住宅ローンを利用する際には、申し込んで審査に通過しなければなりません。審査基準は申込先の金融機関によって異なり、詳細は公開されていません。ただ、事前に対策をとっておくことで、審査に通る可能性を高められます。
今回は住宅ローンの審査に落ちるケースを紹介するとともに、審査に通るために押さえておくべきポイントについて解説します。
これから住宅ローンを利用しようと考えている人はぜひ参考にしてください。
住宅ローン審査に落ちる主な理由
冒頭でも述べたとおり、住宅ローンの審査基準は公表されていません。そのため、ある金融機関に申し込んで審査に通らなかったとしても、別の金融機関に申し込んで審査に通る可能性もあります。
ただ、住宅ローンの審査に落ちる人には以下のような共通点がありますので、自分が当てはまっていないか事前に確認しておきましょう。
申込基準を満たしていない
住宅ローンの申込要件は金融機関によって異なります。なかには前年の税込年収が200万円以上といった年収基準や、勤続年数1年以上などといった具体的な基準を設けている金融機関もあり、その基準に当てはまらなかった場合は申し込みすらできません。
また、パートやアルバイトは利用不可としている金融機関もあります。
収入が安定していない
住宅ローンに申し込む人は給与所得者だけではありません。なかには自営業者やフリーランスの方もおられるでしょう。ただ、自営業者やフリーランスの場合、業種にもよりますが収入が安定していないと見なされるケースが多く見られます。
ほとんどの金融機関が申込条件に「安定・継続した収入がある」と記載していることからも、自営業者やフリーランスは給与所得者に比べて審査に不利に働く点は否定できません。
ただ、自営業者やフリーランスだからといって審査に通らないわけではありません。確定申告書の写しなどを提出し、安定した収入が得られていると証明できれば審査に通る可能性は十分にあります。
他社からの借り入れが多い
審査では他社からの借り入れもチェックされます。そして他社からの借り入れ件数や借入残高が多いと審査に通るのが難しくなります。
金融機関側も、「今の時点でこれだけ借りているのに、新たに融資を行って返してもらえるのか」といった返済能力を重視した審査を行うため、他社からの借り入れが多いと審査に不利に働くのです。
年収に対して希望借入金額が大きい
住宅ローンに申し込む時には、どのくらい借り入れたいかという希望借入金額を申告します。そしてその希望借入金額が年収に対してあまりにも大きすぎると審査に通らない、もしくは希望借入金額まで借りられないといった結果になってしまいます。
購入する物件の価値が低い
金融機関は住宅ローンの融資を行う際、もし契約者が返済できなくなったときには購入した家を競売に出すことで換金し、融資金額の回収に充てます。住宅ローンの完済まで購入した物件に金融機関が抵当権を設定するのはそのためです。
ただ、あまりに価値が低い物件だと競売にかけても融資額を回収できず、結果的に金融機関側は損失をこうむってしまいます。そのため、審査では購入する物件の価値のチェックも行われます
健康状態に問題がある
フラット35を除き、住宅ローンを利用する際には団体信用生命保険への加入が義務付けられています。
団体信用生命保険とは、契約者が死亡、高度障害になった時や、特定の病気にかかった時などにその後の返済を保障してくれるもので、加入の際には加入時点の体況を告知する必要があります。
直前に大きな病気をした、もしくは持病があるなどで団体信用生命保険に加入できなければ審査に通ることはできません。
信用情報に問題がある
住宅ローンの審査において、金融機関は必ず申込者の信用情報をチェックします。
日本には3つの信用情報機関があり、金融機関はそのいずれかに加入し、ローンの申し込みがあった際に照会をかけるのです。
その際に信用事故情報が登録されていた場合、審査に通るのは難しいと考えておきましょう。
また、住宅ローンの審査には仮審査と本審査があります。仮審査に通ったとしても本審査で落とされる可能性がありますので、注意が必要です。ちなみに本審査では仮審査で申告された情報を基に、さらに詳しい審査が行われます。
図表 住宅ローンの仮審査と本審査
住宅ローンの審査基準
住宅ローンの審査基準は金融機関で異なるものの、多くは以下の点をチェックします。
返済能力があるか
返済能力があるかどうかは、申込者の年収や勤務先、勤続年数を基にして判断します。また、他社からの借り入れがあるかどうかも返済能力を判断するうえで重要なポイントです。
また、安定した収入があることも大切です。そのため、転職してすぐの申し込みだと審査に不利になる可能性もありますので注意しておきましょう。
信用情報に問題がないか
信用情報とは、ローンの申込情報やクレジットカードの利用状況などに関する情報のことで、仮に延滞などを起こした場合は事故情報として一定期間信用情報機関に登録されます。
住宅ローンを申込む際にも、信用情報は必ずチェックされますので、日頃から延滞などの信用事故を起こさないように心がけておくことが大切です。
ちなみに国土交通省の発表資料によると、住宅ローン融資の際にチェックする項目として、9割以上の金融機関が「借入時や完済時の年齢」「健康状態」「年収」「勤続年数」「返済負担率」「担保評価」と回答しています。
図表 融資を行う際に考慮する項目
住宅ローンの審査に通るために押さえておくべきポイント
住宅ローンの審査に通るためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
申込条件を満たしているか
申込条件の中でも年齢基は金融機関によって異なります。また申し込める年齢と完済時年齢の両方を満たさなければなりませんので、高齢になって申し込む場合は完済時年齢までの期間や毎月の返済額を考慮しながら借入希望金額を決めるようにしましょう。
頭金を準備する
最近では頭金を用意することで金利を引き下げる金融機関も出てきています。頭金を入れることにより、借入金額を減らせることにもつながりますので、余剰資金があるなら無理のない範囲で準備することも考えましょう
他社からの借り入れをできるだけ少なくしておく
審査の際には返済負担率がチェックされます。返済負担率とは年収に占める年間のローン返済額合計のことで、一般的には30%以内におさめるほうがいいと言われています。
そのためにも、他社からの借り入れは住宅ローンを申し込むまでにできるだけ返済しておきましょう。もし全部を返済できないなら、金利の高いものから返済するようにしてください。
また、借入先が複数社あるなら、おまとめローンの利用も有効です。
図表 おまとめローンの利用も有効
自分の信用情報をチェックしておく
信用情報は審査の際に必ずチェックされます。そのため、不安がある場合は信用情報機関に対して情報開示の請求を行ってみましょう。インターネットで簡単に行えますし、手数料も1,000円程度です。その結果事故情報が登録されていることが分かったなら、登録が消えるまで住宅ローンの申し込みを待ったほうがいいでしょう。
毎月の返済が負担にならない借入金額に落ち着けることが大切
住宅ローンは借入金額も多く、長期にわたって返済するローンです。そのため、今後のライフイベントも考慮しながら、無理のない返済を続けられるだけの借入金額に落ち着けることが大切です。
借りられる金額を借りるのではなく、返せる金額を借りることを意識することで、審査にも通りやすくなるでしょう。また、自分の年収だけでは希望する借入金額まで借りられないと感じた際には収入合算やペアローンなども検討してみましょう。