【元銀行員が解説】帰省する夏休み前に知っておきたい「親の預金」と相続のリアル
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【元銀行員が解説】帰省する夏休み前に知っておきたい「親の預金」と相続のリアル

遺産分割前の相続預金の払戻し制度も利用できる

執筆者椿 慧理元銀行員/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
08:00
 【元銀行員が解説】帰省する夏休み前に知っておきたい「親の預金」と相続のリアル
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この記事はここがポイント

  • 親の死後、口座凍結前の預金引き出しは相続トラブルの元。
  • 相続トラブル時、遺産分割前の相続預金払戻し制度(上限150万円)が活用可能。
  • 葬儀費用など当座の費用は、生命保険や年間110万円の生前贈与で事前準備が有効。

お盆が近づき、実家への帰省を予定している方も多いこの時期。久しぶりに実家の家族と会うことで、「もし親に何かあったとき、お金のことはどうなるのだろう」と心配になることも珍しくありません。

筆者は銀行員時代、多くの相続手続きを受け付けてきましたが、中でも特に多かったのが「親が亡くなったあとの当座の資金の工面に苦労している」という声です。

ここでは、親が亡くなった後の預金の取り扱い方や事前の対策方法についてくわしく紹介します。

死亡届の提出前でもATMで出金するのはおすすめできない

親が亡くなった後に、「口座が凍結される前に資金を引き出しておきたい」と考える方がいます。たしかに、口座が凍結されていなければ、ATMで出金操作をすること自体は可能です。

しかし、預金者が亡くなった後に口座から引き出すことはおすすめできません。これは、親が亡くなった時点で預金が相続財産となるためです。

相続財産は相続人全員の共有財産であり、一部の相続人が単独で引き出す行為は、他の相続人の権利を侵害することになりかねません。葬儀費用や入院費などの当座の費用が必要であったとしても、後々トラブルの種になる可能性があります。

「当面の生活費を引き出したい」「葬儀費用を準備したい」といった場合は、金融機関の相続手続きを早急に進めて資金を引き出すことが第一の選択肢です。

なお、「我が家は仲がいいから相続トラブルにはならない」と思う方もいるかもしれません。

しかし、相続に関するトラブルは年々増加しており、決して他人事ではありません。続いての章でくわしく解説していきましょう。

相続トラブルは年々増加傾向にある

司法統計によると、遺産分割事件数は次のとおりとなっています。

  • 2025年:1万6431件
  • 2020年:1万1303件
  • 2015年:1万2615件
  • 2010年:1万849件

およそ右肩上がりに増加しており、相続に関するトラブルは年々増えています。

相続トラブルは富裕層だけの話ではないからこそ、親が亡くなった後にATMから資金を引き出すようなイレギュラーな取り扱いは控えるべきといえるでしょう。

遺産分割前の相続預金の払戻し制度も利用できる

相続手続きに必要な書類を揃えるのに時間がかかる場合などは、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を活用するのもひとつの方法です。

この制度は、遺産分割協議が完了していない段階でも、相続人が単独で一定額まで払い戻しを受けられる制度です。払い戻せる上限額は「相続開始時の預貯金残高 × 1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分」で計算され、同一金融機関からの払い戻しは150万円が上限となっています。

葬儀代や入院費用など急いで資金を調達したい場合は、こうした制度を活用することも検討してみましょう。

元銀行員が提案してきた当座の費用の準備方法

先述の通り、筆者は銀行員時代、多くの相続手続きを受け付けてきましたが、中でも特に多かったのが「親が亡くなったあとの当座の資金の工面に苦労している」という声です。相続手続きは一定の時間を要することから、葬儀費用や入院費などの当座の費用は生前から準備しておくことが何より大切です。

たとえば、生命保険で必要なお金を遺しておくのもひとつの方法です。生命保険の死亡保険金は、受取人を指定しておくことで相続財産とは別に「受取人固有の財産」として扱われます。

保険会社への請求手続きだけで受け取れるため、預金に比べて当座の費用に充てやすいことも特徴です。

また、生前贈与で先に必要な資金を渡しておく方法もあります。贈与には年間110万円の基礎控除がありますので、その控除を活用しながら生きているうちに当座の資金を準備しておく方法です。

定期贈与と判断されるリスクに注意

ただし、毎年同じ時期に同じ金額を贈与し続けると、税務署から「あらかじめ総額が決まっていた贈与を分割して行った」と判断され、まとめて贈与税が課される「定期贈与」とみなされるリスクがあります。

そうしたリスクを抑えるためには、「毎年同じ時期、同じ金額で贈与しない」「贈与のたびに契約書を作成する」といった対策を講じておくことが大切です。くわしくは、最寄りの税務署や税理士へ相談することをおすすめします。

今年のお盆は家族で相続について話し合ってみよう

今回は、親が亡くなった後の預金の取り扱い方と、当座の資金を準備するための事前の対策方法について解説しました。口座凍結前にATMで出金する行為は思わぬ相続トラブルに発展する可能性があるため控え、遺産分割前の払戻し制度などを正しく活用することが大切です。

相続に関する話し合いは、親が元気なうちだからこそできるもの。体調を崩して入院したり、手術を控えていたりするタイミングでは、なかなかお金の話を切り出すことも難しくなります。

相続手続きには一定の時間がかかるため、生命保険や生前贈与などを活用してあらかじめ葬儀費用などを準備しておくことをおすすめします。

《監修者コメント》

現役FPとして日々お客様とお話しするなかでも、「親に万が一のことがあった時の当面のお金をどうすべきか」といったご相談は意外と多く寄せられます。

親の介護や相続に関するお金の話題はデリケートで切り出しにくいものですが、直前になって慌てないためにも事前の情報共有が欠かせません。夏休みやお盆など、ご家族が顔を合わせるこの機会に、ぜひ一度将来のお金についてお話しされてみてはいかがでしょうか。

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椿 慧理元銀行員/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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