【元銀行員が解説】10人に1人が対象!相続税が「過去最高」贈与税28%増から考える、お盆に家族で話したい資産対策
beauty-box/shutterstock.com
執筆者神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
16:30
【元銀行員が解説】10人に1人が対象!相続税が「過去最高」贈与税28%増から考える、お盆に家族で話したい資産対策
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この記事はここがポイント

  • 相続税課税割合10.4%、10人に1人以上が対象の時代。
  • 贈与税28.0%増の5038億円、加算期間延長が生前贈与加速の背景。
  • 家族資産把握と、生前贈与・保険非課税枠活用による早期対策が肝要。

まもなくお盆を迎え、実家に帰省してご家族で顔を合わせるという方も多いのではないでしょうか。

私は銀行員時代、数多くのご家庭の相続手続きに立ち会ってきましたが、実はこの「お盆の帰省」こそが、将来の資産について話し合う絶好のタイミングなのです。

今年6月に内閣府から公表された最新の「高齢社会白書」によると、シニア世代の貯蓄中央値は1658万円(全世帯の1.4倍)にのぼり、国内の金融資産の「約6割」を60歳以上の世代が保有しています。親世代が懸命に築いたこの資産を、いかに目減りさせることなく引き継ぐか。最新の税務データからは、課税ルールの変化にいち早く気づいた世帯が、すでに行動を起こしている実態が見えてきます。

【贈与税額28%急増】申告額5038億円!税制改正で加速する「生前贈与」

国税庁の発表によると、贈与税の申告人員は47万人と微減したものの、申告納税額は5038億円と前年比28.0%も急増しました。特に利用者の多い「暦年課税(年間110万円の基礎控除を利用する一般的な贈与)」では、1人当たりの納税額が前年の100万円から133万円へと大幅に上昇しています。

《贈与税》の申告状況

《贈与税》の申告状況
《贈与税》の申告状況

なぜ今、生前贈与が急増しているのか?

生前贈与の加算期間(相続財産への持ち戻し期間)が「3年から7年に延長」されるなどのルール改正を受け、「親が元気なうちに、早期にまとまった額を次世代へ移転させよう」とする世帯の合理的な行動変容が伺えます。

また、子や孫への「住宅取得等資金の非課税」の適用額も前年比19.1%増の3779億円と大きく伸びており、シニア層の資金が次世代のライフイベントを支える形で流動化しています。

【10人に1人が対象】過去最高の相続税「総額3兆2446億円」誰にでも起こりうる課題

一方で、生前に移転しなかった資産にかかる「相続税」の税負担も高くなっています。国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、亡くなった人のうち相続税の課税対象となった割合(課税割合)は過去最高の10.4%に達しました。

《相続税》課税割合の推移

《相続税》課税割合の推移

これは「10人に1人以上が相続税の対象となる時代」を迎えたことを意味し、税額の総額も3兆2446億円と過去最高を更新しています。

相続財産の⾦額の構成⽐の推移

相続財産の⾦額の構成⽐の推移

相続財産の⾦額の構成⽐の推移
相続財産の⾦額の構成⽐の推移

相続財産の構成比を詳しく見ると、現金・預貯金等が34.9%、土地が30.2%を占めています。都市部に一戸建ての不動産を所有している、あるいは一定の預貯金を残しているという、日本の一般的な会社員家庭であっても、現役世代にとって相続税の負担は地続きの課題となっています。

まとめにかえて

銀行の窓口で多くの相続案件を担当して痛感したのは、「うちは財産が多くないから大丈夫」と対策を後回しにしてしまったご家庭ほど、いざという時に苦労されるということです。事前に対策をしていなかったばかりに、残されたご家族が複雑な書類集めや遺産分割の話し合いで心身ともに疲弊していく姿を、幾度となく目にしてきました。

統計が示す通り、今は「10人に1人が相続税を払う時代」であり、何もしなければ税負担や手続きの負担がそのまま家族へとのしかかります。
だからこそ、生前贈与を活用して計画的に資産を移していくことや、生命保険の非課税枠を活用して「誰にいくら残すか」をあらかじめ指定しておくなどの生前対策が、残される家族への最大の配慮となります。

もうすぐお盆です。久しぶりにご家族が集まるこの機会に、まずはご両親やご自身の「資産を整理し、現状を把握する」ことから始めてみてはいかがでしょうか。少しの勇気を出して話し合うことが、家族の未来を守る大切な第一歩になります。

村岸 理美
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

相続対策は「一部の富裕層だけの問題」と思われることもありますが、課税割合が過去最高となった現在、一般的なご家庭こそ早めの備えが欠かせません。

お盆のように家族が集まるタイミングを活用し、日頃なかなか切り出しにくい「お金や資産の将来」について少しずつ意見を共有してみましょう。元気なうちに意思決定と仕組みづくりを進めておくことが、将来の家族の負担を軽減し、円満な資産承継につながります。

参考資料

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神田 翔平ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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