この記事はここがポイント
- 厚生年金平均月額は15万289円、月20万円以上は全体の18.8%に過ぎない現実。
- 年金のみでは老後生活が困難なため、iDeCoなど自助努力での備えが不可欠な時代。
- 老齢年金は10年以上の加入期間と原則65歳からの支給が主な条件。
筆者は、ファイナンスアドバイザーとして、日々多くのお客様から資産形成のご相談を受けています。その中で最も多く寄せられるのが、「将来もらえる年金だけで、本当に生活していけるのでしょうか?」という切実なお悩みです。
物価高や社会保険料の負担増が続く昨今、将来受け取れる年金の仕組みと実態を正確に把握しておくことは、安心したセカンドライフへの第一歩となります。今回は、年金受給の基本条件と、厚生年金の受給額のリアルなデータについて解説していきます。
【年金がもらえる条件とは?】加入期間「10年以上」と「2階建て」の仕組み
将来年金を受け取るためには、日本の年金制度の仕組みと受給条件を正しく理解しておく必要があります。
国民年金と厚生年金「2階建て構造」
ここでは重要なポイントを解説します。
■ 日本の年金制度は「2階建て」構造
日本の公的年金制度は、1階部分の「国民年金」と2階部分の「厚生年金」からなる2階建て構造になっています。国民年金には20歳以上60歳未満のすべての方が加入し、会社員や公務員などはさらに厚生年金にも加入する仕組みです。
■ 老齢年金を受け取るための2つの基本条件
老齢年金もらえる条件とは
将来、老齢年金を受け取るためには、いくつか決められた条件を満たす必要があります。
受給資格期間(10年以上)
国民年金の保険料を納付した期間と免除された期間を合わせて「10年以上」あることが大前提となります。
支給開始年齢(原則65歳)
老齢基礎年金・老齢厚生年金ともに、原則として「65歳」から受け取ることができます。
なお、老齢基礎年金の受給資格を満たしていれば、厚生年金に1カ月でも加入していた期間があれば老齢厚生年金を受け取れます。
ただし、ご自身の働き方や加入していた制度によって、受け取れる年金の種類や金額の計算方法は大きく変わってきます。
受給開始を早める「繰上げ」や遅らせる「繰下げ」の制度もあるため、状況に応じた柔軟な選択が可能です。
【厚生年金】平均受給額「月20万円以上」は全体のわずか2割にとどまる現状
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金分を含む)の平均受給額は月額15万289円です。しかし、男女別に見ると大きな格差があります。
男女別の平均受給額
厚生年金の受給額
〈全体〉平均年金月額:15万289円
〈男性〉平均年金月額:16万9967円
〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
割合(全体:1608万5696人)
- 10万円未満の割合:19.0%
- 10万円以上の割合:81.0%
- 15万円以上の割合:49.8%
- 20万円以上の割合:18.8%
- 30万円以上の割合:0.12%
注目すべきは、「10万円未満」が19.0%に対し、「20万円以上」は18.8%という点です。なんと、わずかに10万円未満の層が上回っているのが現実です。「20万円以上もらえるシニア層」は全体の2割弱にとどまります。
年金だけでゆとりある生活を送るのは難しく、iDeCo(個人型確定拠出年金)での積立や、長く働くためのキャリア形成といった「自助努力」による備えが不可欠と言えるでしょう。
まとめにかえて
老後の収入の柱となる年金ですが、1カ月当たり20万円以上もらえる方の割合は全体の20%弱と決して多くはありません。
日頃の相談業務を通じても、「シミュレーションを見たら、思ったより年金が少なくて驚いた」と焦りを感じる方を数多く見てきました。自分が理想とする老後生活を送るためには、残念ながら年金の収入だけでは乗り切るのが難しい時代に突入しています。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を使ってご自身の現状を正しく把握し、将来への準備が必要だと感じた方は、1日でも早く資産形成などの対策をスタートさせることが大切です。
参考資料
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格、FP2級及びTLCを保有。オリックス生命出身。若年層から高齢層までの幅広い世代へ向けたファイナンシャルプラニングから投資信託・債券・保険を活用した個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

公的年金は老後の生活を支える重要な基盤ですが、記事にある通り、それだけでゆとりある生活を送るのは困難なのが実情です。
ご自身の受給見込み額を早い段階で把握し、不足分をどう補うか具体的なライフプランを立てることが豊かな老後への鍵となります。不安な方は、一度専門家であるFPに相談して客観的なアドバイスを受けてみることをおすすめします。