ついに、初の「月7万円台」へ——。
毎年4月に改定され、6月支給分から新しい金額が反映される老齢基礎年金。先月の振り込みで「少し増えたな」と実感された方も多いのではないでしょうか。
2026年度(令和8年度)の満額は前年度から1300円引き上げられ、「月額7万608円」となりました。4年連続のプラス改定です。
「少しずつでも年金が増えるのは嬉しい」と思う一方、忘れてはいけないのが、この“満額”を受け取れるのは「20歳から60歳までの40年間、1カ月のブランクもなく保険料を納め続けた人」だけという事実です。
今回は、シニアのマネー情報を日々発信している筆者が、老齢基礎年金(満額)の推移と、気になる「平均受給額の現実」を徹底解説。
さらに、条件を満たせば上乗せされる「年金生活者支援給付金」の最新の増額情報もお届けします。
年金の基本、国民年金と厚生年金は「2階建て構造」
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
年金制度の基本をおさらい!
「老齢基礎年金」は国民年金から給付される、年金の1階部分。
20歳〜60歳までの40年間(480月)フルに納付すれば「満額」となる仕組みです。この満額の金額が、年度ごとに改定されています。
2026年度、老齢基礎年金の満額は月7万608円
令和8年度分の年金額
- 老齢基礎年金(満額・昭和31年4月2日以降生まれ):月7万608円(年84万7296円)
- 老齢基礎年金(満額・昭和31年4月1日以前生まれ):月7万408円(年84万4896円)
老齢基礎年金「満額」の年度別推移
ここ5年ほどの老齢基礎年金(満額)の月額を並べると、次のとおりです。
- 2021年度(令和3年度):月6万5075円
- 2022年度(令和4年度):月6万4816円(前年度比▲259円のマイナス改定)
- 2023年度(令和5年度):月6万6050円(プラス改定に転換)
- 2024年度(令和6年度):月6万7808円
- 2025年度(令和7年度):月6万9308円
- 2026年度(令和8年度):月7万608円(初の月7万円台)
2022年度はデフレ局面と過去のマクロ経済スライド調整を受けて、前年度比マイナス259円の引き下げ改定となりました。
2023年度以降は物価・賃金の上昇を反映して4年連続でプラス改定に転じ、2026年度にようやく「月額7万円台」を突破しています。
「7万円台」の意味と現実
年間にすると約84万5000円。
ただし満額を受け取れるのは、40年間まったくブランクなく保険料を納めた人のみです。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、実際の平均月額は男性6万1595円、女性5万7582円と、いずれも満額には届いていません。
国民年金:年金月額階級別の受給権者数
満額に近づけるためには、免除・猶予期間の追納や、60〜65歳の任意加入といった手段があります。付加年金や繰下げ受給で「7万円台」を超える設計も可能です。
見落とし注意!年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」も増額へ
公的年金などの収入が一定基準額以下の方の生活を支援するため、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。
年金額と同様に毎年度改定が行われますが、2026年度はこの給付金も物価上昇を反映して3.2%の増額となります。
老齢基礎年金を受給している方向けの「老齢年金生活者支援給付金」の場合、2026年度の基準額は月額5620円となり、前年度から170円引き上げられました。
ただし、この給付金は請求手続きをしないと受け取ることができません。
所得の低下などにより新たに受給対象となる方には、日本年金機構から9月頃から順次請求書(はがき)が送付されます。
案内が届いた方は、忘れずに手続きを行いましょう。
まとめにかえて
2026年度は、老齢基礎年金の満額がついに「月7万608円」と月7万円台に到達する節目の年となりました。
しかし、国民年金受給者の実際の平均月額は6万円前後にとどまっており、満額を受け取れる人は限られています。
また、単身高齢者の平均的な生活費(月15万円前後)と比較すると、インフレの影響もあり、国民年金だけで生活を維持するのは依然として厳しいのが現実です。
まずは「ねんきん定期便」などでご自身の年金見込額を正確に把握することが大切です。
その上で、少しでも受給額を増やすための任意加入や付加年金、受給開始時期を遅らせる「繰下げ受給」、そして今回ご紹介した「年金生活者支援給付金」といった制度を漏れなく活用しましょう。
さらに、iDeCoやNISAなどの自助努力を組み合わせ、早いうちから老後の生活水準をしっかり確保する備えを進めていくことが大切です。
参考資料
早大卒。証券外務員二種・相続診断士。15年の書籍校閲で培ったファクトチェック力を武器に、一次資料に基づく「お金と暮らし」の分析記事を担当する編集記者。認知症介護経験をいかし、読者目線に立った情報発信も。
