給与明細を見ると、天引きされるお金の多さに驚くこともあるでしょう。
特に厚生年金ではその金額が大きいため、額面と手取りのギャップに悩む方は少なくありません。
では、厚生年金保険料はどのように計算されるのでしょうか。
本記事では、厚生年金保険料がどのように計算されて決まるのか、その算出方法をわかりやすく解説します。
個人の状況によって大きく変わるため、パートや65歳以上の方に向けたシミュレーションや、将来の受給額の目安も見ていきましょう。
記事の最後では、年金の額面から「減ってしまった手取り」を実質的にカバーするための、高還元クレジットカードの賢い活用法もご紹介します。
年金からの天引きを止めることは難しいものの、日々の支払い方法を変えるだけで、家計が改善できる可能性はあります。
厚生年金の保険料ってどう決まるの?計算方法をわかりやすく解説
毎月の給料から引かれるお金のひとつである、厚生年金保険料。その金額はどのように計算され、決まるのでしょうか。
まずは基本的な計算式と、保険料額が決まるタイミングを見ていきましょう。
給料から「引かれる額」の基本的な計算式
厚生年金の保険料は、個々の給与によって異なります。さらに、実際の基本給そのものではなく、「標準報酬月額」という区分を用いて行われます。
標準報酬月額とは、実際の給与額(税引前)を一定の幅(等級)に当てはめた金額のことです。
厚生年金保険料は、この標準報酬月額を用いて次の計算式で算出されます。
こちらで算出された金額を、事業主と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」の仕組みとなるため、給料から実際に天引きされる自己負担分は「9.15%」です。
「標準報酬月額」は4〜6月の給料で決まる
そもそも、ベースとなる「標準報酬月額」はどのように決まるのでしょうか。
ここでは標準報酬月額の求め方を見ていきましょう。
標準報酬月額は原則として、毎年4月・5月・6月の3ヶ月間に支払われた給与の平均額をもとに決定されます。これを「定時決定」といいます。
実は、この「給与」には残業代や通勤手当も含まれるという点に注意が必要です。
もし3〜5月が繁忙期でたくさん残業してしまうと、4~6月支給の給与がいつもより増えてしまいます。これによって決められた標準報酬月額の影響を受け、その年の9月から翌年8月までの1年間、厚生年金保険料が高く設定される可能性があるのです。
※会社によって「当月払い」か「翌月払い」かで対象となる労働月が異なります。
もしそうなれば、給与の手取り額が減ってしまう原因になります。
厚生年金保険料はボーナス(賞与)からも引かれる!
ボーナス(賞与)から厚生年金保険料が引かれるようになったのは、2003年(平成15年)からです。
「昔はボーナスから年金は引かれなかった」という声を聞いたことがあるかもしれません。
現在ではボーナス(標準賞与額)に対し、18.3%(自己負担9.15%)の厚生年金保険料がかかるようになっています。
年収が高い人ほど保険料は高い!ただし上限がある
厚生年金保険料は給与と連動するため、給与が上がるほどに保険料も上昇する傾向があります。
ただし上限が設けられており、現在の標準報酬月額の上限は「第32等級(65万円)」です。
年収が高い人でイメージされやすい職種として、例えば医師が挙げられます。
勤務医の方などで月給が65万円以上であれば、月給100万円でも200万円でも、天引きされる厚生年金保険料は月額5万9475円(自己負担分)で頭打ちになります。
つまり、年収が上がるほど「収入に対する保険料の割合」は実質的に下がっていくといえるでしょう。
【シミュレーション】厚生年金保険料はいくら?働き方・年代別に計算
ここでは具体的なケースを設定して、厚生年金保険料をシミュレーションしてみましょう。厚生年金と同時に加入することになる、健康保険料も合わせて見ていきます。
シミュレーション1:パート・アルバイトの「年収の壁」を超えた場合
よく聞く「年収の壁」ですが、もしパートやアルバイトで働く方が一定以上の年収以上を稼いだ場合、社会保険に加入しなければなりません。
このとき、毎月の手取りはどのように変化するのでしょうか。
例えば、月収約9万円(年収108万円)の人を想定しましょう。現行制度において、従業員51人以上の企業で週20時間以上勤務する場合、原則として社会保険に加入する必要があります。
この場合、標準報酬月額は8万8000円となります。こちらを使って各種保険料をシミュレーションしてみました。
厚生年金保険料と健康保険料の合計で、毎月約1万2000円程度が引かれる計算になります。
将来の年金が増えるメリットはありますが、目先の手取り額が減る点には注意が必要です。
シミュレーション2:65歳以上で働き続ける場合
かつては60歳で定年退職を迎えることが一般的でしたが、昨今では働くシニアが増えています。
もし65歳以上になっても会社員として働き続ける場合、70歳になるまでは厚生年金に加入し、保険料を納める必要があります。
65歳以上であっても、厚生年金保険料の計算方法は原則として現役世代と同じであるため、「標準報酬月額 × 9.15%(自己負担)」です。
ただし、在職老齢年金制度には注意が必要です。
在職老齢年金とは、働きながら厚生年金も受け取る場合、「給与」と「受け取る老齢厚生年金」の合計額が一定額を超えると年金の一部または全部が支給停止になる制度のことです。
独立・法人化する場合の年金保険料はどうなる?(土建国保・医師国保との組み合わせ)
原則として、法人化すると「健康保険」と「厚生年金」はセットで加入する必要があります。
ただし個人事業主からマイクロ法人などを設立して法人化した場合、社会保険料の構成を工夫できるケースもあります。
例えば、建設業の「土建国保」や医療従事者の「医師国保」などの国民健康保険組合に個人事業主から継続して加入している場合、法人設立時に「健康保険被保険者除外承認」という手続きをすることで、国保組合を維持したまま厚生年金のみに加入することが可能です。
この場合、健康保険料は国保組合の定額料金(世帯人数分など)を支払い、厚生年金保険料のみを役員報酬(標準報酬月額)をもとに計算して納付します。
役員報酬を低めに設定することで、将来の年金受給額とのバランスを見つつ、月々の社会保険料負担を抑えるスキームとして活用する方もいます。
ただし、家族構成や報酬額によっては通常の「協会けんぽ」の方が有利になる場合もあるため、事前の試算が不可欠です。
【老齢・遺族厚生年金の計算方法】将来もらえる金額はいくら?
高い厚生年金保険料を払っているのですから、将来いくら戻ってくるのかは気になるところです。ここでは受給額の計算式を確認していきましょう。
老齢厚生年金と遺族厚生年金にわけて見ていきます。
「老齢厚生年金」の計算方法と受給額
老齢厚生年金は、「年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で決まります。
「報酬比例部分」は加入期間と過去の給与(納めた保険料)に応じて計算され、おおまかな計算式は「平均標準報酬額 × 5.481 / 1000 × 加入月数」です。
つまり、現役時代に高い給与をもらい、長く厚生年金保険料を納めるほど、将来の受給額は確実に増えるという仕組みになっています。
「遺族厚生年金」の計算方法
一家の生計を支える会社員が亡くなった場合、残された家族が一定の要件を満たすと「遺族厚生年金」が支給されます。
遺族厚生年金の計算方法は、亡くなった方の「老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式で算出した額の4分の3」が基本となります。
遺族年金自体は非課税ですが、健康保険の「扶養」の判定では収入としてカウントされます。
遺族年金の受給額によっては、家族の健康保険の扶養から外れて自身で保険料を負担することになり、手取り額に影響が出るケースがあるため注意しましょう。
【注意!】厚生年金に「付加保険料」はない
「将来の年金を少しでも増やしたい」と考えたとき、月額400円を上乗せして払う「付加保険料」を検討する方がいます。
しかし、付加保険料とは自営業などの「第1号被保険者(国民年金のみの加入者)」が利用できる制度です。
厚生年金に加入している会社員等は第2号被保険者に該当するため、利用できない点に注意しましょう。
自分の「厚生年金保険料納付額(累計)」は確認できる
これまで支払ってきた「累計の厚生年金保険料」については、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認できます。
また「ねんきんネット」であれば、過去の納付履歴だけでなく、将来の受給見込額のシミュレーションも簡単に行うことができます。
マイナポータル経由でもログイン可能です。
厚生年金の負担は大きい!減った手取りをカバーする賢い対策
厚生年金の保険料は、給与の約1割を占める大きな負担であることがわかりました。
給与天引きで強制的に支払うものである以上、勝手に止めることはできません。また、老齢厚生年金や遺族厚生年金などを受け取るためにも大切なお金です。
そこでおすすめしたいのが、「手元に残ったお金の『支払い方』を変えて、実質的な手取りを取り戻す」というアプローチです。
【会社員向け】固定費や税金をクレカ払いに集約して実質手取りを増やす
手取りが減った分をカバーする対策のひとつとして、固定費の支払いをクレジットカード払いに集約するというものがあります。
光熱費、スマホ代、食費などの生活費をすべて「還元率1.0%以上のクレジットカード」で支払えば、年間数十万円の決済で数千円〜数万円分のポイントが戻ってきます。
固定費だけでなく、「ふるさと納税のクレカ決済」を利用するのもおすすめです。
実質2000円の負担でお米や肉などを選べば食費の節約になりますし、寄付額に対してもクレジットカードのポイントも付与されるため、厚生年金保険料の負担感を大きく和らげることができます。
厚生年金保険料自体は「クレジットカード払い」できない
ただし、会社員の厚生年金保険料は給与天引き(特別徴収)のため、個人が直接クレジットカードで支払ってポイントをもらうことはできません。
直接的には無理ですが、それ以外の生活費の支払い方法を工夫する必要があります。
【独立・退職予定者向け対策】「国民年金」ならクレカ払いが可能!
今後、独立や退職を考えている場合、厚生年金を脱退して「国民年金」に切り替わることになります。
この場合、国民年金保険料はクレジットカードでの納付が可能です。
令和8年度の国民年金保険料は、月額で1万7920円です。この分をクレジットカードで支払えば、それだけで着実にポイントが貯まり、現金払いよりも圧倒的にお得になります。
日常使い&固定費支払いにおすすめの高還元クレジットカード3選
減った手取りをポイントで賢く取り戻すのに効果的な、基本還元率が高く、固定費の支払いに強いクレジットカードを3つ厳選しました。
楽天カード
- おすすめの理由: 基本還元率1.0%。楽天市場での「ふるさと納税」と組み合わせることで、ポイントが驚くほど貯まり、食費の節約に直結します。
- 三井住友カード ゴールド(NL)
- おすすめの理由: 年間100万円のご利用で10,000ポイント還元(※)。独立後の国民年金保険料の支払いや、日々の固定費をまとめるメインカードとして絶大な人気を誇ります。(※対象取引や算定期間等の実際の適用条件などの詳細は、三井住友カードのホームページを必ずご確認ください)
- リクルートカード
- おすすめの理由: 年会費無料で基本還元率が1.2%と業界最高水準。どこで使っても高還元なため、支払先を気にせずにとにかく手取りの目減りをカバーしたい方に最適です。
まとめ
厚生年金保険料は「標準報酬月額 × 保険料率(18.3%)」で計算されます。
標準報酬月額がベースとなることから、3〜5月の働き方やボーナスの額が大きく影響するといえるでしょう。
負担が大きいため、毎月の手取り額に落胆してしまうこともあるかもしれませんが、それは将来の「老齢厚生年金」や、万が一の際の「遺族厚生年金」として自分や家族を守るための重要なお金です。
手取りが減った分については、別の方法でカバーするのがおすすめです。
たとえば、高還元クレジットカードを活用した家計の防衛を行うのも選択肢のひとつです。ポイントが貯まりやすいカードへの切り替えも視野に、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料