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”ふつうのシニア”は年金だけで暮らせる?国民・厚生年金の平均受給額と「年金依存度100%」世帯の実態も元記者が解説

年金だけで生活する世帯は全体の何割?保険料の天引きから逆算する家計防衛術

執筆者齊藤 慧編集者
18:09

国民年金の平均受給月額:男女差と全体の分布

国民年金の平均額(全年齢)

国民年金の平均額(全年齢)
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金受給額の分布状況(1万円単位)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均年金月額は男女全体、男性・女性ともに5万円台です。上のグラフが示すとおり、「月額1万円未満~7万円以上」と分布していることがわかります。

国民年金では満額が固定されていることから、厚生年金ほどばらけることはありません。

ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」となっており、多くの人が満額を受け取れていることも読み取れます。

データで見る高齢者世帯の平均所得とその内訳

高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」という資料を参考にします。

なお、資料内における高齢者世帯とは「65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯」と定義されます。

高齢者の年間所得の平均

高齢者の年間所得の平均
出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

高齢者世帯における平均所得額の実態

資料によると、高齢者世帯の総所得は314万8000円 です。総所得に占める金額や割合も見ていきましょう。

高齢者世帯の所得構成:収入源の内訳を解説

  • 稼働所得:79万7000円(25.3%)
  • うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
  • 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
  • 財産所得:14万4000円 (4.6%)
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)

月額に換算すると約26万円の所得のうち、3分の2となる約16万6000円が「公的年金」となります。次いで約5万5000円の「雇用者所得」が続きます。

高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。

※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む

年金収入のみで生活する高齢者世帯の割合は?

今の高齢者世帯のうち、どれほどが「年金だけで」生活できているのでしょうか。

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(※)の平均的な所得構成では63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%となりました。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

総所得に占める公的年金の割合別で見る世帯数

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成
出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

半数以上の世帯は、公的以外の何等かの収入で補填している実態がうかがえます。

齊藤 慧
執筆者齊藤 慧編集者

【元記者の視点】年金から天引きされるお金の現実

データが示す通り、公的年金だけで日々の生活費を完全にカバーできている世帯は少数派です。医療や保険を扱う専門紙の記者として社会保障を取材してきた立場から言えば、「年金だけで暮らせるか」という議論には、前提が抜け落ちていることもあります。

それは、年金は口座に振り込まれる前に「国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)」や「介護保険料」といった非消費支出が強制的に差し引かれるという現実です。 通知書が届く夏場には「年金は増えないのに保険料ばかり上がって生活できない」という切実な声もあると思います。これらはスーパーでの買い物を我慢するような個人の節約努力で削ることが一切できない「固定のマイナス」です。

年金だけで暮らせるかを問う前に、まずはこの「絶対に逃れられない社会保険料の負担」を計算に組み込むこと。この現状認識こそが、老後破綻を防ぐための防衛策となります。

まとめ

今回は、公的年金の仕組みから最新の平均受給額、そして高齢者世帯の所得実態まで、さまざまなデータをご紹介しました。

本記事のデータが示す通り、年金だけで生活を完結させている世帯は全体の約4割と少数派です。

さらに、高齢期において医療保険や介護保険の天引き負担は家計に重くのしかかります。

世間の平均額や『年金だけで暮らせるか』という極端な議論に振り回される必要はありません。まずはご自身の各種通知書を確認して正確な『手取り額』を把握し、不足分を就労や貯蓄の取り崩しでどう補うか、地に足のついた現実的な収支バランスを整える行動が、これからの長い老後を安心に導いてくれます。

この記事が、ご自身のライフプランや家計を見直すきっかけとなれば幸いです。

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