ボーナスの支給額や住民税の決定通知書などを見る機会が増え、お金について考える機会が多い時期。ふと老後のことが気になる方も多いのではないでしょうか。
収入の多さや働き方の積み重ねによって生まれる格差は、現役時代だけでなく老後まで尾を引くものです。
厚生労働省が公表する「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」によると、2024年における新規学卒者(大学)の平均給与は24万8300円であり、年々上がっていることがわかります。
年金も近年では増額が続いているものの、「年金だけでは老後を過ごせない」という声も根強く、その金額を不安に感じている人は少なくないでしょう。
実際、最新の「令和8年版高齢社会白書(内閣府)」によると、65歳以上の就業者数及び就業率は年々増加しています。
本記事では
- 65歳以上の就業者数及び就業率の最新データ
- 年金のしくみ解説
- 厚生年金の「月20万円超」と「月10万円未満」
について見ていきます。
65歳以上の就業者数及び就業率は年々増加
内閣府が公表する「令和8年版高齢社会白書(内閣府)」によると、65歳以上の就業者数及び就業率は年々上昇しており、特に65歳以上の就業者数は22年連続で増加しています。
65歳以上の就業者数及び就業率の推移
- 65~69歳:54.5%
- 70~74歳:36.2%
- 75歳以上:12.6%
一方、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は34.8%にとどまっており、働く意欲があっても環境が叶わない可能性もあることがうかがえます。
次章では、シニアの暮らしの支えとなる年金について詳しくみていきましょう。
年金の基本、国民年金と厚生年金は「2階建て構造」
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。そのため、加入状況によって「支給される年金額」に大きな違いが生まれます。
それぞれの違いをまずは整理しておきましょう。
※もらえる年金には遺族年金や障害年金もありますが、本記事では老齢年金にフォーカスをあてます。
厚生年金と国民年金の仕組み
国民年金の加入者・保険料・年金額
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。基礎年金とも呼ばれますね。
国民年金保険料は全員一律で、2026年度は月額1万7920円を負担します。
国民年金から支給されるのは老齢基礎年金で、2026年度の満額(40年間欠かさず保険料を納めた人が受け取れる金額)は7万408円(昭和31年4月2日以後生まれの方は月額7万608円)です。
厚生年金の加入者・保険料・年金額
国民年金加入者のうち、企業や官公庁などで働く第2号被保険者の方は、厚生年金にも加入します。
保険料は給与や賞与に応じて決定され、給与天引きされます。
厚生年金保険から支給されるのが老齢厚生年金で、その金額は現役当時の「年金加入月数」と「納めた保険料」によって決まります。
国民年金と違って満額がないこともあり、受給額の差は大きくなります。同じ厚生年金加入者でも「月20万円超」の人と「月10万円未満」の人が存在するのは、このためです。
次章ではその割合を比較してみましょう。
厚生年金「20万円超」「10万円未満」、それぞれ何割いるのか
厚生労働省の直近データである「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の受給額ごとの人数を見ていきます。これにより、その金額を受給する人の割合を算出することができます。
「厚生年金」の月額階級別の受給権者数
厚生年金:年金月額階級別の受給権者数
※厚生年金の金額には国民年金部分を含む
厚生年金の全体平均は約15万円ですが、グラフが示すとおり男女別に見ると、男性は約17万円、女性は約11万円と6万円近い差があります。
この男女差が、両極(20万円超 vs 10万円未満)にどう影響しているのかも気になるところです。
厚生年金「月20万円超」の受給者は何割いるのか
月額20万円以上の階級別受給権者数は次のとおりです。
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
合計すると302万7673人。厚生年金の総受給権者数1608万5696人に対して約18.8%です。およそ5人に1人が「月20万円超」を受け取っている計算になります。
厚生年金「月10万円未満」の受給者は何割いるのか
続いて、月10万円未満の階級別受給権者数を見ていきます。
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
合計すると305万3974人で、全体に占める割合は約19.0%。「月20万円超」とほぼ同じ規模が、両極に分布していることがわかります。
厚生年金加入者のうち約2割が老後を月10万円未満で過ごし、もう約2割が月20万円超を手にしている。同じ「会社員・公務員の老後」と言っても、その実態は両極に大きく分かれているのが現実です。
まとめにかえて
厚生年金は加入期間と納めた保険料によって受給額が決まる仕組みです。
今のうちにできる対策としては、できるだけ長く厚生年金に加入し続けること、収入アップを目指すこと、そして「ねんきん定期便」で自分の見込み額をこまめに確認することが基本となります。
不足が予想されるなら、iDeCoや個人年金保険、NISAといった資産形成方法を、現役のうちから検討しておきましょう。
参考資料
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在はLIMO編集部で年金・貯蓄・退職金等の金融情報を発信。
