「年金から税金が引かれる」は本当?額面通りにもらえない”天引き”の正体と手取り額
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「年金から税金が引かれる」は本当?額面通りにもらえない”天引き”の正体と手取り額

【元公務員からのアドバイス】年金の「手取り」を守る3つの視点

執筆者太田 彩子LIMO&ファイナンス編集部記者
14:30
「年金から税金が引かれる」は本当?額面通りにもらえない”天引き”の正体と手取り額
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「年金は税金や社会保険料を払い終えた後の"手取り"みたいなもの」そのように思っていた方は、初めて年金振込通知書を受け取ったとき、驚いたのではないでしょうか。

実際には「厚生年金」「国民年金」の額面から、税金や社会保険料が天引きされた金額が銀行口座に振り込まれる仕組みです。

しかも、年金額はある程度一定だと思い込んでいると、思わぬ所得の変動により「天引き額が増える」ということも少なくありません。

筆者が公務員として自治体窓口で相談を受けていたときも、税金や保険料が増えることに対する驚きの声が一番多かったのです。

本当に年金からもお金が引かれるのか、引かれるとしたら何が対象なのか。今回は、厚生労働省・日本年金機構の資料をもとに、年金から天引きされるお金の全体像を解説します。

年金の基本、国民年金と厚生年金は「2階建て構造」

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み
厚生年金と国民年金の仕組み

年金は現役時代の給与と同じく「額面」と「手取り」がある収入です。

給与から所得税や社会保険料が引かれるのと同じように、年金からも税金と保険料が天引き(特別徴収)されることがあります。

令和8年度の年金額の例

令和8年度の年金額の例
令和8年度の年金額の例

2026年度の国民年金(老齢基礎年金)は7万608円、厚生年金は夫婦2人分の金額ですが、23万7279円です。

国民年金であれば天引きされる可能性は少ないですが、厚生年金の受給者は天引きされる可能性が高いです。どのようなお金が引かれるのか見ていきましょう。

年金から天引きされる4つのお金は「本当」に存在する

年金から天引きされるおもな項目は、次の4つです。

所得税および復興特別所得税

年金も所得(雑所得)扱いのため、一定額を超えると所得税がかかります。

65歳以上で年金年額158万円以上、65歳未満で108万円以上の受給者が対象です。毎年送られてくる「扶養親族等申告書」を提出したかどうかで、適用される控除や税率が変わるため、最終的に天引きされる「税額(手取り額)」が大きく変わります。

個人住民税

前年の所得に応じて課税される住民税も、年金額が18万円以上(年間)の場合は年金から天引き(特別徴収)されます。65歳以上の年金受給者が対象です。

国民健康保険料(税)または後期高齢者医療保険料

65〜74歳は国民健康保険、75歳以上は後期高齢者医療制度に加入。それぞれの保険料は原則として年金から天引きされます。

年金年額が18万円以上、かつ介護保険料と合算して年金額の半分を超えない場合の条件付きです。

介護保険料

65歳以上(第1号被保険者)の介護保険料も、年金年額が18万円以上あれば年金から天引きされます。市町村ごとに保険料額が異なり、所得に応じて段階的に決まる仕組みです。

この4つが「年金から天引きされるお金」の正体です。給与所得者が「額面」と「手取り」で悩むのと同じ構造が、年金にもあると理解しておくと納得しやすいでしょう。

【筆者からのアドバイス】年金の「手取り」を守る3つの視点

年金から天引きされるお金は避けて通れませんが、仕組みを知って備えることで、手取りを最大化する余地は残されています。窓口相談で受けてきた質問の中でも、特に相談件数が多かった論点を3つの視点で整理しました。

年金振込通知書を毎回チェックする

年金振込通知書は、金額が変わったタイミング(原則として6月)と、その後の10月頃に送付されます。額面・所得税・住民税・介護保険料・後期高齢者医療保険料などが並記されており、天引き額と手取り額の内訳が一目で分かる書類です。

筆者が窓口で相談を受けていた頃も、「先月と手取りが違う」と通知書を持って来られる方は少なくありませんでした。前年の所得や自治体の保険料改定が反映されるタイミングで額が動くため、届いたときは必ず目を通す習慣をつけましょう。

扶養親族等申告書を毎年提出する

日本年金機構から毎年秋に送付される「扶養親族等申告書」は、翌年の源泉徴収に反映される重要な書類です。

提出した場合は基礎控除・配偶者控除・扶養控除などが反映され、税率も5.105%が適用されます。未提出だと控除が反映されないうえ、税率も10.21%となり、天引き額が増えるケースがあります。

「毎年書くのが面倒」と保留にしてしまう方もいますが、提出を忘れると年間で数万円の差が生じることもあります。届いたら早めに投函する運用をおすすめします。

手取りベースで老後家計を再設計する

老後の家計計画を立てるとき、額面の年金額だけで生活費を試算してしまうと、実際に振り込まれる金額との差にとまどうことになります。

天引き額は世帯構成や自治体、前年所得によって変わるため、目安として額面の85〜90%程度を「手取り」として見積もっておくと、大きな計算違いを避けやすくなります。

不足分は、iDeCoの受け取り方(一時金・年金・併用)の選択や、就労延長による厚生年金の加算、NISAの取り崩しなどで補うプランを、現役のうちから並行して検討しておきましょう。

まとめにかえて

年金振込通知書は、6月と、その後は毎年10月頃に送付されます。届いたら額面と天引き額、そして実際に振り込まれる金額をきちんと確認する習慣をつけましょう。

老後の家計を組むときは、「額面の平均15万円」ではなく、天引き後の「手取り」を前提に生活費を試算するのが現実的です。

不足分はiDeCoやNISA、就労延長で補うプランを、現役のうちから組み立てていきましょう。

参考資料

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太田 彩子LIMO&ファイナンス編集部記者

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