この記事はここがポイント
- 公的年金は物価連動や免除制度等で盤石な保障、個人年金は契約に基づく積み立て型
- 2026年度の年金額は国民年金1.9%・厚生年金2.0%増額、夫婦標準モデル23万7279円
- 厚生年金平均月額は男性16万9967円・女性11万1413円、国民年金は5万9310円
元生保職員として数多くの方のライフプラン相談を承ってきましたが、老後資金のベースとなる「年金」に対して漠然とした不安を抱えている方は非常に多いと感じます。
今回は、基本となる公的年金と民間年金の違いから、2026年度の最新の年金受給額まで、将来の備えに役立つ情報を詳しく解説します。
公的年金は生活を支える公的インフラ「3つの年金」をみる
公的年金は私たちの生涯を支える大切な社会インフラであり、大きく分けて3つの種類があります。
3つの公的年金
1つ目は、約4007万人が受給し老後の生活を支える「老齢年金」です。2つ目は病気やケガで生活が制限されるようになった時の「障害年金」、3つ目は一家の働き手が亡くなった時に家族を支える「遺族年金」です。これらの制度は、約6745万人の現役世代が納める保険料と国の税金を財源としており、世代と世代で支え合う仕組みとなっています。
「公的年金と個人年金」どんな違いがある?
公的年金に対し、個人の自由意思で加入するのが民間の個人年金ですが、両者には明確な違いがあります。
「公的年金と個人年金」どこが違う?
給付の仕組み
公的年金は物価上昇に合わせて実質的な価値が保障されますが、個人年金は自分が積み立てた保険料と運用益の範囲内での給付となります。
カバーする範囲
公的年金が老齢・障害・遺族のすべてをカバーするのに対し、個人年金は年金の種類や期間などの契約が多様です。
保険料の支払いと税制
生活が苦しい時、公的年金には免除制度があり保険料も全額所得控除されますが、個人年金には免除制度がなく、所得控除も一定額までにとどまります。
元生保職員としての経験からお伝えしたいのは、どんなに優れた民間商品でも、公的年金の盤石な保障には敵わないということです。まずは手厚い公的年金を生活のベースとしてしっかりと確保し、不足する部分にのみ個人年金をプラスしていくのが、最も合理的で安心な備え方だと言えます。
では、実際に最新の公的年金の受給額はどれくらいになるのか、具体的な数字を見ていきましょう。
2026年度の厚生年金、夫婦2人分の標準モデルは23.7万円へ
2026年度の年金額は前年度から引き上げられ、国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%の増額となりました。この改定後の年金額は、4月・5月分を合算して支給される6月支給分から実際に反映されています。
- 国民年金(老齢基礎年金の満額1人分):7万608円(+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分の標準モデル):23万7279円(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
上記の標準モデルはあくまで目安であり、実際の受給額はお客様の働き方やライフスタイルによって大きく異なるのを何度も目の当たりにしてきました。ここからは、厚生年金と国民年金の実際の受給額の分布と平均について確認していきましょう。
「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
まとめにかえて
今回は、公的年金と個人年金の違いから、2026年度の最新の年金受給額の実態について解説しました。
元生保職員として改めて強調したいのは、老後の安心は「公的年金」という土台があってこそ成り立つということです。まずはご自身の「ねんきん定期便」などで将来の受給見込み額をしっかりと確認することが第一歩です。
その上で、理想の老後生活に対して不足する部分を、民間年金やNISAなどで計画的に補っていくことが、最も賢明な資産形成だと考えています。
参考資料
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びFP2級保有。第一生命出身。現在はIFAとして、若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

2026年度の改定で年金額は引き上げられましたが、近年の物価上昇の影響を考慮すると、実質的な生活費の負担が軽くなったと安心するのは早計です。
記事にもある通り、まずはご自身の「ねんきん定期便」で将来の受給見込み額を正確に把握し、インフレに強いNISAやiDeCo、そして民間年金をバランスよく組み合わせて、早いうちから老後の安心を構築していきましょう。