この記事はここがポイント
- コマツは2027年3月期営業減益予想でも株価高値圏、会社計画と市場評価の温度差
- 通期2期連続減益見込みだが2027年3月期1Qは増収増益、保守的計画とのギャップ
- 市場は減益後回復、円安・北米需要、高収益性と強固な財務体質を評価する見方
建設機械のような景気敏感株は、業績が減速に向かえば株価もそれに沿って沈む。そう考える人は多いだろう。ところがコマツ<6301>は、会社自身が通期の営業減益を見込むなかで、株価は過去1年の高値圏にいる。この温度差はどこから来るのか。株価の推移と、2027年3月期1Qの決算を並べて考えてみたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
過去1年で高値圏に浮上した株価と、その振れ幅
月末終値でたどると、株価は2025年8月末の5,000円台を安値に切り上がり、2026年2月末には7,500円台と、過去1年の月末終値では最も高い水準を付けた。もっとも、そのボラティリティは高い。
翌3月末には6,000円台まで大きく下押しし、その後は持ち直して2026年7月時点では7,200円台にある。1年を通せば上昇だが、途中の振れは小さくない。景気敏感株らしい値動きだと言える。
通期は営業減益予想、しかし1Qは増益で発進
2027年3月期通期の会社計画は、売上高4兆3,020億円(前期比+4.1%)に対し、営業利益5,550億円(同▲2.2%)、純利益3,490億円(同▲7.3%)と、増収減益を見込む。前期の2026年3月期がすでに営業利益5,673億円(▲13.7%)と減益だったことを踏まえれば、2期続けての利益減少を計画している格好だ。
ところが1Qは、売上高1兆431億円(+14.7%)、営業利益1,516億円(+8.0%)、純利益962億円(+5.4%)と増収増益となった。会社の保守的な計画と、足元の出足の強さにはギャップがある。
「減益局面」と読むだけでいいのか
収益性そのものは高い。前期の営業利益率はおよそ14%で、機械業種の中央値である約8%を大きく上回る。ROE(自己資本利益率)も11.3%と、業種中央値の7.8%より高い。財務も自己資本比率50%台となっている。
普通、機械株は減益計画が出れば敬遠されやすい。それでも株価が高値圏を保つのは、市場が減益の先にある回復や、円安・北米や資源向け需要といった追い風を、会社計画よりも強気に見ている可能性がある。会社の保守と、市場の楽観。どちらが正しいかは四半期を追って確かめるしかない。
筆者コメント
いまのコマツは、利益の局面が変わろうとしていると読み取れる。
資源と建機需要のサイクルに乗って伸びてきた利益は、前期にピークアウトの兆しを見せ、会社は2期連続の減益を計画している。数字の向きだけを見れば、明らかに減速局面だ。
だが株価はそれを額面どおりには受け取っていない。ここで効いてくるのが、この会社が景気敏感株でありながら循環の谷でも高い収益性と厚い財務を保ってきた実績だろう。市場は「目先の減益よりも、谷が浅く済み次の山ではより高い利益に届く」という循環の形を織り込みにいっているのかもしれない。
今後注目すべきは、保守的な通期計画が今後どう修正されていくかだ。1Qの増益がイレギュラーな要素によるものでなければ、計画と実績の差は四半期ごとに埋まっていく。減益の内側で何が起きているかを、決算のたびに確かめる視点を持ちたい。
参考資料
- 株式会社小松製作所 2027年3月期第1四半期決算短信
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
