「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額を見る
国民年金:年金月額階級別の受給権者数
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
平均の年金月額を見ると、厚生年金(国民年金分を含む)では、男性が約17万円、女性がおよそ11万円です。
これに対して、国民年金のみを受け取る場合は、男女ともに平均で月6万円程度にとどまっています。
公的年金は2カ月分をまとめて受け取るため、支給のタイミングでは金額が多く見えることもあります。しかし月額に均してみると、年金収入だけで暮らしを回している世帯は、それほど多くないと考えられます。
また、これらはあくまで平均値です。グラフを見てのとおり、実際の受給額には個人差が大きい点にも注意しておきたいところです。
年金はいつから受け取る?受給タイミングの考え方
公的年金は、原則として65歳から受け取りが始まりますが、いつから受け取り始めるかは自分で選ぶことができます。
なかでも、65歳より前から受け取りを始められる「繰上げ受給」は、早く年金を手にしたい人にとっての選択肢のひとつです。
たとえば、定年後すぐに収入を確保したい場合や、働く予定がない場合などには、早めに年金を受け取れる点がメリットになります。
ただし、受け取りを早めると、その後の年金額は一定の割合で減額される仕組みになっています。目先の受け取りやすさだけでなく、長い目で見た収入への影響も踏まえて考えておきたいところです。
反対に、65歳以降に受け取り開始を遅らせる「繰下げ受給」を選ぶこともできます。
繰下げ受給を選べば、遅らせた期間に応じて年金額が増える仕組みになっており、将来受け取る額を厚くしたい場合には有効な選択肢となります。いわば、受け取りを我慢した分だけ、お金に長く働いてもらう考え方だといえます。
とはいえ、受け取りが遅れるあいだの生活資金をどう確保するのかは、あらかじめ考えておく必要があります。私自身も、法人の運用の現場で「いつ、どれだけ取り崩すか」という設計の大切さを繰り返し学んできました。
このように、年金は受け取り始めるタイミングによって、将来の受給額が変わってきます。自身の生活状況や今後の収入の見通しに合わせて、無理のない受給時期を選ぶことが大切です。
まとめ
ここまで、公的年金の2階建ての仕組みから、標準的な夫婦世帯の年金額の例までを見てきました。
1回の支給日で「約47万5000円」という数字は、額面だけを見れば頼もしく感じられます。
ただ、厚生年金の平均月額が全体で「15万289円」であることを踏まえると、モデル世帯はあくまで一つの目安にすぎないことも見えてきます。
大切なのは、受け取る金額だけではありません。そこから差し引かれるコストや、自分の家計の支出まで含めて、老後の家計の全体像をつかむことです。
そのうえで「足りないかもしれない」と感じたなら、時間を味方につけてお金に働いてもらう方法を、少しずつ検討してみてはいかがでしょうか。
もちろん運用には損をする可能性もありますので、制度や商品の詳しい内容は公式情報や専門の窓口で確認したうえで、ご自身に合ったやり方を選んでいただければ幸いです。
1回の年金支給額が「約47万5000円」というインパクトのある数字が出てきましたが、これはあくまで「夫が40年間平均年収546万円で会社員として働き、妻は扶養内」というモデル世帯を前提とした金額です。
相談を受ける中でも、実際には「2ヶ月が一気に振り込まれるからやりくりが大変」というお話を耳にすることは少なくありませんでした。
記事にあるとおり厚生年金の平均月額は全体で15万円ほど、女性に限れば11万円程度にとどまります。その背景には、育児や介護で就業期間が途切れたり、非正規雇用で厚生年金の加入期間が短くなったりする女性が多かった、これまでの働き方の事情があります。
自身の見込み額を正確につかむには、日本年金機構の「ねんきんネット」や毎年届く「ねんきん定期便」が最も確実です。特に共働き世帯であれば、夫婦それぞれの見込み額を合わせて確認しておくと、老後の設計がより具体的になります。
年金は「世帯単位でどれだけ入るか」が家計を支える柱です。モデル世帯の数字に一喜一憂するよりも、自分たちの実際の見込み額をベースに、繰上げ・繰下げの選択や不足分の備え方を早めに考えておきたいところです。
参考資料
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びFP2級を保有。みずほ証券会社出身。証券会社では、個人向けコンサルティング営業に加え、地方公共団体や学校法人等への債券を活用した法人向け資産運用業務を経験。現在はIFAとして個人向け資産運用のコンサルティング業務を行う。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在はLIMO編集部で年金・貯蓄・退職金等の金融情報を発信。
