【厚生年金と国民年金】夫婦世帯・シングル世帯で「ひと月の平均額」はいくら変わる?シミュレーション
siro46/shutterstock.com
執筆者太田 彩子LIMO&ファイナンス編集部記者
11:00
【厚生年金と国民年金】夫婦世帯・シングル世帯で「ひと月の平均額」はいくら変わる?シミュレーション
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家族との夏休みの計画を立て始めた方も多いのではないでしょうか。ライフスタイルの多様化が進むいま、老後の暮らし方も「夫婦世帯」だけを前提には語れない時代になっています。

例えば厚生労働省が毎年公表する「年金の目安額」は、少し前までは基礎年金額と「会社員と専業主婦等のモデル夫婦」の金額のみでした。

最近ではさまざまなライフコース別の年金額も示されるようになっています。

老後の年金額は「夫婦世帯」と「シングル世帯」でどう違うのか気になるものです。

筆者はかつて公務員として自治体の窓口業務をしていましたが、やはり年金額や年金手取り額に関する相談がとても多かったです。

今回は、厚生労働省の最新データをもとに、夫婦世帯とシングル世帯それぞれのひと月あたりの平均年金額を、パターン別に比較しながら解説します。

年金の基本、国民年金と厚生年金は「2階建て構造」

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み
厚生年金と国民年金の仕組み

国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象であり、老齢基礎年金として、加入期間に応じて受け取れます。

厚生年金は会社員や公務員などが加入する上乗せ部分です。加入期間と現役時代の収入によって受給額が決まります。

夫婦世帯・シングル世帯を問わず、この2つの年金のどちらに加入していたか、いつまで加入していたかが、老後の受給額を大きく左右します。

2026年度モデル世帯の年金は月23万7279円

公的年金の支給日は「偶数月の15日(※)」で、2026年度の改定額が反映されたのは6月15日支給分(4月・5月分)からでした。次回の支給日は8月14日(金)です。

厚生労働省が示す2026年度の年金額の例は次のとおりです。

※15日が土日祝日の場合、直前の平日に前倒しされます。

令和8年度の年金額の例

令和8年度の年金額の例
令和8年度の年金額の例
  • 国民年金(老齢基礎年金):7万608円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

冒頭で触れたとおり、厚生労働省の「モデル世帯」は夫が40年間平均的な収入で就業し、妻は扶養内パートや専業主婦などで国民年金のみ、というかなり具体的な設定です。

実際にはこの前提とぴったり一致する夫婦は多くありません。

【年金額】夫婦世帯とシングル世帯、実際の平均額を比べる

ここからは、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の男女別平均データを用いて、夫婦世帯とシングル世帯の月額を試算します。

男女別の平均年金月額(令和6年度)

厚生年金:年金月額階級別の受給権者数

厚生年金:年金月額階級別の受給権者数
厚生年金:年金月額階級別の受給権者数

国民年金の平均額(全年齢)

国民年金の平均額(全年齢)
国民年金の平均額(全年齢)
  • 厚生年金〈男性〉:16万9967円
  • 厚生年金〈女性〉:11万1413円
  • 国民年金〈男性〉:6万1595円
  • 国民年金〈女性〉:5万7582円

※厚生年金は国民年金部分を含む

【夫婦世帯】タイプ別の合算年金額

  • 共働き夫婦(ともに厚生年金):16万9967円+11万1413円=約28万1380円
  • 片働き夫婦(夫は厚生年金、妻は国民年金のみ):16万9967円+5万7582円=約22万7549円
  • 自営業夫婦(ともに国民年金のみ):6万1595円+5万7582円=約11万9177円

【シングル世帯】タイプ別の年金月額

  • 会社員だった男性:厚生年金約16万9967円
  • 会社員だった女性:厚生年金約11万1413円
  • 自営業だった男性:国民年金約6万1595円
  • 自営業だった女性:国民年金約5万7582円

夫婦世帯とシングル世帯の比較

夫婦2人分の年金額を単純に「2で割る」と、共働き夫婦は一人当たり約14万円、片働き夫婦なら約11万4000円。これは会社員女性のシングル年金額(約11万円)とほぼ同じ水準です。

逆に「会社員だった男性のシングル世帯」の年金は約17万円と、片働き夫婦の一人当たり額(約11万4000円)を大きく上回ります。ただし、シングル世帯は住居費・光熱費といった固定費を一人で負担するため、"手取り年金額あたりのゆとり"は夫婦世帯より小さくなる点も見逃せません。

また、上記はあくまでも現在のシニアの働き方が反映された年金額のため、厚生年金の金額とはいえ当時の時代背景から「女性は結婚や出産等で退職したため、加入期間は短い」というケースが少なくないと考えられます。

働き方が多様化するいま、今後も年金額はゆるやかに変化していくことが考えられます。

正確に把握するためには、こうした統計情報も参考にしながら自身のねんきん定期便やねんきんネットなどを確認するようにしましょう。

まとめにかえて

年金額は「世帯構成」と「現役時代の働き方」で大きく変わります。同じ夫婦世帯でも自営業のみだと月11万円台にとどまる一方、共働きなら月28万円超も可能といえます。

シングル世帯でも会社員経験があれば月17万円、自営業のみなら月6万円と、年金額の幅は非常に大きいのが実態です。

大切なのは「自分(あるいは自分たち夫婦)の見込み額」を早めに把握し、生活費とのギャップを埋める準備を進めることです。

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で試算し、iDeCoやNISAといった私的年金・資産形成で不足分を補っていきましょう。

参考資料

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太田 彩子LIMO&ファイナンス編集部記者

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