帝国データバンクの「『食品主要195社』価格改定動向調査(2026年6月)」によると、2026年は1〜10月の判明分だけで値上げが累計9361品目にのぼり、平均値上げ率は14%に達しています。
長引く物価高により、家計への負担は今後もさらに増していくことが予想されます。
私はかつて証券会社に勤務し、ファイナンシャルアドバイザーとして多くのお客様のライフプランに寄り添った資産運用をご提案してまいりました。
その中で、働き盛りである40代・50代の資産形成のご相談を受ける機会も多くありました。
では、現役世代である40代・50代の二人以上世帯は、毎月の手取りからどれくらいを貯蓄や投資に回せているのでしょうか。
今回は、気になる40代・50代の貯蓄額の「平均値」と「中央値」、そして手取りからの「貯蓄・投資の割合(振り分け率)」を一緒に詳しく確認していきましょう。
元証券会社の富裕層担当の経験をもとに、手取り収入から貯蓄や投資へ回すことを「継続するためのポイント」もご紹介します。
40歳代・50歳代の貯蓄額、二人以上世帯の平均と中央値は?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯が保有する金融資産の額は以下のようになっています。
※ここでの金融資産保有額とは、預貯金に加えて株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額を指します。ただし、日常的に利用する普通預金の残高は含まれていません。
二人以上世帯における40歳代・50歳代の貯蓄額(平均・中央値)
40歳代の貯蓄額「二人以上世帯」
50歳代の貯蓄額「二人以上世帯」
- 40歳代(二人以上世帯):平均額は1486万円、中央値は500万円
- 50歳代(二人以上世帯):平均額は1908万円、中央値は700万円
40歳代では、平均「1486万円」に対し中央値は「500万円」と、約3倍の差が見られます。
50歳代では、平均「1908万円」に対し中央値は「700万円」と、約2.7倍の開きがあります。
また、金融資産を一切保有していない「貯蓄ゼロ」の世帯は、40歳代で18.8%、50歳代で18.2%という結果でした。
これは、およそ5〜6世帯に1世帯が貯蓄ゼロであることを示しています。
現役世代であっても、貯蓄の状況は世帯ごとに大きく異なっていることがわかります。
年間の手取り収入のうち、貯蓄に回せている割合はどのくらいか
二人以上世帯は毎月の手取り収入から、どのくらいの金額を貯蓄や投資に回しているのでしょうか。
同じく金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」では、年間の手取り収入から金融資産へ回した割合(振り分け率)も調査されています。
なお、ここでの割合は金融資産を保有している世帯のみを対象としています。
そのため、先ほどの平均・中央値(金融資産を保有していない世帯も含む全世帯が対象)とは調査対象が異なる点に注意が必要です。
金融資産を保有する世帯が「手取りから資産形成に回す割合」
二人以上世帯における、手取りから資産形成に回す割合は以下の通りです。
40歳代
- 手取りから貯蓄・投資に回した世帯は46.0%、全く回さなかった世帯は54.0%
- 資産形成に回した世帯の平均割合:37%
50歳代
- 手取りから貯蓄・投資に回した世帯は41.9%、全く回さなかった世帯は58.1%
- 資産形成に回した世帯の平均割合:34%
40歳代、50歳代ともに、手取りの一部を貯蓄や投資などに回している世帯は4割台にとどまっています。
半数以上の世帯は「まったく回していない」という結果でした。
このことから、収入があっても将来のために計画的に資産形成ができている世帯は、現役世代でも半数に満たない実情がうかがえます。
一方で、資産形成に回した世帯の平均的な割合は、35%前後となっています。
住宅費用や車の買い替え、子どもの教育費など、現役世代は何かと出費がかさむ時期です。
子どもの年齢によっても貯蓄できる金額は変動しますが、一つの目安として参考にするとよいでしょう。
手取り収入から貯蓄や投資へ回すことを「継続するための3つのポイント」
厳しい物価高のなかで、手取り収入から少しでも貯蓄や投資に回していくためには何から始めればよいのでしょうか。
多くの資産形成をご提案してきた経験から言うと、「継続しやすい仕組み」を最初に作ることが大切です。
手取り収入から貯蓄や投資へ回すことを「継続するための3つのポイント」をご紹介します。
1. 自動的に貯まる「先取り貯蓄」の仕組み化
給与が振り込まれたら、使う前に一定額を貯蓄・投資用の口座へ自動的に移す仕組み(自動積立や財形貯蓄など)を作ります。
「余ったら貯める」のではなく、「先取りした残りの金額で生活する」習慣をつけることで、ストレスなく自然に資産形成を続けやすくなります。
2. 家計の土台を整える「固定費の見直し」
食費や交際費などの「変動費」を無理に削ると長続きしません。
まずは通信費、保険料、サブスクリプションなど、毎月決まってかかる「固定費」を点検してみましょう。
固定費は一度見直せばその先ずっと節約効果が続く傾向にあるため、無理なく貯蓄や投資に回せるお金を生み出すことが期待できます。
3. 「新NISA」や「iDeCo」など税制優遇制度の賢い活用
効率よく資産を増やすためには、国が用意した税制優遇制度(新NISAやiDeCo)の活用も選択肢の1つとなるでしょう。
ただし、投資には必ず価格変動リスクなどが伴います。
まずは生活防衛資金(数カ月分の生活費など)を確保した上で、「当面使う予定のない余裕資金」を使い、長期的な視点でじっくり取り組むことが大切です。
40代・50代の貯蓄格差と「これから」の備え
今回のデータを振り返ると、40代・50代(二人以上世帯)のリアルな貯蓄事情が見えてきました。
- 40代の貯蓄額: 平均値 1486万円 / 中央値 500万円
- 50代の貯蓄額: 平均値 1908万円 / 中央値 700万円
平均値と中央値に大きな開きがあることから、一部の富裕層が平均を押し上げており、実際には世帯ごとの「貯蓄格差」が広がっている実態がうかがえます。
手取り収入からどれくらいを貯蓄や投資に回せているかも世帯によってさまざまですが、大切なのは周りの数字に一喜一憂しないことです。
物価の上昇が続くいまだからこそ、毎月の手取りと支出を改めて見直し、少しずつでも「将来のためのお金」を確保する工夫を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は「LIMO」編集部で金融ライターとして記事の企画・執筆・監修をしている。
