早期退職します。退職金は「教育資金」と「老後資金」どちらに使えばいい?「資金の性格」を分けて資産配分を考えていく
metamorworks/shutterstock.com
執筆者筒井 亮鳳ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/TLC
監修者和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ
14:02
早期退職します。退職金は「教育資金」と「老後資金」どちらに使えばいい?「資金の性格」を分けて資産配分を考えていく
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この記事はここがポイント

  • 早期退職時の資産配分は、教育資金・老後資金の性格分け、退職金・給与の置き場所の区別
  • 資金決定後、債券・投資信託・株式など、値動きの異なる資産を組み合わせる分散投資
  • 資産運用が十分なペースなら、無理に投資を増やす必要はないことの確認

「今の稼ぎは教育資金に、退職金は老後の運用に回したい」ーーそう考えてはいるものの、いざまとまったお金を前にすると、どう動かせばいいか分からず手が止まってしまいませんか?

定年退職であれば教育資金にめどが立っていることが多いですが、早期退職は別です。

子どもの学費のピークと、自分たちのセカンドライフへの備えという、性質も時期も異なる2つの大金が同時に押し寄せてくるからです。

「一度きりのお金だから失敗できない」というプレッシャーも迷いを深くします。

本記事では、早期退職で同じ悩みに直面した会社員の事例から、資金の性格に合わせた「置き場所の仕分け方」と、株高の局面でも動じない資産運用の考え方を紐解きます。

教育資金と老後資金、退職金はどちらに振り分ければいい?

退職金を受け取ったこの会社員は、「今の稼ぎは教育資金に、退職金は運用に使いたい」という思いを持っていました。しかし、実際に動かすとなると判断は簡単ではありません。

教育資金の準備と老後資金への備えは、必要になる時期もお金の性格もまったく異なります。

本来であれば時期をずらして向き合えるはずのこの二つが、早期退職というタイミングによって同時に押し寄せてきたことで、退職金をどちらにどれだけ振り分ければよいのか、はっきりしないという状態になっていました。

同じように早期退職を考えている方の中にも、この重なりに戸惑う方は多いのではないでしょうか。

NISA、iDeCo、保険、投資信託と選択肢自体は増えているものの、それぞれをどう組み合わせれば「理想的な資産配分」と言えるのか、判断基準が定まらないというのが、正直なところだったといいます。

退職金は債券?投資信託?値動きの異なる資産、どう組み合わせる?

金額の悩みが整理できたとしても、次に浮かんでくるのが「何で運用すればいいのか」という商品選びの悩みです。

まとまったお金を一度に投資してよいものか、それとも安定した債券に多めに残しておくべきか。株価が高値圏にあるというニュースを目にするたびに、今から投資を始めてよいものかという不安も重なり、判断を先延ばしにする理由ばかりが積み重なっていく状態だったそうです。退職金という一度きりのお金だからこそ、慎重になるのはケースバイケースというより、むしろ自然な反応と言えるでしょう。

筒井 亮鳳
執筆者筒井 亮鳳ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/TLC

この二つの悩みは、順番に整理していくのが近道です。先に「資金の性格ごとの置き場所」を決め、次に「何で運用するか」を考える。逆にすると、目的が定まらないまま商品ばかりを探すことになり、迷いが深まります。まとまった退職金を一つの商品に賭けるのではなく、値動きの異なるものを組み合わせて全体で整える、と考えることが大切です。

早期退職時にしたいこと。鍵は「資金の性格分け」

早期退職後の資産配分についてまずお伝えしたいのは、資金の性格を仕分けるところから始めるということです。

教育資金など近い将来使う予定のお金と、老後資金など長期で置いておけるお金を分けて考える。そのうえで、まとまった退職金と、毎月の給与から出せる資金とで、置き場所を分けるのがポイントです。

実際にこの会社員は、「余剰資金を債券にまとめて入れて、給与からNISAを積み立てる」という役割分担を実践しました。

退職金のようなまとまった資金は値動きが比較的読みやすい債券にまとめて置き、日々の給与から出せる分はNISAで淡々と積み立てる。資金の性格によって置き場所を分けることで、判断はぐっとシンプルになります。

資金の置き場所が決まったら、次は値動きの異なる資産を組み合わせることです。一つの商品や資産に偏らず、債券と投資信託に分けて運用する、あるいは値動きの異なる株式同士を組み合わせるといった工夫が基本になります。

たとえば、半導体関連株とオルカン(全世界株式)を半々で持てば、どちらかが下がってももう一方でカバーできるという安心感を得ながら投資を続けられます。相場水準そのものを気にしすぎるより、自分の資産全体でどんな配分になっているかを見る方が、結果として続けやすい運用につながるのではないでしょうか。

そして見落としがちなのが、「すでに十分なペースで資産運用ができているなら、無理に投資を増やす必要はない」という視点です。教育資金の準備にめどが立っているのであれば、退職金のすべてを急いで投資に回す必要はありません。今のペースで十分かどうかを確認することも、資産配分を考えるうえで大切な工程のひとつです。

元銀行員の監修者からのアドバイス

和田 直子
監修者和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ

退職金の使い道は、「教育資金か老後資金か」「預金か運用か」の二つでつまずきがちです。

けれど、どちらも一度に完璧に決める必要はありません。まず資金の性格ごとに置き場所を分け、次に値動きの違うものを組み合わせて整えていく。この順番で一つずつ進めるだけで、迷いはずいぶん軽くなります。

銀行員として勤務していた経験を振り返って思うのは、退職金のようなまとまったお金を前にすると、誰でも「正解」を探したくなるということです。特に早期退職のように、複数の支出が重なる中でのお金の判断は、なおさら焦りが生まれやすいものです。ですが、完璧な一本を当てにいくよりも、資金の目的ごとに整理し、値動きの異なるものを組み合わせながら確かめていく方が、結果的に無理のない運用につながります。

まずは、手元の退職金がどんな目的のために、どこに置かれているのかを、一つずつ整理してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

退職金の資産配分を考えるときに知っておきたい用語

最後に本文で触れた、退職金の資産配分を考えるときに知っておきたい言葉を整理します。

  • 資産配分:手持ちの資金を預金・株式・債券・投資信託などにどう振り分けるかという考え方です。
  • 分散投資:値動きの異なる資産に資金を分けて持つことで、一つの資産が値下がりしたときの影響をやわらげる考え方です。
  • NISA・つみたて投資枠:投資で得た利益にかかる税金が一定の範囲で非課税になる制度です。「つみたて投資枠」は、長期の積立・分散に向いた投資信託を毎月少しずつ積み立てるための枠です。
  • 退職所得控除:退職金を受け取る際に一定額まで税金がかからなくなる仕組みです。控除額は勤続年数によって変わります。
  • インデックス運用:特定の株価指数に連動することをめざす運用方法です。市場全体の動きにあわせて値動きするのが特徴です。
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筒井 亮鳳ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/TLC
和田 直子編集者 株式会社モニクルリサーチ

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