【筆者からのアドバイス】夫婦世帯の年金を組み立てるときの3つの視点
夫婦世帯の年金額は「2人分の合算」で捉えることが多いのですが、実際の家計運営では「1人になったとき」の期間も想定しておくことが欠かせません。
平均寿命は女性のほうが約6年長く、夫に先立たれた妻の期間が10年以上続くケースも珍しくありません。日々の相談実務で感じたポイントを、3つお伝えします。
妻側の厚生年金加入を意識する
1つ目は「妻側の厚生年金加入」を意識することです。
あくまでも平均額を使ったシミュレーションではありますが、共働き夫婦と片働き夫婦では月4万円ほど年金額に差が出ます。パート勤務でも、勤務先の規模や労働時間の条件を満たせば厚生年金に加入でき、老後の年金額を底上げできます。
「年収106万円の壁」「130万円の壁」を意識して働き控えることも大事な局面はありますが、壁を越えて厚生年金に加入する選択肢も一度検討してみてください。
繰下げ受給を夫婦別で検討する
2つ目は「繰下げ受給を夫婦別で検討する」ことです。
65歳の年金請求は、夫婦同時である必要はありません。夫は65歳から受給・妻は70歳まで繰下げ、といった組み合わせにすれば、夫が先に亡くなったあとの妻の期間の年金を42%増額でカバーできます。
繰下げ受給は最大75歳まで可能なので、長生きリスクへの現実的な備えになります。ただし加給年金や税金、社会保険料などへの影響もあるため、プロに相談しながら慎重に選択しましょう。
夫婦の年金額の内訳を見える化する
3つ目は「夫婦の年金額の内訳を見える化する」ことです。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、夫婦それぞれの内訳(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を書き出し、合計してみてください。
そのうえで、月々の生活費(食費、住居費、光熱費、医療費、通信費など)と突き合わせることで、iDeCoやNISA、就労延長の必要性も具体的に見えてきます。
年金は「もらうもの」ではなく「使うもの」です。もらう額を最大化する工夫と、使う額をコントロールする工夫の両輪で考えていきましょう。
まとめにかえて
「一般的な夫婦世帯」の年金額は、厚労省モデルでは月約23万7000円です。ただしこれはあくまで一つのモデルであり、実際の平均データから試算すると、共働き〜自営業まで月12万〜28万円と大きな幅があります。
老後の家計は、まず夫婦それぞれの見込み年金額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認し、合算して自分たちの数字を把握することからスタートします。
不足が見込まれるならiDeCoやNISA、就労延長などで補うプランを、現役のうちから組み立てていきましょう。
参考資料
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在はLIMO編集部で年金・貯蓄・退職金等の金融情報を発信。
