INPEX、株価は3か月でどのくらい下落? 直近四半期の減収減益、その裏でキャッシュ創出力はどう推移した?【2026年7月24日】
T. Schneider/Shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
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INPEX、株価は3か月でどのくらい下落? 直近四半期の減収減益、その裏でキャッシュ創出力はどう推移した?【2026年7月24日】
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この記事はここがポイント

  • INPEX株価は3か月で-7.7%下落、2026年12月期第1四半期も減収減益
  • 営業キャッシュフローは5期連続6,000億円超を維持するキャッシュ創出力
  • 営業CFマージン34.5%、自己資本比率61.4%と、資源サイクルに耐性を持つ財務構造

株価は3か月で下落、直近四半期も減収減益——このエネルギー相場と業績・株価の連動を、INPEX<1605>の通期業績予想、直近5期分のキャッシュフロー構造、そして直近3か月の株価推移の3つの角度から読み解きます。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

それでは早速見ていきましょう。

四半期減収減益と通期予想に横たわる資源相場感応度

INPEXが2026年5月13日に開示した2026年12月期第1四半期累計決算(IFRS・連結)は、売上収益5,018億円(前年同期比-6.5%)、営業利益2,782億円(同-14.1%)、当期利益1,094億円(同-13.4%)となりました。1株当たり当期利益(EPS)は94.08円です。

通期業績予想(2026年12月期)は、売上収益2兆40億円(前期比-0.4%)、営業利益1兆860億円(同-4.4%)、当期利益3,500億円(同-11.1%)、1株当たり配当金は108.0円と公表されています。

石津 大希
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

四半期の減収減益と通期予想の含意

INPEXの2026年12月期第1四半期は、売上収益・営業利益・当期利益ともに前年同期比マイナスで着地しました。

同社は上流事業(石油・天然ガス開発)を主軸とする資源系企業であるため、業績数値は原油・ガスの市況、為替、生産量という3つの主要変数の合成として動く構造を持ちます。

四半期単位の増減率をそのまま「事業実力の変化」と読み解くのではなく、期間内の資源価格レンジがどこにあったのか、為替感応度がどう作用したのかを分けて捉える必要があります。

通期予想の売上・利益がいずれも前期比マイナスで置かれていることも重要な手がかりで、経営陣自身が資源相場の見通しをどう置いているかのシグナルとして機能します。

数値の絶対値そのものではなく、その裏側にある3変数の想定と実勢のギャップに着眼していく視点が大切です。

大型投資フェーズ下で問われるキャッシュ創出力

※本段落の情報は2025年12月期通期の有価証券報告書を参照しています

INPEXの直近2025年12月期のキャッシュフロー内訳

INPEXの2025年12月期の3種類のキャッシュフローとフリーキャッシュフローは以下の通りです。

  • 営業キャッシュフロー:6,938億円
  • 投資キャッシュフロー:-6,687億円
  • 財務キャッシュフロー:-1,107億円
  • 設備投資(CAPEX):3,900億円
  • フリーキャッシュフロー(営業CF−CAPEX):3,038億円

INPEXの5年フリーキャッシュフロー推移

  • 2021年12月期:2,479億円
  • 2022年12月期:4,046億円
  • 2023年12月期:4,530億円
  • 2024年12月期:2,441億円
  • 2025年12月期:3,038億円

資源相場が高騰した2022〜2023年12月期にFCFが厚くなり、その後の相場調整局面でも一定水準を維持している構造がうかがえます。

INPEXのキャッシュポジション

  • 現預金:1,684億円
  • 短期有価証券(参考):4,719億円
  • 主要有利子負債(ibdCurrent+ibdNoncurrent):1兆2,447億円
  • 営業CFマージン(対売上):34.5%
  • CAPEX対売上比:19.4%
  • 自己資本比率:61.4%

上流事業の資本集約性を反映して有利子負債は大きく積み上がる一方、営業CFマージン30%超・自己資本比率60%超と、資源サイクルの下振れ局面でも耐性を持たせる財務構造が維持されています。

INPEXの5年営業キャッシュフロー推移

  • 2021年12月期:4,454億円
  • 2022年12月期:7,822億円
  • 2023年12月期:7,881億円
  • 2024年12月期:6,547億円
  • 2025年12月期:6,938億円

営業CFはピークとなった2023年12月期からやや落ち着いたものの、5期を通して6,000〜7,000億円超のレンジで推移しており、CAPEXを一定規模で回しながらもFCFを黒字圏で維持できるキャッシュエンジンとしての厚みが確認できます。

石津 大希
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

資源サイクルとCF構造の呼応

INPEXの過去5期のCF推移を眺めますと、営業CFは資源相場が力強かった2022〜2023年12月期にピークを形成し、その後も6,000〜7,000億円台のレンジで踏みとどまるという「振れ幅は大きいが底も深くない」動きになっています。

上流事業の特性上、CAPEXは3,000〜4,000億円規模で持続的に投下されており、これは石油・ガスの生産量を維持し次世代のCFを取りに行くための先行支出の色彩が濃く、フリーキャッシュフローが単年度で沈むとしても、それだけでキャッシュ創出力の毀損とは捉えにくい構造です。

資本集約型で長期の投資回収サイクルを持つ資源系企業は、単年度FCFではなく複数年度で均したキャッシュ創出力と投資リターンの関係で捉えるのが自然です。

単年度のFCFの水準や増減率だけを切り出して評価しないよう注意しましょう。

3か月の値動きが映す資源相場と株価センチメント

INPEXの3か月間の株価チャート(折れ線グラフ)

INPEXの3か月間の株価チャート(折れ線グラフ)

INPEXの株価は、2026年4月24日の4,074円から2026年7月24日の3,761円へと推移しました。

起点からは313円(-7.7%)下落した格好です。

3か月間の平均値は3,613円、最高値は2026年4月30日の4,150円(平均値との乖離率+14.9%)、最低値は2026年7月2日の3,204円(平均値との乖離率-11.3%)となっています。

  • 起点(2026年4月24日):4,074円
  • 終点(2026年7月24日):3,761円
  • 期間平均値:3,613円
  • 期間最高値(2026年4月30日):4,150円(平均値との乖離率+14.9%)
  • 期間最低値(2026年7月2日):3,204円(平均値との乖離率-11.3%)

石津 大希
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

レンジ内の乱高下と資源セクター特有の値動き

株価は3か月で緩やかに下落した一方、期間内のレンジは高値と安値で乖離率にして+14.9%と-11.3%に開いており、値動きそのものはそれなりに大きな上下動を含んでいた3か月であることが読み取れます。

資源セクター銘柄は、原油・天然ガス相場、為替、需給に関するマクロ要因、地政学ニュースなど、複数の外部変数が同時に株価に反映されやすい構造を持ちます。

特にINPEXのような上流事業を主軸とする企業では、四半期業績よりも、その先の資源相場の見通しがセンチメントを動かす主要因になりやすい傾向があります。

短期の株価は業績実績よりも将来の相場見通しに関する市場コンセンサスの変化を織り込むことが多く、直近3か月の下落幅だけで銘柄の稼ぐ力を評価しないよう注意しましょう。

資源サイクル・投資フェーズ・株主構成で捉えるINPEXの中長期

直近3か月のINPEXの株価は下落基調で推移し、2026年12月期第1四半期も減収減益で着地しました。一方、キャッシュフローの中核である営業CFは5期を通じて6,000億円超のレンジで推移し、CAPEX3,000〜4,000億円規模の大型投資フェーズを回しつつFCFを黒字圏で維持するというキャッシュエンジンの厚みが確認できる姿を示しています。

石津 大希
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

資源サイクル・投資フェーズ・株主構成で読み解く中長期

INPEXを俯瞰しますと、この銘柄を評価するうえで避けて通れないのは、資源サイクルという企業外の変数と、上流事業の長期資本集約性という企業内の構造の相互作用です。

資源相場が上振れる局面では営業CFが厚くなりCAPEXを吸収してFCFが伸びる一方、相場が調整する局面ではCFが縮み、投資回収サイクルの長さゆえに単年度の投資対効果がわかりづらくなる特性を持ちます。

この事業リスクを、マクロ要因(原油・ガス相場、為替、金利)、業界要因(グローバルなエネルギー需給、脱炭素・エネルギー転換政策)、企業固有要因(プロジェクトポートフォリオの構成、生産量、コスト管理)の3層に分けて俯瞰する発想は、中長期評価の枠組みとして難解ながらも有効です。

資本配分の観点も見逃せず、生成された営業CFを既存プロジェクトの維持投資、次世代プロジェクト(LNG・水素・CCUS等)への探索投資、株主還元の3方向にどう配分するかが、中長期の企業の価値や評価を形作っていく意思決定になります。

株主構成の面では経済産業大臣が単独で20%台の保有比率を占めるという国策関与構造を持ち、これは事業戦略の意思決定に一定の影響を与え得るほか、資本配分の柔軟性にも波及する要素として意識される構造です。

マクロ環境との関係では、金利・為替・エネルギー転換政策・地政学リスクが同時多発的に業績と評価に影響しうる構造でもあります。

この銘柄を見る際は、単年度のCF水準や短期の株価変動に一喜一憂するのではなく、資源サイクルの位置づけ・投資フェーズの回収見通し・資本配分と株主構成という3つの視点に継続的に着眼していくことが大切です。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
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