先月の6月15日(月)には2026年度に改定された年金が初めて支給され、次回の支給は8月14日(金)となります。
ご自身やご家族のこれからの生活設計について改めて思いを巡らせている方もいらっしゃるかもしれません。
筆者は日頃、ファイナンシャルアドバイザーとして働く世代の方々のお金のお悩みに寄り添った情報発信をしておりますが、ご両親の世代やご自身の将来を見据えて「自分の年金はいくらになるのか」「年金収入だけで生活を維持できるのか」と不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、最新データに基づく厚生年金と国民年金の「平均受給額」や、年金で暮らすシニア世帯の家計収支の実態を解説します。
国民年金の受給額を上乗せできる「付加年金」制度の特徴や、《40年間付加保険料を納めたケースをシミュレーション》した結果もご紹介します。
ご自身の状況と比較しながら、これからの生活設計のヒントとしてご活用ください。
厚生年金と国民年金、受給額の個人差はどのくらい?
老後の生活を支える大切な公的年金について、多くの方が可能な限り多くの金額を受け取りたいと考えているはずです。
ご自身の受給額がいくらになるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
年金の受給額は加入履歴によって決まるため、個人差が大きくなる点には注意が必要です。
この点を念頭に置き、実際のデータを用いてどの程度の個人差が生じるのかを見ていきましょう。
【男女別】厚生年金の平均受給月額と金額ごとの分布
厚生年金の平均額(全年齢)
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金保険(第1号)受給権者の平均年金月額は以下のようになっています。
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含みます。
男女別で比較すると、男性の平均が16万9967円、女性が11万1413円となっており、月額で約6万円の差があることが分かります。
また、上記の分布が示すとおり、受給額は「月額1万円未満」から「30万円以上」まで非常に広範囲にわたっています。
個人の状況によって大きく異なるため、ご自身の年金記録を確認することが大切です。
【男女別】国民年金の平均受給月額と金額ごとの分布
国民年金の平均額(全年齢)
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金受給権者の平均年金月額は以下のとおりです。
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
国民年金の平均月額は、男女ともに5万円台の後半です。
グラフからも分かるように、受給額は「月額1万円未満から7万円以上」の範囲に分布しています。
国民年金には満額が設定されているため、厚生年金ほど受給額に大きなばらつきはありません。
最も人数が多いのは「6万円以上~7万円未満」の層で、多くの方が満額に近い年金を受給していると推測できます。
公的年金は2カ月に1度の偶数月に支給されますが、2026年の年金支給日はいつなのでしょうか。
2026年度版・年金はいつ支給される?支給日カレンダー
公的年金は、原則として偶数月の15日に、その前月までの2カ月分がまとめて支給される仕組みです。
ただし、支給日の15日が土日・祝日といった金融機関の休業日にあたる場合、直前の営業日に前倒しで支給されます。
2026年度の年金支給日と、それぞれの支給対象月は下記のとおりです。
2026年度の年金支給日カレンダー
【2026年度】年金の支給日と対象となる月の一覧
- 2026年4月15日:2026年2月・3月分
- 2026年6月15日:2026年4月・5月分
- 2026年8月14日:2026年6月・7月分
- 2026年10月15日:2026年8月・9月分
- 2026年12月15日:2026年10月・11月分
- 2027年2月15日:2026年12月・2027年1月分
具体的な例を挙げると、2026年8月14日の支給日には、6月と7月の合計2カ月分の年金が指定口座に一括で入金されることになります。
毎月給与が支給されていた現役時代とは異なり、2カ月に一度の収入となるため、家計の管理方法には工夫が求められるでしょう。
では、65歳以上の無職夫婦世帯の「平均的な家計収支」はどのようになっているのでしょうか。
65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支はどのような状況か
この章では、65歳以上で仕事をしていない夫婦世帯について、1カ月あたりの平均的な家計収支を見ていきましょう。
ここでは、総務省統計局が公表する「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」のデータを参考に解説します。
65歳以上の生活費(夫婦世帯)
収入の内訳
- 実収入:25万4395円
- うち社会保障給付:22万8614円(主に年金)
支出の内訳
- 実支出:29万6829円
- うち消費支出:26万3979円
消費支出は、一般的に「生活費」にあたる部分です。
その内訳は以下のとおりです。
- 食料:7万8964円
- 住居:1万7739円
- 光熱・水道:2万3540円
- 家具・家事用品:1万1237円
- 被服及び履物:5354円
- 保健医療:1万7941円
- 交通・通信:3万1325円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万6538円
- その他の消費支出:5万1341円
- うち諸雑費:2万2047円
- うち交際費:2万3257円
- うち仕送り金:1135円
また、税金や社会保険料といった非消費支出は3万2850円で、内訳は次のようになっています。
- 直接税:1万2547円
- 社会保険料:2万296円
このモデルケースの夫婦世帯では、1カ月の実収入25万4395円に対し、支出の合計が29万6829円です。
物価高が続いていることもあり、食料の平均は7万8964円で家計に負担がかかっていることが見受けられます。
結果として、毎月4万2434円の赤字が発生している状況です。
老後は、これまで蓄えてきた資金と公的年金などをもとに生活していく方が多いでしょう。
国民年金の受給額を増やすための選択肢として「付加年金」制度がありますが、どのような特徴があるのか解説します。
国民年金の受給額を上乗せできる「付加年金」制度とは
働き方が多様化する現代では、フリーランスや自営業など、厚生年金に加入しない働き方を選択する人が増えています。
しかし、将来の年金が国民年金だけの場合、受給額は比較的少なくなる傾向にあります。
そこで、国民年金の受給額を増やす方法の一つとして、「付加保険料の納付」を紹介します。
国民年金付加年金制度
付加年金とは、毎月の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に「付加保険料(月額400円)」を上乗せして納付することで、将来の老齢基礎年金額を増やせる制度のことです。
付加保険料を納付できる人
- 国民年金第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
付加保険料を納付できない人
- 国民年金保険料の納付を免除(法定免除、全額免除、一部免除)または猶予(納付猶予、学生納付特例)されている方
- 国民年金基金に加入している方
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は、同時に加入できます。
ただし、iDeCoの掛金上限額によっては併用できないケースもあるため、注意しましょう。
40年間付加保険料を納めた人、毎年いくら年金に加算されるかシミュレーション
仮に、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納付し続けた場合をシミュレーションしてみます。
65歳から受給できる年間の「付加年金額」は、「200円 × 付加保険料を納めた月数」で算出可能です。
- 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円 × 480カ月)
- 65歳以降に上乗せされる付加年金額(年間):9万6000円(200円 × 480カ月)
40年間で納める付加保険料の合計は19万2000円です。
一方で、毎年9万6000円が年金に加算されるため、受給開始からわずか2年で元が取れる計算になります。
まとめ
今回は、60歳以上の方々の年金事情と家計の収支状況について、詳しく解説しました。
なお、ご紹介した平均年金月額は「額面」となっており、実際に支給される際は「税金や社会保険料が天引きされる」ケースが多いため、手取り額がさらに少なくなることが考えられます。
老後の生活を支える年金について、個人の受給額の目安だけでなく、世帯単位での支出を含めた収支の実態を把握することは、将来の生活を計画する上で重要です。
各種データを参考に、ご自身の状況と照らし合わせ、今後のライフプランニングに役立ててみてはいかがでしょうか。
