70歳代・二人以上世帯の貯蓄はいくら?平均2416万円・中央値1178万円、年金の平均月額やひと月の生活費も紹介
sakae.jshutterstock.com
執筆者中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者
21:01
70歳代・二人以上世帯の貯蓄はいくら?平均2416万円・中央値1178万円、年金の平均月額やひと月の生活費も紹介
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6月26日、総務省より「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)6月分(中旬速報値)」が公表され、総合指数が前年同月比で1.7%上昇するなど、日々のやりくりに関わるニュースが続いています。

物価の動向に意識が向くこの時期ですが、年金の受け取りが始まる60歳代を過ぎ、70歳代になるとセカンドライフも本格化します。

ゆとりのある暮らしを思い描く一方で、「周りの同世代はどれくらい貯蓄があるのだろう」「今の年金だけで生活していけるのかしら」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

私の銀行員時代の経験や、現在メディアでお金の情報を発信している立場からも、漠然とした不安を解消するためには、公的なデータに基づいた「同世代のリアル」を知ることが第一歩になると思います。

この記事では、70歳代・二人以上世帯の平均的な貯蓄額や年金の受給額、そして日々の生活費といった、気になるお金のデータを詳しく見ていきます。公的な統計データを参考に、ご自身の家計状況と照らし合わせながら、これからの暮らしを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

70歳代・二人以上世帯の貯蓄|平均額と中央値の実態

J-FLEC(金融経済教育推進機構)による「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」について、グラフをもとに確認していきます。

※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)

70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)
70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)

「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は2416万円となりました。ただし、この数値は一部の富裕層が大きく押し上げている側面があり、実態をより反映しているとされる中央値は1178万円となっています。

世帯ごとの貯蓄額分布は以下のとおりです。

  • 金融資産非保有:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

「貯蓄0円」の世帯が全体の10.9%を占める一方で、3000万円以上の資産を有する世帯は25.2%となっています。この結果から、70歳代・二人以上世帯の間では、資産状況に大きな差があることがわかります。

そのほか、100万円未満が4.5%、100~200万円未満が5.1%、200~300万円未満が3.7%と、貯蓄水準が低い層も一定数見られます。反対に、1000~1500万円未満が11.1%、1500~2000万円未満が6.7%、2000~3000万円未満が12.3%と、比較的余裕のある世帯も存在します。

老後の貯蓄額は、現役時代の働き方や退職金、さらには健康状態などによって大きく左右されます。年金についても、現役時代の働き方や加入状況によって受給額は異なります。

貯蓄が十分でない場合、年金収入だけで生活するのが難しいこともあるでしょう。老後を安心して過ごすためには、世帯ごとの事情に合わせた生活設計が欠かせません。

元気なうちは働く、不動産や投資による収入を考えるなど、早めの対策が将来の安心につながります。

シニアの医療費は「60歳代前半→90歳代後半」で約3.2倍に増加

年齢階級別1人当たり医療費(令和5年度、医療保険制度分)

年齢階級別1人当たり医療費(令和5年度、医療保険制度分)
年齢階級別1人当たり医療費(令和5年度、医療保険制度分)

シニア世代では、年齢を重ねるにつれて医療費の負担が大きくなる傾向があります。

厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費(令和5年度・医療保険制度分)」によると、60歳以上の1人当たり医療費は、60歳代前半の39万7,000円から90歳代後半には127万8,000円へと増加し、約3.2倍に達しています。

【60歳以上】1人あたり医療費計の推移

  • 60~64歳:39万7000円 「入院+食事・生活療養」の割合:37%
  • 65~69歳:49万5000円 「入院+食事・生活療養」の割合:40%
  • 70~74歳:63万円 「入院+食事・生活療養」の割合:43%
  • 75~79歳:78万1000円 「入院+食事・生活療養」の割合:45%
  • 80~84歳:93万7000円 「入院+食事・生活療養」の割合:51%
  • 85~89歳:108万7000円 「入院+食事・生活療養」の割合:59%
  • 90~94歳:120万2000円 「入院+食事・生活療養」の割合:65%
  • 95~99歳:127万8000円 「入院+食事・生活療養」の割合:69%
  • 100歳以上:124万2000円 「入院+食事・生活療養」の割合:69%

この医療費の増加を大きく押し上げているのが、「入院+食事・生活療養」にかかる費用です。70歳代までは外来診療(通院)の割合が比較的高い一方、80歳以降は医療費全体の半分以上を「入院+食事・生活療養」が占めるようになります。さらに90歳代後半では、その割合は約7割(69%)にまで上昇しています。

加えて、介護費用も老後の家計に大きな影響を与えます。生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる一時費用(※1)の平均は47万円、毎月の費用(※2)の平均は9万円となっています。

また、公的医療保険の高額療養費制度を利用した場合でも、自己負担額の上限までの医療費に加え、入院時の食事代や差額ベッド代(全額自己負担)などの費用は別途負担する必要があります。そのため、長期入院や介護が必要になった場合は、制度だけではカバーできない支出が生じる点にも注意が必要です。

※1:住宅改造や介護用ベッドの購入費など
※2:いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む

厚生年金の平均受給額は?男女差と金額別の分布

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の平均年金月額を確認しましょう。

厚生年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」

厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されていますが、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下、記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。

厚生年金の平均月額:男女での比較

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

厚生年金の全体の平均月額は15万289円です。男女別で見ると、男性は約17万円、女性は約11万円と、5万円以上の差があるのが現状です。

厚生年金の受給額分布とボリュームゾーン

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

月額階級別の受給権者数を見ると、一番人数が多い「ボリュームゾーン」は、「10万円以上~11万円未満」の層で111万2828人です。

国民年金の平均受給額は?男女差と受給者層の傾向

厚生年金の加入期間がなかった人が受け取る、国民年金(老齢基礎年金)の月額について見ていきます。

国民年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」

国民年金の平均月額:男女差はどのくらい?

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

平均年金月額には、男性と女性で約4000円の差が見られます。加入期間や保険料の納付状況の違いが、このような差につながっていると考えられます。

国民年金の受給額分布から見る実態

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の受給額は、6万円以上7万円未満の層が最も多く、満額に近い水準で受け取っている人が多いことがわかります。一方で、5万円未満の層も一定数おり、加入期間や保険料の納付状況によって受給額に幅がある点が特徴です。

国民年金は一律の金額ではなく、個々の加入履歴によって受け取る額が異なる仕組みとなっています。

65歳以上・無職夫婦世帯のリアルな家計収支

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の標準的な家計収支を見ていきます。

65歳以上の生活費

収入の平均は25万4395円

■うち社会保障給付(主に年金):22万8614円

支出の平均は29万6829円

■うち消費支出:26万3979円

  • 食料:7万8964円
  • 住居:1万7739円
  • 光熱・水道:2万3540円
  • 家具・家事用品:1万1237円
  • 被服及び履物:5354円
  • 保健医療:1万7941円
  • 交通・通信:3万1325円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万6538円
  • その他の消費支出:5万1341円
    • うち諸雑費:2万2047円
    • うち交際費:2万3257円
    • うち仕送り金:1135円

■うち非消費支出:3万2850円

  • 直接税:1万2547円
  • 社会保険料:2万296円

毎月の家計収支は赤字傾向か

  • ひと月の赤字:4万2434円
  • エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.9%
  • 平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):119.2%

この世帯の毎月の収入は25万4395円で、その多くを公的年金などの社会保障給付が占めています。

一方、毎月の支出は29万6829円。内訳を見てみると、食費や住居費、光熱費など日常的な生活にかかる消費支出が26万3979円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万2850円です。

その結果、月々の家計は4万2434円の赤字となっており、不足分は貯蓄を取り崩して補う必要があります。年間に換算すると、およそ51万円の取り崩しが必要になる計算です。

シニア世代は現役世代と比べて安定した収入を得る機会が限られるため、こうした慢性的な赤字は、長期的に貯蓄を大きく減らす要因となり得ます。

今ある貯蓄額を踏まえ、家計収支の見直しや、健康状態に応じた短時間の就労など、できる範囲で対策していくことが、老後の暮らしを安定させるカギとなります。

増加する働くシニア世代:65歳以上の就業率

かつて定年年齢として一般的であった60歳を過ぎても、働き続けるシニアが増えています。

2025年9月14日に総務省が公表した「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」から、65歳以上の就業率を年齢階級別に見ていきましょう。

年齢階級別の就業率とその推移

65歳以上の年齢階級別就業率の推移(2014年~2024年)

65歳以上の年齢階級別就業率の推移(2014年~2024年)
65歳以上の就業率

2024年時点での65歳以上の就業率は25.7%に達し、前年から0.5ポイント上昇して過去最高を更新しました。年齢階級別の就業状況は以下の通りで、いずれも過去最高の水準です。

  • 65歳以上:25.7%
  • 65~69歳:53.6%
  • 70~74歳:35.1%
  • 75歳以上:12.0%

とくに、60歳代後半(65~69歳)では約2人に1人、70歳代前半(70~74歳)でもほぼ3人に1人以上が働いており、働き続けるシニアの割合は右肩上がりで推移しています。

まとめ

今回は、70歳代の貯蓄や年金、生活費に関するさまざまなデータを見てきました。

物価の上昇など家計が気になるニュースも続く中、平均値だけを見ると安心したり、逆に不安になったりすることもあるかもしれません。

しかし、大切なのはご自身の状況を客観的に把握し、今後のライフプランを考えることです。

筆者の銀行員時代の経験や現在の情報発信を通じても、データはあくまで参考の一つとして捉え、ご自身の価値観や健康状態に合わせた生活設計を立てることが安心に繋がるとお伝えしています。

家計の見直しや、無理のない範囲で仕事を続けるなど、選択肢は一つではありません。ゆとりあるセカンドライフを送るために、まずは現状把握から始めてみるのが良いでしょう。

参考資料

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中本 智恵LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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