではないでしょうか。

まとめにかえて

年代別の貯蓄額をみると、平均と中央値には大きな開きがあり、同じ世代のなかでも差が広がっていることがわかります。平均という一つの数字だけに一喜一憂せず、より実感に近い中央値もあわせてみることが、冷静な現状把握につながります。

そのうえで、「具体的に把握する」「先取りで貯める」「情報を取り入れる」という3つを、できることから習慣にしていく。そして、貯めることと働き続けることを両輪と考える。今日の小さな一歩が、これからの安心につながっていくのではないでしょうか。

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