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2024.08.06
2024.08.06

【はたらく女性のお金の見直し】資産運用はどう始めればいい?CFPが教える投資との向き合い方

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執筆者:
大竹 のり子
株式会社エフピーウーマン代表取締役・ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)

「資産運用」や「投資」と聞くと、「なんだか難しそう」「資産といえるほどのお金もないし…」そんなふうに思ってしまっていませんか?でも実は、資産運用で大変なのは最初の一歩。えいっと覚悟を決めてスタートしてしまえば、あとは人生を通じて味方になってくれる、心強い存在なのです。今回は、はたらく女性にとっての資産運用の始め方、投資との向き合い方についてお伝えします。

「貯蓄から投資へ」の流れはもう止まらない!

「貯蓄から投資へ」という政府の方針が初めて打ち出されたのは小泉内閣時代、2001年のことです。そこから20年以上が経った今、もはや投資は多くの人にとって「当たり前」のものになりつつあります。

NISA口座の開設数は約1,456万口座

たとえば、「NISA」(少額投資非課税制度)です。NISA がスタートしたのは2014年のことですが、今年1月には制度が大幅拡充されて話題を呼びました。

2024年3月末時点でのNISA口座の開設数は、証券会社10社(大手5社・ネット5社)だけでも約1,456万口座。現在の日本の人口は約1億2,400万人ですから、10人に1人以上がNISA口座を開設しているという計算になります。

貯蓄だけではお金が増えない時代

その背景にあるのが、長引く低金利です。メガバンクの定期預金の金利は0.025%前後。金利が高いといわれるネット証券でも0.05%前後です。100万円を1年間預けても利息はたった500円(税引前)なわけですから、「増えた」と実感するのは難しいですよね。何度かATM利用料を支払ったらむしろマイナスになってしまいます。

こうした背景からも、「なんとかして手元のお金を増やしたい」と切実な思いで資産運用を始める人が増えているわけです。

まずは「投資資金」「投資の目的」「目標金額」を考えよう

一方で「投資には興味があるけれど、何からどうやって始めればよいのかわからない」という人も多いはず。そんな人にまず考えてほしいのが、「投資にまわせる資金」と「投資をする目的」、そして「いつまでにいくら」という「目標金額」です。

ひとくちに「投資」と言っても、余裕資金100万円を3年で10倍の1,000万円に増やしたいという場合と、30年後の老後を見据えて毎月2万円を安定的に積み立てていきたいというのでは、当然ながら選択が異なってくるからです。

リスクとリターンは手をつないでやってくる

そして投資をするうえで忘れてはならないのは、貯蓄と異なり、常に元本割れリスクがついてまわるということです。貯蓄よりも投資のほうが大きなリターンが期待できるのは、値動きがあるからに他なりません。

投資の世界に「リスクとリターンは手をつないでやってくる」という言葉があります。値動きが大きいほど、リスクが大きい代わりに大きなリターンを得られる可能性がありますし、反対に値動きが小さければ、リスクも小さい代わりに期待できるリターンも小さくなります。

リスクとリターンは手をつないでやってくる
図表 リスクとリターンの関係

リスクは商品によっても異なる

また一般的に、商品によってもどのくらいハイリスク・ハイリターン、あるいはローリスク・ローリターンなのかが異なります。

元本が保証されている一方でほとんど利息がつかない預貯金は、限りなくローリスク・ローリターンの商品といえます。反対に、株式投資は値動きが激しい分だけ、株価が大きく上がれば短期間に2倍、3倍に増える可能性もあります。それだけハイリスク・ハイリターンであることが魅力の商品と言えるわけです。

ちなみに投資信託は、株式を中心に運用されている商品なのか、それが国内株式なのか、海外株式なのかなど、運用対象によってリスクやリターンにかなりの幅があります。

リスクは商品によっても異なる
図表 商品ごとのリスクとリターン

初めての投資、何から始めるのがおすすめ?

こうした前提を踏まえていくと、何から始めればよいのかがなんとなく見えてきます。

「子どもの将来の教育資金として毎月3万円を定期預金しているから、そのうち1万円を投資にまわしてみようかな」「15年後の大学進学のときに2倍くらいになっていたら嬉しいな」というのであれば、投資信託の積立が向いているかもしれません。

独身の方で「ボーナスも入ったし、そこから20万円を投資にまわそうかな」「せっかくやるのなら投資で増えたお金で1年に1回ぐらい女子旅に行きたい」というのであれば、株式投資にチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。

何はともあれNISA口座を開設しよう

そうした方針が决まったら、次にやるべきはNISA口座の開設です。投資信託の積立をするにせよ、株式投資をするにせよ、せっかくなら非課税口座であるNISA口座を活用しない手はありません。

NISA口座には「成長投資枠」と「つみたて投資枠」という2つの非課税投資枠があり、前者は年間240万円、後者は120万円まで投資が可能です。株式が買えるのは「成長投資枠」に限られていますが、投資信託の積立は「成長投資枠」でも「つみたて投資枠」でも可能です。

不安なら、まずは少額から始めてみよう

非課税投資枠が240万円や120万円と聞いてびっくりした人もいるかもしれません。でもこれはあくまでも「限度額」に過ぎません。

株式投資は単元未満株と呼ばれるサービスを利用すれば1株単位、つまり銘柄によっては数百円程度から購入できますし、投資信託の積立も証券会社によっては毎月100円から始められます。

「数百円投資してもたいして増えないから意味がないのでは」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。たとえ少額であったとしても、最初の一歩を踏み出せるかどうかで、その後の人生が大きく変ってくる可能性は十分にあるのです。

自分とお金とで「共働き」しよう

繰り返しになりますが、投資にはリスクがつきものです。それはNISA口座であっても同じ。NISA口座のメリットはあくまで「利益が出たときに非課税になる」ことであって、NISA口座だからといって「買えば儲かる」というものではないことには注意が必要です。

ですから、資産運用を始めるにあたっては、投資信託や株式投資がどのような仕組みのものなのか、商品や銘柄はどうやって選べばよいのかといったことについて、自分なりに勉強をするということがとても大切です。

勉強をして、はたらいて得たお金を投資して、今度は自分だけでなく、そのお金にもはたらいてもらう。こんな循環を実現できたら、投資はきっと、あなたの人生の大きな味方になってくれるはずです。

執筆者/株式会社エフピーウーマン代表取締役・ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)
大竹 のり子

出版社の編集者を経て2005年4月に株式会社エフピーウーマンを設立。 雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演などのほか『お金の教養スクール』を通じて女性がお金の知識をつけることの大切さを伝えている。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)、『ライフプランから考える お金の増やし方』(ナツメ社)など著書・監修書は70冊以上に及ぶ。

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